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射場所を求めて  作者: 今田ずんばあらず
3/7

美苗を越えてやる

*妻手:めて。右手のこと。弦を持つ方の手。

 学が弓道部に入ったのは、私の影響もあったんだと思う。

 高校三年の四月だった。


 当時小学六年生の学が、

 私の出場する関東大会予選を観戦しに来たのだ。


 私の弟と学の兄が連れてきたらしい。

 二人とも同じ弓道部で、私の一つ下の後輩だった。



 男子の試合と女子の試合は別の日に行われるんだけど、

 家族(あるいは親友の姉)の試合を観にいくという合法的な理由で、

 袴姿の女子高生を観察するのが二人の目的のようだった。



 学は「合法的な理由」の証拠として引き連れてきただけなのだろうが、


 とにかく、学は私の姿を見て弓道をやろうと決心したのだ。



 予選の二回戦で四射皆中をした。

 一回戦の成績も含めると八射七中。


 試合ではよく緊張しちゃうけど、

 今回は落ち着いて引けたし、妻手(めて)が下がることもなかった。


 弓と体が一体になる感触を味わえたし、

 あたる前から的中する予感もつかんでいた。


 「あてる」じゃなくて「あたる」なのだ。



 団体戦は負けちゃったけど、

 個人戦では五位になり、六月に開かれる本戦への切符を手に入れたのだった。


「俺、弓道やる。弓道やって、美苗を越えてやるんだ!」


 生意気な小六坊主らしい、

 強気で幼い意気込みを私に聞かせてくれた。



「そうかいそうかい。やってみなよ」


 その頃は学の決意を本気にしてなかった。


 というより、弓道に限らず、学が決めたことなら

 突っ走ってくれたらいいと思っていたのだ。

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