仲間
「!?」
目の前には人とは程遠い姿をした何かが、心配そうにこちらを見ていた。
「...ごめんね、怖いよね。こんな変な奴が目の前にいたら...。キミ、僕が見えるの?」
そう言って、人狼は私から離れた。この世にはないものを見ることができる私を恐れたのか、私を怖がらせないようにそうしたのか。どちらにしろ、私にはこの人狼が驚きだった。
「うん、見えるよ。昔からそういう眼をしてるの。あと、怖がってないよ、妖怪にこんなに心配されたのは初めてだから驚いただけ。」
「そうなんだ、けど人間になるね。キミが一人で喋ってるように見られちゃいけないから。」
徐々に人狼の体はヒトに変わっていった。私と同じ中学生くらいの男の子だった。
「あなたは体を持っているのね。ほかのコたちはそういうのを嫌うんじゃない?」
「そうだね。この体のときはヒトから僕の姿が認識できるんだ。キミのような眼をもっていなくてもね。僕たちは一種のナカマかもしれないね。」
「どうして?」
「僕たちはお互いの世界でハブられものだから。」
「...そう、だね...。」
「あ、ごめん。落ち込ませるためにそう言ったんじゃないんだ。」
私が表情を暗くすると彼はあたふたしてそう言った。
「どういうこと?」
「僕は、ようやく仲間ができてうれしいと思ったんだよ。」
「...。」
「キミの言うとおり僕は嫌われ者なんだ。家族からも、友達はいない。大人は誰も僕に話しかけようとしない。だから、僕は基本的にこの人間の姿で行動して人間を観察するんだ。そこで今日、キミを見つけた。」
「私を助けようとはしなかったの?」
「僕にはそんな力はないよ。それにあったとしても僕は人を傷つけたくない。」
「他人をいじめる悪人でも?」
言葉に力が入った。やつあたりだとはわかってる。でも、何かいやだった。自分の無力さか、それとも彼の言葉に偽善を感じたからか...。
「それでも...僕にはできない。この世界でなにか起こしてしまったら僕の居場所は、無くなってしまうから。」
「そう、自分を守るためね...。」
「ごめん...。」
「いいのよ、私もそうしたと思う。自分を守ろうとするのは生き物として当たり前だもの。」
「ねえ。」
「何?」
期待した目で彼は私に信じられない言葉を告げた。
「友達にならない?」
岡田です。
今回の作品とても薄い内容で終わらせてしまって申し訳ないです。
一日一回更新する、とは言ってもこの薄さはきついですね。
慣れてないから、という言い訳もしたいものですが
明日からはなるべく濃い内容で皆様を楽しませたいと思います。お楽しみに!