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人生という恐ろしいもの  作者: オムライス
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後生活

サイレンは鳴り続け、マンションの周りには立ち入り禁止テープが貼られている。陸の兄ちゃん、弟、親...。全員が苦しみを感じている。俺と近藤は、黙って現場を見ていた。テレビアナウンサーや記者などが駆けつけ、俺たちに質問をしてくる。勿論、俺らは有名だ。だから尚更、全員が事情を聞きたがってる。そして俺らが残した言葉はこれだ:陸と、僕たちのことを思うなら、このことを一切メディアに上げないでください。これで、メディアにあげた番組は、最低だと誰でも分かるだろう。勿論、自殺があったことは放送されたが、それ以外のことは一切報じられなかった。


「家、帰ろうか」

「親になんて説明すればいいんだ?」

「う~ん...とりあえずしたで明日のお菓子買ってたって言えば許してくれると思うよ」

「30分も?」

「で、そのあと私と会って、話していた。それでいいじゃん」

「はぁ...」

「本当のこと言いたくないでしょ?」

「まぁ」


実を言うと、あの日記には続きがあったのだ。「最後に。俺はずっと6年間、近藤が好きだった。そして、もう恋はしないと思う。だから近藤、お前は元気に、俺の分も生きてくれ。そして紀明、お前には大事な頼みがある。近藤はそんな簡単に浮気する人ではない。むしろ、絶対しないと保証してもいいぐらいだ。だから紀明、お前は俺の人生を思うのなら、俺の分、近藤を守ってあげてくれ。そしてなにか一つでもお前に不満がある場合は、俺が天罰を与える。だから...これからも近藤を頼んだぞ。あと、石井にも、他のやつらにも、挨拶をしてやってくれ」これが陸が残した最後の言葉。あいつはどれだけ近藤に恋をしていたのだろう。陸は俺たちを助けてくれた。自分の命を犠牲にして...。




あの事件から一週間。もう、陸が自殺したことは話題にはなっていなかった。俺らも、知らなかったかのような反応をした。石井にだけ真実を告げ、あとはいつも通り。何事もなかったかのようだ。

この日から、俺は先生の問いの答えを、真剣に考えるようになった。人生とは、なんだろう。

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