✔ 7.セロッタ・ミュージアム 13 〜 ゴンドラ、乗りま〜〜す 1 〜
──*──*──*── ゴンドラ
セロとオレはゴンドラに乗っている。
心地好く揺れるゴンドラに身を任せ、花々を眺めながら優雅な散歩を満喫している最中だ。
オレは既に4個のバッジをゲットしていた。
予定では3個なんだけど、《 画廊店セロッタ 》でセロカ君バッジを2個も貰えたからだ。
《 画廊店セロッタ 》では《 小画廊喫茶セロッタ 》で展示されている絵画の原画が集められていて、贅沢に展示されていた。
絵画の原画はセロの私物になってるから、売り物じゃない。
だから、お客が買えるのは原画を限り無く精彩に再現された複製原画になる。
値段は額縁の大小で決まっている。
高額な絵画も小さな額縁サイズなら、お手頃価格で買う事が出来る様になってるんだ。
オレはセロカ君バッジをゲットする為に、1番小さな額縁で複製原画を買った。
其でも5.000Uもした。
額縁には色々と種類があって好きな額縁を選ぶ事が出来るんだ。
オレはセロカ君の額縁を選んだ。
選んだ絵画は良く分からない。
絵心の無いオレには芸術や美術にはチンプンカンプンだからだ。
だから、絵画はセロに選んでもらった。
絵画を購入したから、セロカ君の初回購入記念限定バッジをゲット出来た訳だ。
其の後に別の部屋に入ったんだけど、其処では絵を描くのが好きな人達が集まっていて、子供からお年寄りが仲睦まじく一緒に絵を書いていた。
見た感じは和気藹々としていて楽しそうだったけど、壁に飾られている額縁を見て、オレは愕然とした。
額縁の中に入れられていた絵は、セロと一緒に描いていたオレの絵だったからだ。
酷くないか?!
オレの羞恥心が大噴火して大爆発した瞬間だった!!
もう、顔から火が出る程に恥ずかしかったんだからな!
セロに薦められたオレは苦手な絵を嫌々ながら描く事になった。
絵を描くのに参加した事で、部屋から出る時に初回参加記念限定バッチを貰えたんだ。
だけど、生まれつきの絵の下手さのお蔭で壁に飾られている絵を描いたのがオレだと参加者に知られてしまった訳で……。
オレ、可哀想じゃないかな?!
オレは唯、セロとデートを楽しみたかっただけなのに、何でこんな辱しめを受けなくちゃいけないんだよ!!
こんな仕打ちはあんまりだ!!
オレ……、恥ずかし過ぎて泣いちゃう所だった!!
セロなんて「 バッジを貰えて良かったですね 」って悪びれもなく笑顔で言うんだ。
セロめぇ、完全に狙ってただろっ!!
セロカ君バッジをゲットする代わりに、オレは恥辱に見舞われた訳だ。
オレはセロの策略に填められて、大事なモノを失った気がする……。
健気に逞しく咲いている花は、へし折られて沈んでるオレの心を慰めてくれている様にも見える。
季節関係無く花を見られるって事で、花好きの人達が散歩を楽しんでいる。
ゴンドラも人気があって繁盛してるみたいだ。
風も気持ち良くて、満開に咲き誇っている花の香りに鼻を擽られる。
落ち着いていて、のんびりとした雰囲気のデートって良いよな〜〜(////)
静かに川の水面を進むゴンドラ、最高だよ!!
──そうだ!
ケレディさんの事を聞いとかないとな。
マオ
「 ──セロ、オレさ……、≪ 街 ≫を出る前にケレディさんの御見舞いに行きたいんだけど、良いかな? 」
セロフィート
「 ケレディさんは≪ 街 ≫の病院には居ませんけど 」
マオ
「 へ?
居ない??
ケレディさんは病院に入院してるんだろ?
何で居ないんだよ? 」
セロフィート
「 ≪ 街 ≫の病院よりも最新の医療設備が整っている≪ 王都 ≫の病院へ移される事になったからです 」