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✔ ６．殺害現場　１２　〜包帯男は誰だ　１〜

ワトスン：マオ

「ホ〜〜〜ムスぅ〜〜〜〜っ！！

　どういう事（こと）だよっ！

　ケレディさんの行方（ゆくえ）不（ふ）明（めい）に加（か）担（たん）してたってぇ！！

　何（なん）でオレに黙（だま）ってたんだよぉ！！

　オレはホームスの家（か）族（ぞく）(ファミリー)なのに！！」

ホームス：セロフィート

「君（きみ）(ワトスン)は嘘（ウソ）を吐（つ）き続（つづ）ける事（こと）が出（で）来（き）ないでしょう？

　タンダレル警（けい）部（ぶ）は無（む）能（のう）ですけど、刑（けい）事（じ）です。

　ワトスンが嘘（ウソ）を吐（つ）いていれば直（す）ぐに気（き）付（づ）くでしょう。

　 “ ケレディさんが行（ゆく）方（え）不（ふ）明（めい）になっている ” 事（こと）が嘘（ウソ）だと知（し）られる訳（わけ）にはいきませんでした。

　何（な）故（ぜ）だか分（わ）かります？」

ワトスン：マオ

「何（なん）で…か？

　 ………………何（なん）でだ？」

ホームス：セロフィート

「先（さき）程（ほど）も話（はな）した通（とお）り、２０日（か）(金曜日（オータン）)の夜（よる）、ケレディさんはマレムダス捜（そう）査（さ）官（かん）に襲（おそ）われた事（こと）になってます。

　マレムダス捜（そう）査（さ）官（かん）はワタシが用（よう）意（い）したケレディさん似（に）の人（にん）形（ぎょう）を本（ほん）物（もの）のケレディさんだと疑（うたが）う事（こと）なく、刃（は）物（もの）で刺（さ）し、階（かい）段（だん）から突（つ）き落（お）としました。

　ケレディさんだと疑（うたが）わず、動（うご）かない死（し）(人（にん）)体（たい）(形（ぎょう）)をとある場（ば）所（しょ）へ運（はこ）び込（こ）みました。

　其（そ）処（こ）でマレムダス捜（そう）査（さ）官（かん）は死（し）(人（にん）)体（たい）(形（ぎょう）)を布（ぬの）で包（つつ）み、簀（す）巻（ま）きにした後（あと）、ダンデル湖（こ）へ運（はこ）びました。

　船（ふね）に乗（の）せた後（あと）、鎖（くさり）を巻（ま）き、重（おも）りを付（つ）け、ダンデル湖（こ）の中（なか）に投（な）げ捨（す）て、死（し）(人（にん）)体（たい）(形（ぎょう）)を始（し）末（まつ）しました。

　マレムダス捜（そう）査（さ）官（かん）と共（きょう）犯（はん）者（しゃ）の５名（めい）は、 “ 新（しん）人（じん）(ルーキー)刑（けい）事（じ）のケレディ・ダタンネの死（し）体（たい）をダンデル湖（こ）へ捨（す）てた ” と思（おも）っている訳（わけ）です。

　 “ ケレディ・ダタンネが行方（ゆくえ）不（ふ）明（めい）になっている ” と言（い）う事（こと）は彼（かれ）等（ら）にとっても都（つ）合（ごう）の良（よ）い出（で）来（き）事（ごと）になります。

　死（し）体（たい）は大（たい）量（りょう）の重（おも）りを付（つ）けて湖（みずうみ）の底（そこ）です。

　浮（う）き上（あ）がって来（き）ませんし、誰（だれ）かに死（し）体（たい）を発（はっ）見（けん）される心（しん）配（ぱい）もないです。

　特（とく）例（れい）やイレギュラーの事（じ）態（たい）を除（のぞ）いて新（しん）人（じん）(ルーキー)刑（けい）事（じ）が先（せん）輩（ぱい）警（けい）部（ぷ）を差（さ）し置（お）いて、捜（そう）査（さ）官（かん）と絡（から）んだり組（く）む事（こと）はないです。

