──*──*──*── 宿泊室
宿屋の宿しゅく泊はく室しつは土ど足そくらしい。
まぁ、至いたって普ふ通つうの宿やど屋やは何ど処こだって土ど足そくなんだけど……。
オレはブーツを履はいいたままの状じょう態たいで宿しゅく泊はく室しつに入はいった。
マオ
「 …………何なんか、えらく質しっ素そな部へ屋やだな…。
41.000Uユロも払はらったのに!! 」
セロフィート
「 正せい確かくには45.000Uユロです 」
マオ
「 は??
何なんて??
何なんで、4.000Uユロも余よ分ぶんに払はらったんだ? 」
セロフィート
「 夕ゆう食げディナーの分ぶんです 」
マオ
「 夕ゆう食げディナー?
其それなら《 飲いん食しょく街がい 》に行いくって言いってたじゃないか 」
セロフィート
「 今こん夜やは夕ゆう方がたから雨あめが降ふるそうです。
コートのお蔭かげで濡ぬれる事ことはないですけど、今日きょうは夕ゆう食げディナーの時じ間かん迄までゆっくりしましょう 」
マオ
「 雨あめが降ふるのか? 」
オレは窓まどに近ちか付づくと、閉しまっている窓まどを開あけて空そらを見みてみた。
まぁ、確たしかに、曇くもってはいるけど……。
降ふるのかなぁ、雨あめ…。
セロフィート
「 どうです、マオ。
雨あめは降ふりそうです? 」
マオ
「 曇くもってはいるけどなぁ… 」
セロフィート
「 マオ、窓まどを閉しめてください。
宿しゅくへ泊はく室しつやを模も様よう替がえします 」
マオ
「 うん。
分わかかったよ 」
セロに言いわれて、オレは窓まどを閉しめた。
「 あっ! 」と言いう前まえに一いっ瞬しゅんで室しつ内ないが変かわる。
何い時つ見みてもセロの古こ代だいエンシェント魔ま法ほうマジックは凄すごいし、便べん利りだ。
質しっ素そで固かたそうだったベッドは、高こう級きゅう品ひんとはいかないものの座すわり心ごこ地ちも寝ね心ごこ地ちも頗すこぶる最さい高こうなベッドに変かわっている。
壁かべや天てん井じょうは落おち着つく色いろに変かわっている。
床ゆかには上じょう品ひんな絨じゅうカーペ毯たんットが敷しかれている。
何い時つの間まにか、オレの履はいていたブーツはドアの回まわりに出で来きた土ど間まに置おかれていて、オレの足あしはルームシューズを履はいていた。
着きていた筈はずのコートも壁かべに掛かかっているハンガーに掛かけられている。
セロフィート
「 マオ、座すわりましょう。
事じ件けんとやらについて教おしえてください 」
マオ
「 あぁ、うん。
そうだったな 」
ベッドに腰こしを下おろして座すわったセロの隣となりに移い動どうして、オレもベッドに腰こしを下おろして座すわった。
オレが座すわると、オレの手ての上うえにセロが手てを重かさねて来きた。
何い時つもこんな感かんじだ(////)
こーゆ〜事ことをされちゃうから、オレはセロに “ 好すかれてる ” って勘かん違ちがいしちゃうんだよな…(////)
本ほん当とは違ちがうんだって……いう事ことは薄うす々うすだけど、気き付づいてはいるんだ。
唯ただ……、認みとめたくないだけで…。
オレもセロにとっては唯ただの…暇ひま潰つぶしの為ための玩がん具ぐおもちゃに過すぎないんだって……。
何い時つなのかは覚おぼえてないけど、薄うす々うす…気き付づいていた。
セロがオレを大だい事ことにしてくれたり、気きに掛かけてくれたり、優やさしくしてくれるのは、玩がん具ぐおもちゃを長なが持もちさせる為ために丁てい寧ねいに扱あつかう行こう為いなんだって……気き付づいてしまった。
唯ただ々ただ切せつない…。
オレはセロが大だい好すきなのに、セロにとってのオレは玩がん具ぐおもちゃの1つでしかない事ことが……悲かなしい…。
其それでもオレは、セロの傍そばに居いたいし、一いっ緒しょの時じ間かんを過すごしたい。
セロにとってオレは──、今いまの所ところは…代かわりの効きかない大だい事ことな玩がん具ぐおもちゃなのだとしたら、其それはセロにとっては “ 特とく別べつ ” だから。
オレはセロの “ 特とく別べつ ” で居いたい。
例たとえオレの想おもいが報むくわれる事ことがなくても、其それでもオレはセロから離はなれたくないんだ。
セロの居いない人じん生せいなんて、真まっ平ぴら御ご免めん被こうむる。
オレはセロの玩がん具ぐおもちゃなのを甘あまんじて受うけ入いれている。
セロに直ちょく接せつ確たしかめた訳わけじゃないけど、事じ実じつは事じ実じつで、覆くつがえらないだろうし…。
フィンフィンフィレイナからも散さん々ざん口くちを酸すっぱくして言いわれてたしな…。
フィンフィンフィレイナはオレがセロにとって、暇ひまを潰つぶす為ための玩がん具ぐおもちゃだって事ことを初はじめから知しってたんだよな…。
ずっと…聞きく耳みみを持もたないオレに対たいして、自じ覚かくする様ように……、身みの程ほどを知しって弁わきまえろって教おしえてくれてたんだ…。
耳みみタコだったけど、フィンフィンフィレイナなりの優やさしさだったのかも知しれない。
聞きいても否ひ定ていされるだろうから、敢あえては聞きかないけど…。
「 オレはセロの玩がん具ぐおもちゃなの? 」なんて事こと、セロに直ちょく接せつ聞きくなんて怖こわくて…とても出で来きない。
セロから直ちょく接せつ「 マオはワタシの玩がん具ぐおもちゃです 」なんて、言いわれたくないんだと思おもう。
聞ききたくもないんだろう。
オレの中なかに「 未まだ認みめたくない 」と思おもってるオレが居いるんだと思おもうんだ。