☀「 セロ 」アレンカルダ大陸 ／ ライナノットの街 ／ 自称★名探偵セロッタ・ホームスの迷宮事件簿

ライナノットの街 「 六日目 」

✔ ６．目的地 １３ 〜 確保 ５ 〜

ワトスン：マオ

「 うぐっ……。

　 そうだけど……。

　 だけど、警（けい）察（さつ）官（かん）は警（けい）察（さつ）になる時（とき）に〈 大（たい）(神（しん）)陸（りく）(仰（こう）)神（しん） 〉に誓（ちか）うんだろ？

　 其（それ）なのに何（なん）で悪（あく）事（じ）に手（て）を染（そ）めるんだよ！

　 〈 大（たい）(神（しん）)陸（りく）(仰（こう）)神（しん） 〉に誓（ちか）う意（い）味（み）がないじゃないか！ 」

ホームス：セロフィート

「 形（けい）式（しき）的（てき）な儀（ぎ）式（しき）に落（お）ちてますし。

　 一（いっ）種（しゅ）のパフォーマンスですね。

　 〈 久遠実成(宇宙を運営する主宰者) 〉への信（しん）仰（こう）心（しん）は何（ど）処（こ）へやらです。

　 パフォーマンスと化（か）した儀（ぎ）式（しき）でも信（しん）仰（こう）心（しん）のある警（けい）察（さつ）官（かん）も居（い）るでしょうけど、少（すく）ないでしょうね 」

ワトスン：マオ

「 ……………… 」

ホームス：セロフィート

「 形（けい）式（しき）的（てき）で儀（ぎ）式（しき）的（てき）なパフォーマンスであっても〈 久遠実成(宇宙を運営する主宰者) 〉へ立（た）てた誓（ちか）いは有（ゆう）効（こう）です。

　 誓（ちか）いを破（やぶ）れば相（そう）応（おう）の報（むく）いは受（う）けます。

　 〈 久遠実成(宇宙を運営する主宰者) 〉からの報（むく）いから逃（の）がれる事（こと）は出（で）来（き）ません。

　 例（たと）え自（みずか）ら命（いのち）を絶（た）ち、此（こ）の世（よ）から逃（に）げたとしても来（らい）世（せ）(あのよ)へ繰（く）り越（こ）されます。

　 魂（たましい）が消（しょう）滅（めつ）しない限（かぎ）り、報（むく）いからは逃（のが）れられない様（よう）になってます。

　 〈 久遠実成(宇宙を運営する主宰者) 〉から与（あた）えられ、生（い）かされている命（いのち）を自（みずか）ら絶（た）ち、人（じん）生（せい）の幕（まく）を降（お）ろす事（こと）は〈 久遠実成(宇宙を運営する主宰者) 〉に対する冒（ぼう）涜（とく）であり、許（ゆる）されない大（たい）罪（ざい）です。

