✔ 6.殺害現場 10 〜 迷探偵の迷推理ショー 10 〜
ホームス:セロフィート
「 ──マレムダス捜査官、餞別として君に “ とっておき ” を教えましょう 」
タンダレル
「 何のつもりだ、ホームス? 」
ダンダレル警部がセロに問い掛けると、セロは右手を出して、ダンダレル警部を制した。
「 邪魔するな 」って事かな?
ホームス:セロフィート
「 君はケレディさんを刃物で刺すと階段から落としたのでしたね。
其の後、共犯者の5名と共にケレディさんを簀巻きにし、ダンデル湖の底に投げ捨てたのでしたね? 」
マレムダス
「 其が何だっ!
偽者を使いやがって!!
何が名探偵の名推理だ!
此の──ペテン師めっ!! 」
ホームス:セロフィート
「 おや?
ペテン師とは酷いですね。
君の勘違いを正そうとしている親切なワタシに向かって。
まぁ、良いです。
餞別ですし、大目に見ましょう 」
ワトスン:マオ
「 ホームス?
餞別って一体…… 」
ホームス:セロフィート
「 君達が重りを付けてダンデル湖の底に投げ捨てた簀巻きは、此でしょう? 」
──へ?
セロが指をパチンと鳴らすと、何処からともなく何かがドサッ──と言う鈍い音を立てて現れた。
セロ──、指パッチン出来たのか……。
『 出来ない 』って言ってたのに!!
嘘吐いたんだな!!
セロめぇっ!
後で覚えてろよ!
忽然と現れたのは、長細い何かが丁寧に包まれていて、鎖がぐるぐる巻き付けられている布た。
沈んだ後に浮かび上がって来ない様にって考えられたのかな?
外側には鎖が何重にもぐるぐると巻き付けられている。
然も、重たそうな重りが沢山付いている。
何か……濡れてる…。
まるで、ついさっき迄、水の中にあったみたいに見えるんだけど……。
マレムダス
「 ──ひぃあっ?!
そ、其は…………ひぃやぁぁぁぁッッッ!!
何で此処にぃッッッ?!
捨てた筈なのにっ!
ダンデル湖に沈めた筈なのにぃぃぃいいいいいッッッ!!!! 」
取り乱し方が半端なくないか?
そんなにビビるもんなの??
ホームス:セロフィート
「 ワトスン、鎖を外して、布を取ってください。
布にくるまれているケレディさんの死体をマレムダス捜査官に見せてあげてください 」
はぁあ??
何を言い出すんだよ!
布の中のケレディさんを見せる??
ワトスン:マオ
「 ホームス!
何、言うんだよ!
こんな所で中身を見せろって──。
死体は駄目だろ!! 」
ホームス:セロフィート
「 ワトスン、お願いします 」
ワトスン:マオ
「 …………分かったよ 」
何を考えてるんだか分からないけど、オレはセロの言う通りにする事にした。
布の上にぐるぐる巻きにされている鎖を外すなんて器用な事が出来ないオレは、両手に鎖を持ってから軽く引っ張った。
鎖は意外と簡単に千切れた。
オレに掛かれば、此の程度のな鎖なら千切る位どうって事はない。
周りの大人達は驚いた顔でオレを見ている。
そりゃそうだよな。
大人でも千切れない鎖を外見が小徒のオレが、甚も簡単に千切って見せてるんだから、驚かない方がどうかしてる。
鎖を千切って邪魔な重りを取って退けたら、包まれて巻かれている布を動かして中身を出した。
布に包まれて巻かれていた中身は、人だった。
若しかして、ケレディさん?!
だけど──、包帯巻き巻きのケレディさんが目の前に居るし、此が殺されたケレディさん…………あれ?
何だろう??
ワトスン:マオ
「 ホームス!
此、何か膨らんでないか?! 」
ホームス:セロフィート
「 死体は大量の水を吸収すると膨らみます。
“ 人体の不思議 ” と言われる現象です 」
ワトスン:マオ
「 へぇ?
そうなんだ?
初めて知ったよ! 」
人体の不思議かぁ。
勉強になるけど、此は幾ら何でも膨らみ過ぎじゃないのかな??
此の膨らみ方は、まるで──風船だよ!
どんどん膨らむケレディさんの死体(?)は、パアァァァアン──と風船が割れた時と同じ様な大きな音を上げて破裂した。
人間の死体って風船みたい膨らむと破裂するんだなぁ…。