✔ 7.セロッタ・ミュージアム 17 〜 ゴンドラ、乗りま〜〜す 5 〜
マオ
「 …………まぁ、今更さ…祖母を殺した真犯人が判ったて、とっくの昔に死んでる訳だし、意味ないよな……。
祖母は助からなかったけど、父さんが助かったから、オレが居るんだし…… 」
セロフィート
「 無理に知る必要もないです 」
マオ
「 ………………うん… 」
真相を知りたい気もするけど……、父さんを助けてくれた医師が居てくれたから……良いんだ。
……良くはないだろうけど…、其の医師が祖母のお腹の中に居た父さんを取り上げてくれなかったら──、≪ 王都 ≫から逃がしてくれなかったら──って考えると……。
仮にオレが真相を知らなくても、伯父さん,マーフィ,ラオインダが知ってるだろうし…。
オレに真相を教えてくれないって事は……、オレには “ 知る必要はない ” って事かも知れないし…。
セロフィート
「 脱線しましたね。
話を戻しましょう 」
マオ
「 あっ、そうだよな。
ヴドゥフ国王が身内に暗殺される──って話だよ!
だけど…何でヴドゥフ国王を暗殺するんだよ?
そんな事したら騒ぎになって大変だろ?
放っといても病気や寿命で死ぬだろ?
其とも…身内に暗殺される程、悪い国王なのか? 」
セロフィート
「 残念ですけど、マセンアルカ様は悪い国王ではないです 」
マオ
「 じゃあ、何で暗殺されないといけないんだよ? 」
セロフィート
「 其はワタシにも分かりません。
“ 王家の紋章旗 ” を授与してもらう前に暗殺されては困りますし、ヴドゥフ国王には毒を中和する薬を飲んでもらってます 」
マオ
「 毒を中和する薬??
国王って毒殺されるのか? 」
セロフィート
「 毒殺は割りと良く使われる手段です。
無味無臭の毒もありますし、飲み物,食べ物に少量づつ混ぜれば、徐々に体力を低下させ、病に倒れた様に見せ掛け、自然死として殺害する事も可能です。
時間は掛かりますけど、周囲に怪しまれずターゲットを殺害出来る定番です 」
マオ
「 じゃあ、今もヴドゥフ国王は毒入りの食事や飲み物を知らずに体内に取り入れてる──って事なのか? 」
セロフィート
「 そうなります 」
マオ
「 …………ヴドゥフ国王が薬を飲んでなかったら…、どうなるんだ? 」
セロフィート
「 毒が身体中に回り、確実に死ぬでしょうね 」
マオ
「 …………其って拙いんじゃないのか? 」
セロフィート
「 良くはないです 」
マオ
「 ………………なぁ、セロ…。
国王を助ける事は出来ないのか? 」
セロフィート
「 出来ない事はないですけど…… 」
マオ
「 じゃあ、毒殺で国王を亡き者にしようとしてる暗殺者から助けようよ!
自国の国王の暗殺を企てるなんて、此こそ犯罪だよ!
犯人は裁かれるべきだろ! 」
セロフィート
「 マセンアルカ様は善良なヴドゥフ国王ですけど、毒殺で亡くなるならば、前世で誰かを毒殺したのかも知れません。
前世の記憶のない本人には解りませんけど、前世の己が犯した罪悪に対しての報いを今世で受ける事は良く有る事です。
〈 久遠実成 〉から与えられる報いを受けると言う事は、 “ 人として贖罪の機会を与えられた ” と言う事です。
“ 助ける ” と言う行為は一見善行の様に見えますが、真実は “ 〈 久遠実成 〉から与えられた贖罪の機会を奪う ” と言う事です。
此は〈 久遠実成 〉から見れば悪行と判断されます。
今世で贖罪の機会を奪われた場合は来世へ繰り越されるだけです。
来世も人間として生まれるとは限りません。
善根を積めない畜生に生まれ変わるかも知れませんし、ダニ,蛆虫,蠅,G等の害虫や雑草かも知れません 」