✔ 6.隠れ家 1 〜 迷探偵の華麗なる迷推理 1 〜
──*──*──*── 隠れ家
〈 器人形 〉が作ってくれた地図を片手に、 “ 名探偵( 自称 )セロッタ・ホームス・シンミン ” を名乗っているセロ── セロフィート・シンミン ──と “ ホームスの助手にされたマオ・ワトスン・シンミン ” ことオレ── マオ・ユーグナル ──は、目的地の隠れ家に到着していた。
此処に着く迄の道中に一寸したプチハプニングが色々と起きたりしたけれど、何とか無事に着けた事に対して、オレは心の底から安堵していた。
諸々のプチハプニングについては、完全黙秘したい。
大幅に内容を省く事を寛大な心で許してほしい。
此の隠れ家は、『 エレファント・ザ・リッパー事件 』の殺人鬼達,変態露出狂達と『 貴族令嬢殺害事件 』の犯人達の潜伏場所────だった所だ。
現在はどうやらものけの──じゃなくて、もぬけの殻みたいだ。
折角来たのに誰も居ないし、引き払われた後だなんて、付いてないよなぁ…。
其とも……若しかして、王国騎士団,国境騎士隊が突入して捕らえられちゃった後だったりするのかな??
一足遅かった──って言うか、一足違い??
ワトスン:マオ
「 ……誰も居ないし、ガランとしてるな〜〜。
色々と覚悟して来たのに……。
王国騎士団か国境騎士隊にしょっぴかれちゃったのかな?? 」
ホームス:セロフィート
「 ──其の可能性は無いです 」
ワトスン:マオ
「 へ?
無いの??
だってもぬけの殻だぞ 」
ホームス:セロフィート
「 下を見てください。
魔法陣が発動された痕跡が残ってます 」
ワトスン:マオ
「 魔法陣って言われても……。
ホームス、オレは〈 ノマ 〉だよ。
魔法の痕跡なんて見えないし、分からないよ…… 」
ホームス:セロフィート
「 そう…でしたね。
ワタシの発動する古代魔法が見える様になったので、ウッカリしてました 」
ワトスン:マオ
「 元素魔法も見えるよ。
けど…魔法の痕跡って……どんな感じに見えるんだ?? 」
ホームス:セロフィート
「 〈 テム 〉に依って見え方は異なります。
一目見れば “ 痕跡だ ” と判ります。
但し、〈 テム 〉なら誰にでも見える訳ではないです。
魔法痕跡専用の魔法が幾つかありますから、発動させる使う必要があります。
極稀に裸眼で痕跡が見える〈 テム 〉も居ますけど 」
ワトスン:マオ
「 そうなんだ?
オレなんて、全然無理じゃんか 」
ホームス:セロフィート
「 そうでしたね 」
ワトスン:マオ
「 魔法陣が発動された痕跡がある──って事はさ、転移魔法を使ったのかな?
仲間にウィザードが居たって事か? 」
ホームス:セロフィート
「 可能性としてはあるでしょうね。
痕跡から判断すると、1人で発動させるのは困難な魔法です。
複数名のウィザードが関与していると考えて間が違いないでしょう。
此も証拠になります 」
ワトスン:マオ
「 証拠にするにしても、見えない痕跡をどうやって証拠にするんだよ? 」
ホームス:セロフィート
「 先程も言ったばかりでしょう。
魔法痕跡専用の魔法があると。
〈 ノマ 〉の裸眼でも見える様にする魔法があります。
其を使います 」
ワトスン:マオ
「 じゃあ、オレにも転移魔法の痕跡が見えるんだ?
ホームス、早く見える様にしてよ! 」
ホームス:セロフィート
「 はいはい。
急かさないでください 」
せがむオレに笑いかけてくれた後、セロは魔法を発動してくれた。
何時もよりも小さな魔法陣だから、多分だけど古代魔法じゃなくて元素魔法の方かな?
セロ曰く古代魔法と元素魔法の魔法陣は大きさが違うらしい。