✔ 7.セロッタ・ミュージアム 22 〜 セロッタ・ベーカリー 1 〜
──*──*──*── セロッタ・ベーカリー
オレはセロと向かい合わせの席に座っている。
セロとオレが座っているのは椅子じゃなくて座り心地の好いソファーだ。
良質なソファーに座って昼食なんて一寸リッチな気分だな。
オレの前には目当てのジャンボトースが並んでいる。
出来立て熱々の美味しそうなジャンボトースだ。
ガッツリ系だから昼食と言うよりも夕食だよな。
そうそう、セロが昼食に選んだパンは普通のパンだった。
普通と言っても幻の小麦粉と黄金の卵と後は……何とかの水を使って作られてるパンだから全然普通のパンじゃない訳だけど…。
食べ易い大きさに輪切りにされた丸いパンに美味しそうなジャムを上品に塗って食べている。
ジャムは何種類もあって、多分全種類のジャムが用意されてるんだと思う。
ジャムを入れてる専用の小皿には、ジャムを付けたり塗ったりする専用のナイフが置ける様になっている。
《 セロッタ・カンパニー 》の中にある食器,食具売り場で販売されてるんだろうな…。
飲食コーナーは最大の宣伝場って訳だ。
全くもう、商売上手なんだから!
一体どんだけ “ ガッポリ ” したいんだか。
態々 “ ガッポリ ” しなくても無限に作り出せるくせに!
まぁ、あっても困りはしないけどさ…。
マオ
「 セロ、そんなので腹が膨れるのか? 」
セロフィート
「 飲食の必要ないワタシに満腹は無縁です。
ワタシはジャムの試食をしてます 」
マオ
「 ジャムの試食? 」
セロフィート
「 そうです。
此処に並んでいるジャムは何れも≪ アレンカルダ大陸 ≫で咲く花を使ってます。
蜂蜜も揃えてますし、パンの生地に練り込んでいるのも≪ アレンカルダ大陸 ≫で咲く花を使ってます。
マオも食べてみます? 」
マオ
「 良いのか? 」
セロフィート
「 どうぞ。
此のパンに花は練り込まれてませんけど 」
マオ
「 蜂蜜の試食はしないのか? 」
セロフィート
「 今日はしません。
ジャムだけです 」
マオ
「 ふぅん……。
蜂蜜の試食をする時はさ、オレも一緒にしたいんだけど… 」
セロフィート
「 マオ…。
何故遠慮がちに言います?
何時も見たいに『 オレにも味見をさせろ! 』と偉そうに言ってください 」
マオ
「 オレはそんな言い方しないけどっ!! 」
セロフィート
「 おや?
そうです?
ワタシは小生意気で偉そうなマオも好きです 」
マオ
「 セ、セロ…(////)」
セロフィート
「 微笑ましいです。
子供らしくて♪ 」
マオ
「 セぇ〜ロぉ〜〜〜!!
“ 子供呼ばわりするな ” って言ってるだろが! 」
セロフィート
「 其です 」
マオ
「 何れだよ? 」
セロフィート
「 今の感じです 」
マオ
「 今の感じ?? 」
セロフィート
「 君は良くワタシに遠慮します 」
マオ
「 そ、そうかな…?? 」
セロフィート
「 惚けなくて良いです。
心当たりあるでしょう? 」
マオ
「 そ、其は…。
だって…… 」
セロフィート
「 言い訳は無用です。
君はもっとワタシに我儘を言ってくれて良いです。
ワタシに我儘を言うのを唯一許してるのは此の地球上でマオだけです。
折角ワタシが君に与えている特権を利用しないのが不思議でなりません 」
いきなり何を言い出すんだよ、セロは!
“ 特権 ” だの “ 利用 ” だの言われても困るんだよ!
だって──、今初めて聞いたし、知った事なんだから!!
此処はビシッと言ってやらないとだよな!
マオ
「 セロ〜〜〜。
オレ、初めて聞いたんですけど!! 」
セロフィート
「 はて?
そうでした? 」
マオ
「 そうだよ!
だけど…セロに我儘を言えるのが、地球上で “ オレだけ ” ってのは嬉しい…(////)
特権なのは認めるよ… 」
セロフィート
「 ふふふ。
マオはワタシにとって特別です。
誰よりも特別扱いするのは当然です 」
マオ
「 有り難な…(////)
だけどさ…オレは──、特別な特権だからこそ利用したくないよ 」
セロフィート
「 何故です? 」
マオ
「 だってさ…、 “ 利用する ” って何か “ 悪用する ” って感じがするし…。
だから…… 」
セロフィート
「 マオ、君は難しく考え過ぎです 」
マオ
「 何でだよ? 」