✔ 7.セロッタ・ミュージアム 18 〜 ゴンドラ、乗りま〜〜す 6 〜
セロフィート
「 来世では何に生まれ変われるのか──、其は〈 久遠実成 〉が決定します。
今世で前世から繰り越しされた報いを敢えて受けさせてあげる事の方が、ヴドゥフ国王に対する最善であり、人としての優しさです。
其でもマオは邪魔します? 」
マオ
「 ………………セロの言い方は狡いよ!
そんな風に言われたら…オレは…………どうしたら良いんだよ? 」
セロフィート
「 何もしなければ良いです。
マオはヴドゥフ国王とは面識がないですし、仮にヴドゥフ国王が亡くなったとしても、自身を責めなくて良いです 」
マオ
「 …………だけど…… 」
セロフィート
「 マオ、ヴドゥフ国王の事は気にしせず、デートを楽しみましょう 」
マオ
「 …………う、うん…。
何か…素直に楽しめなくなったけど…… 」
セロフィート
「 知らない方が良かったでしょう?
後悔しました? 」
マオ
「 …………セロの言う通りだな… 」
セロフィート
「 はい? 」
マオ
「 知らなければ…良かった… 」
セロフィート
「 マオ…。
ゴンドラが橋に着いたら降りましょう 」
マオ
「 何でだ? 」
セロフィート
「 気分転換です。
少し歩いて《 セロッタ・ベーカリー 》へ向かいましょう。
花の周りを飛んでる蝶を見ながら。
どうです? 」
マオ
「 蝶?
蝶々なんて飛んでるのか? 」
セロフィート
「 ゴンドラに乗ってると見えません。
蝶、見たいです? 」
マオ
「 うん……。
そうだよな…。
花を見ながら、蝶々を見てたら気持ちも紛れるかもな…。
うん、ゴンドラを降りて《 セロッタ・ベーカリー 》迄歩こう 」
セロフィート
「 船頭さん、次の橋でゴンドラを停めてください 」
器人形:船頭
「 畏まりました、セロフィート様。
──ゴンドラ、通りま〜〜す 」
舳先に向かって立つ〈 器人形 〉の船頭は片方だけのオール── 櫂って名前らしい ──を巧みに操って漕いでいる。
〈 器人形 〉は何でも器用に出来る万能な人形だ。
白銀色の髪が気持ち好さそうに風に吹かれて靡いている。
〈 器人形 〉の顔は同じだけど、色々な髪型の〈 器人形 〉が居る。
髪型と制服が違うだけで随分と雰囲気が変わるもんだ。
器人形:船頭
「 ──ゴンドラ、停まりま~~す 」
〈 器人形 〉の船頭は器用にゴンドラを橋の横にあるゴンドラ降り場に停めてくれた。
セロとオレはゴンドラから降りると、《 セロッタ・ベーカリー 》を目指して歩き始めた。