　新（しん）人（じん）(ルーキー)刑（けい）事（じ）が行方（ゆくえ）不（ふ）明（めい）となっても、面（めん）識（しき）の無（な）い捜（そう）査（さ）官（かん）が疑（うたが）われる事（こと）もない訳（わけ）です」

ワトスン：マオ

「 …………マレムダス捜（そう）査（さ）官（かん）達（たち）を安（あん）心（しん）させて油（ゆ）断（だん）させる為（ため）にもケレディさんは行方（ゆくえ）不（ふ）明（めい）になっていないといけなかった──って事（こと）かよ…。

　若（も）し、ケレディさんの行方（ゆくえ）不（ふ）明（めい）が嘘（ウソ）で生（き）きてる事（こと）がバレたりでもしたら…… 」

ホームス：セロフィート

「『妊（にん）婦（ぷ）殺（さつ）害（がい）事（じ）件（けん）』の黒（くろ）幕（まく）は取（と）り逃（のが）していたかも知（し）れません」

ワトスン：マオ

「 ………… 」

ケレディ

「御（ご）免（めん）ね、ワトスン君（くん）。

　今（いま）の僕（ぼく）は自（じ）力（りき）で歩（ある）けない身（しん）体（たい）(からだ)の設（せっ）定（てい）だから、完（かん）治（ち）する迄（まで）入（にゅう）院（いん）生（せい）活（かつ）をする事（こと）になってるんだ。

　同（どう）僚（りょう）に御（お）見（み）舞（ま）いに来（こ）られても困（こま）るから、入（にゅう）院（いん）期（き）間（かん）中（ちゅう）は実（じっ）家（か）に戻（もど）る事（こと）になっていてね、ワトスン君（くん）とは今日（きょう）でお別（わか）れになるんだ… 」

ワトスン：マオ

「お別（わか）れ……。

　実（じっ）家（か）って、お城（しろ）？」

ケレディ

「そうだよ。

　 ≪ 王（おう）都（と）(ダンタンディレル) ≫にあるヴドゥフ城（じょう）だね」

ワトスン：マオ

「 …………本（ほん）当（と）に王（おう）子（じ）様（さま）なんだね。

　入（にゅう）院（いん）期（き）間（かん）が終（お）わったら≪ 街（まち）(ライナノット) ≫に戻（もど）って来（く）るの？」

ケレディ

「勿（もち）論（ろん）だよ。

　１人（にん）前（まえ）の警（けい）部（ぶ）になって、後（こう）輩（はい）と一（いっ）緒（しょ）に事（じ）件（けん）を解（かい）決（けつ）させるのが僕（ぼく）の目（もく）標（ひょう）だからね！」

ワトスン：マオ

「ケレディさんは王（おう）位（い）に興（きょう）味（み）ないの？

　 “ 王（おう）様（さま）になりたい ” って思（おも）わない？」

ケレディ

「ないなぁ。

　物（もの）心（ごころ）が付（つ）いた頃（ころ）から父（ちち）上（うえ）が玉（ぎょく）座（ざ）で国（こく）王（おう）の仕（し）事（ごと）をしている姿（すがた）を見（み）ているからかなぁ。

　思（おも）わないんだよねぇ……此（これ）が不（ふ）思（し）議（ぎ）と。

　王（おう）様（さま）になっても玉（ぎょく）座（ざ）で缶（かん）詰（づめ）なんだよ。

　其（それ）が死（し）ぬ迄（まで）続（つづ）く訳（わけ）だよ。

　僕（ぼく）は裏（うら）方（かた）でサポートしてる方（ほう）が良（い）いよ。

　王（おう）位（い）を継（つ）ぐのは長（ちょう）子（し）の兄（にい）さんだけど、本（ほん）心（しん）では嫌（い）がってるんだよね…。

　世（よ）継（つ）ぎは長（ちょう）子（し）の役（やく）目（め）だからって諦（あきら）めてるのが現（げん）状（じょう）かなぁ。

　国（こく）王（おう）じゃない形（かたち）で国（くに）に貢（こう）献（けん）して守（まも）っていきたい──って気（き）持（も）ちは分（わ）かるんだけど…… 」

✔ ６．殺害現場 １２ 〜 包帯男は誰だ １ 〜

✔ ６．殺害現場　１２　〜包帯男は誰だ　１〜