　 繰（く）り越（こ）しされた報（むく）いにペナルティとして上（うわ）乗（の）せされます 」

ワトスン：マオ

「 …………〈 大（たい）(神（しん）)陸（りく）(仰（こう）)神（しん） 〉に誓（ちか）った事（こと）を破（やぶ）るって……怖（こわ）い事（こと）なんだな 」

ホームス：セロフィート

「 誓（ちか）いを破（やぶ）らなければ良（よ）いだけの事（こと）です 。

　 〈 久遠実成(宇宙を運営する主宰者) 〉は時（とき）に誓（ちか）いを立（た）てた人（にん）間（げん）に対（たい）して試（し）練（れん）を与（あた）えます。

　 網（あみ）目（め）の大（おお）きさは其（そ）の度（つど）に違（ちが）います。

　 まんまと篩（ふるい）の網（あみ）目（め）から落（お）ちてしまうと──。

　 ワトスンは知（し）ってますよね？ 」

ワトスン：マオ

「 …………思（おも）い出（だ）させるなよ…。

　 胸（むな）糞（くそ）悪（わる）い出（で）来（き）事（ごと）だったんだからさ…… 」

ホームス：セロフィート

「 はいはい 」

　セロが言（い）ってるのは未（ま）だ≪ エルゼシア大（たい）陸（りく） ≫に居（い）た時（とき）の事（こと）だろうな。

　≪ 港（みなと）(ピレト)町（まち）(レッシン) ≫で起（お）きた事（じ）件（けん）だ。

　思（おも）い出（だ）したくない辛（つら）くて胸（むな）糞（くそ）の悪（わる）い事（じ）件（けん）だった。

　いや……、人（にん）間（げん）が勝（かっ）手（て）に事（じ）件（けん）として処（しょ）理（り）していたアレは、事（じ）件（けん）なんてものじゃなくて……〈 大（たい）(神（しん）)陸（りく）(仰（こう）)神（しん） 〉に立（た）てた誓（ちか）いを破（やぶ）った人（ひと）達（たち）の……残（ざん）酷（こく）極（きわ）まりない末（まつ）路（ろ）の結（けっ）果（か）…だ。

　彼（あ）の時（とき）の篩（ふるい）に使（つか）われたのは、きっとセロだった。

　セロが彼（かれ）等（ら）に与（あた）えた試（し）練（れん）に、挫（ざ）折（せつ）してしまった人（ひと）達（たち）の成（な）れの果（は）て……。

　セロは厳（きび）し過（す）ぎるんだよ、人（にん）間（げん）に対（たい）して……。

ホームス：セロフィート

「 『 妊（にん）婦（ぷ）殺（さつ）害（がい）事（じ）件（けん） 』は怨（えん）恨（こん）柄（がら）みの犯（はん）行（こう）です 」

ワトスン：マオ

「 えっ？

　 ……怨（えん）恨（こん）柄（がら）み？？

　 何（なん）でそんな事（こと）が分（わ）かるんだ？ 」

ホームス：セロフィート

「 彼（かれ）等（ら）は愉（ゆ）快（かい）犯（はん）とは言（い）えません。

　 彼（かれ）等（ら）もまた、妊（にん）婦（ぷ）の被（ひ）害（がい）者（しゃ）でした。

　 妊（にん）婦（ぷ）は過（か）去（こ）に自（じ）己（こ）の行（おこな）った出（で）来（き）事（ごと）で深（ふか）い怨（うら）みを植（う）え付（つ）けたのでしょうね。

　 自（じ）業（ごう）自（じ）得（とく）と言（い）うか、身（み）から出（で）た錆（さび）と言（い）うか……。

　 彼（かの）(妊（にん）)女（じょ）(婦（ぷ）)は自（じ）分（ぶん）が過（か）去（こ）に行（おこな）ていた事（こと）に対（たい）する報（ほう）復（ふく）を受（う）けただけに過（す）ぎません。

　 因（いん）果（が）応（おう）報（ほう）ですし、真（しん）実（じつ）が明（あか）るみになれば、彼（かの）(妊（にん）)女（じょ）(婦（ぷ）)に同（どう）情（じょう）する者（もの）も減（へ）るでしょう 」

ワトスン：マオ

「 …………だけど、一（いっ）緒（しょ）に殺（ころ）された胎（たい）児（じ）が可（か）哀（わい）想（そう）だよ…。

　産（う）まれる前（まえ）にお腹（なか）の中（なか）から引（ひ）き裂（さ）かれるなんて…… 」

ホームス：セロフィート

「 前（ぜん）世（せ）で相（そう）応（おう）の事（こと）をしたのでしょう。

　 先（さき）程（ほど）も話（はな）しましたけど、前（ぜん）世（せ）で犯（おか）した罪（ざい）悪（あく）に対（たい）する報（むく）いからは逃（のが）れられません。

　何（い）時（つ）、どんな形（かたち）で自（じ）分（ぶん）に戻（もど）って来（く）るのか──、誰（だれ）にも分（わ）かりません。

　 胎（たい）児（じ）も又（また）、自（じ）業（ごう）自（じ）得（とく）と言（い）えるでしょう。

　 ワトスンが心（こころ）を痛（いた）める必（ひつ）要（よう）はないです 」

ワトスン：マオ

「 …………何（なん）か、そんな言（い）い方（かた）は嫌（や）だよ！

　 生（う）まれ変（か）わったら、新（あたら）しい人（じん）生（せい）が待（ま）ってるのに……。

　 別（べつ）人（じん）になって、新（あたら）しい人（じん）生（せい）を謳（おう）歌（か）も出（で）来（き）ないで、前（ぜん）世（せ）の報（むく）いを受（う）けるなんて…………そんなの…… 」