✔ 6.隠れ家 5 〜 迷探偵の華麗なる迷推理 5 〜
仕分けをした後で種類分けをして、一段落付いたら、1時間が経っていた訳だ。
未だ全部が終わった訳じゃないけど、ここいらで一服でもしたい。
ワトスン:マオ
「 ホームス〜〜。
オレ、一休みしたいんだけどさ、代わってよ 」
ホームス:セロフィート
「 どうぞ、休んでください。
スイーツ、ありますけど食べます? 」
ワトスン:マオ
「 いや、お茶だけで良いよ。
一寸休むだけだし 」
ホームス:セロフィート
「 そうです?
ワトスンの為に用意した特製のシフォンケーキとクッキーが無駄になりました。
仕方無いですけど、廃棄処分しましょう 」
ワトスン:マオ
「 えっ??
廃棄??
捨てるのか? 」
ホームス:セロフィート
「 そうです。
生ゴミ箱の中へポイします 」
ワトスン:マオ
「 駄目だ!
そんなの勿体無いよ!! 」
ホームス:セロフィート
「 はあ?
勿体無い…です?
君が言いますか。
食べないのでしょう? 」
ワトスン:マオ
「 ──たっ食べるよっ!!
全部食べるから、捨てんな! 」
ホームス:セロフィート
「 『 食べない 』と言ったのに… 」
ワトスン:マオ
「 もう捨てちゃった後じゃないよな?? 」
ホームス:セロフィート
「 直ぐには捨てません 」
ワトスン:マオ
「 なら!
全部、食べるから出せよ! 」
ホームス:セロフィート
「 はいはい 」
セロは廃棄処分する筈だったスイーツをテーブルの上に出してくれた。
あるだけ出してくれたみたいだ。
どんだけ用意してくれたんだよ?!
オレは気持ちを切り替えて、目の前に出されたスイーツを全部食べる事にした。
オレが懸命にスイーツを食べてる間、セロは古代魔法を発動させたみたいだ。
残りの仕分けと種類分けを自分でするのが嫌だからって古代魔法に頼り過ぎだろ!
魔法陣が床に出現すると、中央から数体の〈 器人形 〉が現れた。
数体の〈 器人形 〉に命が吹き込まれた瞬間、一斉にカッ──と両目が開いた。
目を開けた〈 器人形 〉は一斉に動き出して、テキパキと効果音が出そうなくらいの無駄のない動きで、オレがやりかけたまま置いている仕分け作業と種類分けの作業を始めた。
〈 器人形 〉が起動する瞬間を初めて直に見たけど、一寸だけ怖かった……。
〈 器人形 〉を出してさせるなら初めから使ってほしかったんですけど!!
オレが1人で頑張った1時間を今直ぐ返してほしい!
──いや、証拠を探し回った2時間も合わせたら、3時間だ!!
〈 器人形 〉の作業スピードはオレの作業スピードよりも早かった。
オレが10分も掛かってするのを〈 器人形 〉は1分以内で終わらせてしまうんだ。
優秀で有能過ぎて、オレなんか要らないじゃんかよ!!
セロめぇ!!
オレで遊んでたんだな?!
セロめぇっ!!
器人形
「 ホームス様、作業が終わりました 」
ホームス:セロフィート
「 宜しい。
『 エレファント・ザ・リッパー事件 』『 貴族令嬢殺害事件 』に関する全ての資料,証拠品を複製しなさい。
複製後、ヴドゥフ城へ複製した方の資料,証拠品を届けなさい。
資料の原本,証拠品の原物は此方の地下保管庫にて保管します 」
器人形
「 仰せのままに 」
セロに深々と頭を下げた〈 器人形 〉は収集した証拠品を魔法陣の中へ運んでいる。
オレがフワッフワのシフォンケーキを食べ始めた頃には魔法陣は消えていた。
隠れ家の中で集めた証拠品は全部、〈 器人形 〉が魔法陣の中に入れて持ち去ってしまったんだ。
マジでオレ、要らなかったじゃんかよ。
ムカムカしたオレは、6種類のシフォンケーキをやけ食いしてやった!!