✔ 6.目的地 7 〜 訪問者 3 〜
ワトスン:マオ
「 ごめ~~んなさ〜〜〜い!
ボクのボールで~~す 」
オレは如何にも子供らしい声を出した。
オレの何処からこんな声が出るんだか。
自分が一寸だけ怖い……。
背筋がゾクゾクして悪寒がするよ……。
男:A
「 君の?
随分と可愛いボールだね 」
ワトスン:マオ
「 うん!
お祖父ちゃんとお祖母ちゃんからのプレゼントなんだ(////)
パンダさんだよ 」
男:A
「 パンダさん?? 」
男:B
「 若しかして《 セロッタ・カンパニー 》で売られてるボールじゃないかな? 」
男:A
「 セロッタ・カンパニー??
何の店だよ… 」
男:B
「 ん〜〜〜……色々売ってるらしいよ。
オレは行った事ないけどね 」
男:A
「 ふ〜ん? 」
男:B
「 ボール、返してあげたら? 」
男:A
「 あ、あぁ…。
そうだよな?
ほら、ボールだよ 」
ワトスン:マオ
「 有り難う、お兄ちゃん(////) 」
まさか犯人の口から《 セロッタ・カンパニー 》の名前を聞くとは思わなかった。
行った事はないんだな〜〜。
男:B
「 坊やは1人かい? 」
ワトスン:マオ
「 うん。
ボク…、引っ越して来たばかりなんだ…。
だから未だ友達が居なくて… 」
男:A
「 其で1人でボール遊びしてたのかい? 」
ワトスン:マオ
「 最初は1人だったけど、知らないお兄ちゃんが遊んでくれたよ 」
男:B
「 知らないお兄ちゃん?
坊や……、知らないお兄ちゃんと遊んじゃ駄目だよ。
お父さんとお母さんに言われてないのかい? 」
ワトスン:マオ
「 …………遊んじゃ駄目だったの? 」
男:A
「 まぁ、良いんじゃないのか?
何もされてないみたいだし? 」
男:B
「 …………まぁ…なぁ…。
坊や、1人で人気のない場所で遊んだら駄目だぞ。
どうしても此処で遊びたいなら、友達を作ってから遊びに来るんだ 」
ワトスン:マオ
「 どうして??
どうして1人で遊んだら駄目なの? 」
男:B
「 物騒だからだよ 」
ワトスン:マオ
「 物騒?? 」
男:B
「 う〜ん……危ないって事だよ 」
ワトスン:マオ
「 危ないの?? 」
男:A
「 人拐いが出るからだよ 」
ワトスン:マオ
「 人拐い?? 」
男:A
「 誘拐魔だよ。
…………そうだなぁ、悪い人に連れ去れて、お家に帰れなくなる──って言えば分かるかな? 」
ワトスン:マオ
「 お家に帰れないの? 」
男:A
「 そうだよ。
お家に帰れなくなると、大好きなお父さん,お母さんに会えなくなるんだ。
勿論、お祖父ちゃん,お祖母ちゃんにも会えなくなる。
一生涯ね。
どうだい?
そうなったら嫌だろ? 」
ワトスン:マオ
「 ………………うん…。
そんなの嫌だよ… 」
男:B
「 おぃおぃ、怖がらせるなよ。
泣きそうになってるじゃないか。
酷い兄ちゃんだよな? 」
男:A
「 酷いって何だよ。
オレは、此の子の為に言ってるんだぞ? 」
男:B
「 そうだ。
さっき、『 知らないお兄ちゃんに遊んでもらってた 』とか言ってたよね? 」
ワトスン:マオ
「 うん。
あっちで遊んでもらったよ 」
男:A
「 あっち? 」
ワトスン:マオ
「 うん!
後からお兄ちゃんが2人来て、3人のお兄ちゃんに遊んでもらったよ 」
男:A
「 …………なぁ… 」
男:B
「 …………うん…。
ねぇ、坊や。
其の3人のお兄ちゃん達は、紙を持ってなかったかな? 」
ワトスン:マオ
「 紙って?? 」
男:A
「 こんなのだよ 」
パンダボールをオレに返してくれた男が、手に持っていた紙を御丁寧に見せてくれた。
何が書いてあるのか全く読めない。
セロがくれたメモ用紙に書かれている文字と同じに見える。
此が暗号を使って書かれた手紙なら、セロが用意した手紙だと言う事になる。
此の2人は間違いなく、妊婦を集団リンチして殺害した犯人の仲間だ!
子供を演じてるオレに意外と親切で、心配してくれてるのは素じゃなくて芝居なのかも知れない。
ワトスン:マオ
「 読めないよ… 」
男:A
「 あぁ……だよな。
此は兄ちゃん達にしか読めない秘密の暗号なんだよ 」
ワトスン:マオ
「 秘密の暗号?!
カッコイイ!!
其って宝の地図だね!
ボクも宝探しした〜〜〜い!! 」
男:B
「 あはは……。
此は宝の地図じゃないんだよねぇ…。
兄ちゃん達はね、此の紙を持ってるお兄ちゃん達と会わないといけないんだ。
どうかな?
坊やと遊んでくれたお兄ちゃん達は、此と同じ紙を持ってなかったかな? 」
此の状況は若しかして、セロから渡されたメモ用紙を見せる絶好の機会かも知れない!