✔ 6.隠れ家 7 〜 迷探偵の華麗なる迷推理 7 〜
ホームス:セロフィート
「 おや?
知ってました?
お喋りな〈 器人形 〉ですね 」
ワトスン:マオ
「 王家の紋章旗の為に何でホームスが人間に協力するんだ?
オレ、何か腑に落ちないんだけど…… 」
ホームス:セロフィート
「 何故です? 」
ワトスン:マオ
「 だってさ、何時ものセロ──ホームスならさ、王家の紋章旗だって〈 テフ 〉で構成しちゃうじゃないか 」
ホームス:セロフィート
「 そうですね 」
ワトスン:マオ
「 其なのに今回に限っては〈 テフ 〉で構成しないんだろ?
何でだ? 」
ホームス:セロフィート
「 何故だと思います? 」
ワトスン:マオ
「 分からないから聞いてるんじゃないか 」
ホームス:セロフィート
「 折角ですし、推理してください 」
ワトスン:マオ
「 推理?
何で王家の紋章旗を〈 テフ 〉で構成しないのか? 」
ホームス:セロフィート
「 そうです 」
ワトスン:マオ
「 嫌だよ。
オレは探偵じゃないんだ。
推理なんてしない!
ホームスが教えてくれたら済む事だろが 」
ホームス:セロフィート
「 そうですけど…。
ワトスンの推理を聞きたいです 」
ワトスン:マオ
「 しないってぇの! 」
ホームス:セロフィート
「 はいはい。
王家の紋章旗を〈 テフ 〉で構成しないのは、王族からの絶対的な支持力がなければ、王家の紋章旗を掲げても大した効果は得られないからです。
王族の後押しが無いより有った方が、ガッポリするにも都合が良いです。
商売を成功させる秘訣は、利用の出来るものを最大限に利用する事です。
例え其が王族であったとしても、踏み台にしてのしあがるのが商人です 」
ワトスン:マオ
「 …………ホームスは商人じゃなくて吟遊詩人だろ〜〜。
本当に商人は王族を踏み台にして利用するのかよ? 」
ホームス:セロフィート
「 さぁ?
どうでしょう。
本当の所は知りません。
商人ではないですし 」
ワトスン:マオ
「 何だよ、其は〜〜〜 」
ホームス:セロフィート
「 ふふふ。
要は上手く王族に借りを作らせる事です。
此方に借りを作らせれば、弱味も幾つか握れますし、交渉する時には有効な切り札として使えます。
王族に売れるだけ恩を売っておくと良いでしょう 」
ワトスン:マオ
「 …………じゃあ、今は王族に恩を売って借りを作らせてる最中な訳か? 」
ホームス:セロフィート
「 借りを作らせるのは序でです。
あくまでも目的は “ 王家の紋章旗 ” と “ 王族からの支持 ” を得る事ですし 」
ワトスン:マオ
「 ………………そ、そうなんだ…。
貢献した褒美に王様から王家の紋章旗を授けてもらえるんだよな?
貰えなかったら酷い事するのか? 」
ホームス:セロフィート
「 はて?
酷い事…です? 」
ワトスン:マオ
「 惚けなくて良いから!
〈 器人形 〉から全部聞いてるんだからな!! 」
ホームス:セロフィート
「 態々知らなくても良い事です。
知らぬが仏…と言う諺もありますし 」
ワトスン:マオ
「 何だよ、其ぇ…。
どういう意味だよ… 」
ホームス:セロフィート
「 さぁ?
ワタシにも分かりません。
トイチの国で使われる諺の様です 」
ワトスン:マオ
「 トイチの国の諺?? 」
ホームス:セロフィート
「 知ると不愉快になる事も、知らなければ心を乱す事もない──とか、多分そんな感じだったと思いましたけど? 」
ワトスン:マオ
「 あやふやだな〜〜〜。
まぁ、確かに?
知らなくても良い事を強引に知って、腹を立てたり悩んだりするよりは、全く知らないで居た方が平静な心を保って居られるとは思うけど……。
だけど!
セロ──ホームスとオレの間に関しては今更って感じがするけど?
『 いいこと 』も『 大人のおまじない 』だってする夫婦の仲なんだし、隠し事なんてされたくないよ!
オレはセロ──ホームスを嫌いになったりしないし、オレから離れたりもしないしさ。
ホームスの隣を誰かに譲る気なんて、オレは更々無いんだからな!! 」
ホームス:セロフィート
「 ワトスン…(////)
ヴドゥフ王が王家の紋章旗を授けるのを拒否したなら──。
マオならヴドゥフ王と王国をどうしたいです? 」
ワトスン:マオ
「 どうしたいって…… 」