中学校生活
「梨央、今日食堂でご飯食べよ」松山玲奈に誘われて、私たちは食堂へ向かう。途中で石井と空と(あの二人、以外と仲いいんだよねぇ)その友達に会い、全員で食堂にいくことになった。
「石井、ノリどこか知ってる?どうせなら誘おうと思ったんだけど」
「ノリは多分裕太と一緒に図書室にいるよ」
「そっかぁ」
「梨央って紀明くんと結構仲いいよね」
「だってずっと一緒だし、家も近いし、仕事仲間だし」
「近藤、お前、彼氏いるのか?」あれ?いたっけ?ヤバい、完璧に忘れてしまった...。なんかいたようないなかったような...。あれ?どうだったっけ?
「えーっとねー...」
「いるの?」
「いない?」
「わかんないの?」
「多分いない」
「うそー!」
「お前なら絶対にいると思ったのに...」
「ちょっ、近藤!」石井に呼ばれて私は席をはずす。
「なに?」
「お前、彼氏いるじゃん」
「え?そうだっけ?なんかいそうでいないような...」
「だからいるって」
「誰?あ、ノリか」
「もう忘れてたのか」
「え、まぁ」
「あきれた」
「なんか覚えておくために工夫しなきゃな」
「ホーム画面お前とノリのツーショットにしたら?」
「あーいいね。沢山あるよ」
「動物園の時のにしたら?」
「あ、これいいんじゃない?後ろにちょうどトラが写ってるし」
「いいじゃん」
「じゃ、戻ろっか」
「あ、待て。お前が彼氏いるってこと、秘密にしておけ。大騒ぎになるぞ」
「はーい」とはいったものの、私また忘れたらどーしよう...。ていうか、なんで石井私のことそんなに詳しいの??
「あ、どこいってたの?」
「えーっとね...」
「何買うか相談してただけ」石井が代わりに応える。
「ふーん」
「で、彼氏いるの?」
「いない」
「本当に?」
「いない」
「じゃぁ男子も早い者勝ちだね!」
「え...?」
「だって、彼氏いないんでしょ?」
「先に告白したほうが勝ちってこと」あれ?ここって優秀学校だよね?頭いい人の集まった学校だよね?本当に頭がいい人ってこんななの?私が石井の方を見る。石井はうなずいた。これでいいってことだよね?
放課後、私は石井とバスケ部を見学に行った。この学校のバスケ部は、男女一緒だ。なのに、女子がなんと一人もいないという悲劇。でも、私は(もし石井が入ってくれるんだったら)石井がいるし、大丈夫だと思って思いきって見学に来た。
「どう?」
「どうって、別に」
「入る気になったってこと」
「まぁ、楽しそうだし」
「じゃぁ私も入る!」
「女子一人だぞ」
「いいの!石井いるし、ノリと空も誘えばいいし」
「ノリは多分野球部行ったよ」
「え?なんで?」
「お前、最初野球部に入るとかいってなかったけ?」
「もやめた。マネージャーしかできないんだもん」
「ノリは来るとおもってんじゃないの?」
「えー...」
「どうすんの」
「でもやっぱり私はバスケ部」
「そう。じゃぁ部活入ろっか」
「なんか急に優しくならなかった?」
「あ?」
「気のせいか」
「裏の顔」って誰にでもあるんだね。例えばノリは表は野球少年だったけど、裏では恋愛とかしてたし、空は表は明るくてテキトーだけど、裏は動物好きだし。で、石井は表ではリーダー的存在で、からかいやすい人だけど、裏では恋も、人生のことも。ちゃんと考えていたんだね。