セロフィート
「 どうしました? 」
マオ
「 …………セロ…『 ヴドゥフ国王が生きてる間には 』って…どう言う事なんだ? 」
セロフィート
「 其のままの意味です 」
マオ
「 『 其のまま 』って?? 」
セロフィート
「 聞きたいです? 」
マオ
「 …………うん… 」
セロフィート
「 ヴドゥフ王国のヴドゥフ国王マセンアルカ様は、身内から暗殺されます 」
マオ
「 ──は?
暗殺??
何でヴドゥフ国王が身内に暗殺されるんだ?? 」
セロフィート
「 王族とはそう言うものです。
マオの父方の母親が毒殺されたのを忘れました? 」
マオ
「 …………忘れてないよ…。
元々病弱だった祖母に毒を盛って、父さん諸とも亡き者にしようとした最低の奴等が居たって事ぐらい……。
だけどさ、オレの祖母に毒を盛ったのは身内の犯行じゃなかったんだろ? 」
セロフィート
「 其はどうでしょう。
医師達に指示を出していた犯人は、医師達も逆らえない立場の者だった可能性が高いですし。
患者を救う事を使命とした医師が逆らえない相手──。
エルゼシア国王は前エルゼシア王妃を溺愛してましたし、医師達から『 子供を授かるのは難しい 』と迄診断されていた前エルゼシア王妃が懐妊したと判った時は、まるで自分の事の様に喜んでました。
ベッドから出られない前エルゼシア王妃の分迄エルゼシア国王は毎日欠かさず〈 大陸りく仰こう神しんエルゼシア 〉に感かん謝しゃの祈いのりを捧ささげていました。
演えん技ぎでは出で来きない事ことです。
エルゼシア国こく王おうと前ぜんエルゼシア王おう妃ひの真ま心ごころの込こめられた祈いのりが届とどいた程ほどです。
エルゼシア国こく王おうは犯はん人にんではなく、前ぜんエルゼシア王おう妃ひを奪うばわれた被ひ害がい者しゃです 」
マオ
「 …………うん…。
だけどさ、何なんで犯はん人にんは父とうさんを身み籠ごもった祖そばあ母ぼさんを医い師しを使つかって殺ころさせたんだよ?
子こ供どもってさ世よ継つぎになるだろ?
大だい事じな世よ継つぎぎが誕たん生じょうするかも知しれないのに、出しゅっ産さん前まえに殺ころすなんてさ、どう考かんがえてもオカシイよ! 」
セロフィート
「 エルゼシア国こく王おうと前ぜんエルゼシア王おう妃ひは当とう時じには珍めずらしい恋れん愛あい結けっ婚こんでした。
エルゼシア国こく王おうには両りょう親しんが決きめた貴き族ぞく令れい嬢じょうの婚こん約やく者しゃが居いました。
良よくある政せい略りゃく結けっ婚こんをする事ことになって居いた訳わけです。
然しかし、エルゼシア国こく王おうは政せい略りゃく結けっ婚こんの相あい手てとの婚こん約やくを破は棄きして、前ぜんエルゼシア王おう妃ひと結けっ婚こんしました。
両りょう親しん…特とくに母はは親おやと婚こん約やくを破は棄きされた貴き族ぞく令れい嬢じょうは、前ぜんエルゼシア王おう妃ひの事ことを良よくは思おもわなかったでしょうね。
何なにせ初はじめから病びょう弱じゃくだった訳わけですし。
前ぜんエルゼシア王おう妃ひがエルゼシア国こく王おうの母はは親おやと貴き族ぞく令れい嬢じょうから疎うとまれ、恨うらまれる理り由ゆうは十じゅう分ぶんにあったでしょう 」
マオ
「 …………国こくじい王おうさん……。
若もしかして……祖そばあ母ぼさんが毒どくを盛もられたのって、実じつは国こくじい王おうさんの所せ為いだったかも知しれないのか?? 」
セロフィート
「 無なきにしも有あらず…でしょうね。
婚こん約やくを破は棄きされた貴き族ぞく令れい嬢じょうに王おう家け専せん属ぞく医い師しに毒どく殺さつをさせるだけの力ちからはないでしょう。
幾いくら恨うらめしいと言いっても、エルゼシア王おう妃ひを狙ねらえば罪つみに問とらわれますし、一いち族ぞく諸もろとも公こう開かい処しょ刑けいされるでしょうし。
エルゼシア国こく王おうの婚こん約やく者しゃに選えらばれる程ほどの貴き族ぞく令れい嬢じょうです。
一いち族ぞくを犠ぎ牲せいにする程ほどの愚ぐ者しゃではないでしょうし、多た大だいなリスクを犯おかして迄まで復ふく讐しゅうしようとは考かんがえないでしょう 」
マオ
「 犯はん人にんは国こくじい王おうさんに婚こん約やく破は棄きされた貴き族ぞく令れい嬢じょうじゃないんだ…。
…………国こくじい王おうさんの母はは親おやの仕し業わざ…なのかな?? 」
セロフィート
「 どうでしょう。
可か能のう性せいは有あるかも知しれません。
あくまでも可か能のう性せいの話はなしです 」