✔ 6.目的地 5 〜 訪問者 1 〜
手紙を届けに行ってくれたアプリシブ警部,インエンジニ警部が戻って来てから約15分程が経過した頃、見慣れない2名の男性が現れた。
本当に来た!
何だか戸惑っているみたいだし、手には何かを掴んでいるみたいだ。
若しかしたら手紙かな?
アプリシブ警部,インエンジニ警部,モンデグリ警部,ホッガレミ警部も警察官,捜査官も誰も動かないで様子を見ているみたいだ。
ワトスン:マオ
「 ホームス、来たよ。
計画通り…だよな?
手に持ってるのって手紙かな??
…………あんまりパッとしない感じの人だな?
彼の2人が『 妊婦殺害事件 』を実行した5人組の2人なのか?
全然、人を殺しそうに見えないんだけど…… 」
ホームス:セロフィート
「 ワトスン、人を見た目で判断してはいけません。
パッとしないで冴えない感じの幸薄そうな非リア人に見えているとしても、決して油断をしたり、気を許してはいけません 」
ワトスン:マオ
「 …………オレ、『 パッとしない感じの人だな 』って事しか言ってないけど? 」
ホームス:セロフィート
「 おや?
そうでした? 」
ワトスン:マオ
「 そうだよ!
勝手に脚色するなよ…。
其でさ、此の後はどうするんだ?
まさか此のまま放置じゃないよな? 」
ホームス:セロフィート
「 とある場所迄誘導してもらいます 」
ワトスン:マオ
「 誘導?
誰が?
どうやって?? 」
ホームス:セロフィート
「 勿論、ワタシの助手です。
ワトスン、お願いします♪ 」
ワトスン:マオ
「 『 お願いします♪ 』じゃ、ないわ!
妊婦を殺した犯人かも知れない危ない奴等にオレを接触させるって言うのか? 」
ホームス:セロフィート
「 そうです。
ワトスンは不老不死でしょう。
仮に刺されたとしても被害者はワトスンだけで済みますし、現行犯で捕まえられます。
ワトスンなら人間の男を動けなくするぐらい造作もないでしょう?
どう見ても此の中ではワトスンが適任です。
ワトスン以外は残念ながら大人ですし。
幸いな事にワトスンは容姿も雰囲気も子供です 」
ワトスン:マオ
「 オレも大人ですけど! 」
確かにオレはセロと契約した瞬間から不老不死になったよ。
仮に刺されたとしても死にはしないさ。
首と胴体を切断されてたって死ねないんだから、オレを適任者にしたい気持ちは分からなくないよ。
だけどさ、刺されると痛いんだよ!
血管も血液も無いから斬られても血は出ないけど、人並みに痛みは感じるんだよっ!!
被害者を悪戯に出したくないから、オレに危険な事をさせたい気持ちも分かるよ。
だけど……。
ホームス:セロフィート
「 此を使ってください 」
ワトスン:マオ
「 何だよ? 」
そう言ってセロから手渡されたのは、ボールだった。
白と黒の……えぇと、 “ サッカーボール ” って名前だったっけ?
確か…トイチの祖国で子供に流行ってるボールらしくて、蹴って遊ぶんだったよな?
ちゃっかりしているセロは《 セロッタ・カンパニー 》でサッカーボールを販売している。
可愛いのが好きな子供向けに、サッカーボールにパンダの顔を入れた “ パンダボール ” って命名したサッカーボールよりも小さいボールも販売している。
…………トイチも徐々にだけど、セロ色に染まりつつある様な気がするのはオレの気の所為だろうか?
オレに渡されたサッカーボールを良く見てみたら、可愛いパンダの顔が入っている。
サッカーボールと同じ大さのパンダのボールだった!!
こんなお子ちゃまが喜ぶボールを使って、オレに何をさせようって言うんだよ?
はっきり言って、不安しかない。
ワトスン:マオ
「 …………ホームス、何でサッカーボールに見せ掛けたパンダボールなんだよ? 」
ホームス:セロフィート
「 其の方がワトスンに似合うと思って。
相手も油断してくれます 」
ワトスン:マオ
「 パンダボールなんかで2人の男が油断するとは思わないけど? 」
ホームス:セロフィート
「 ワトスン、彼等を此処へ誘導してください 」
ワトスン:マオ
「 此処?
…………う、うん。
分かったよ。
出来るか分からないけど出来る限りの事はしてみるよ 」
ホームス:セロフィート
「 若しも、会話に困ったら2人に此を渡してください 」