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研究日誌  作者: 山石尾花
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五月十七日

 五月十七日


 昨夜、再度過去の研究ノートを見直した。最初は研究の大まかな流れだけを追って読んでいたが、より抽出成分を絞り込むため、実験数値も把握しておく必要があったからだ。

 そこで、私はさらに驚くべき数値を目にした。細胞活性試験の数値が……異様に高いのだ。これは抽出成分の中に、文字通り細胞を活性化させる作用を持つ化合物が存在していることの証明に他ならない。

 カラムクロマトで75%クロロホルムの溶媒を流した時に抽出される化合物群の中に存在するらしい。

 それはさらに高速液体クロマトグラフィーで単一の化合物に分離され、L-13と名付けられていた。


 今日、私はカラムクロマトグラフィーを行った。

 予め菌から取り出した成分をカラム内のシリカゲルに吸着させておき、その上から異なる濃度の溶媒を流すことにより、それぞれの溶媒に親和性の強い化合物がカラムの外へ排出されるという仕組みだ。

 溶媒を流し始めると、赤橙色の帯がカラム内を下降していった。私の身長ほどあるカラムの下に、三角フラスコを置き、その成分を取り分ける。

 カラムを彩る美しいグラデーション。空にかかる虹にも負けずとも劣らない、鮮やかな色だ。七色の虹とは違う、単色の虹。微妙な色合いの差が、私の心を震わせる。溶媒を送り込むためのポンプの振動に重なり、感動の波は振幅を増していく。


 三角フラスコ内に滴下した液体をエバポレーターにかけ、溶媒を飛ばす。

 この作業を流す溶媒の濃度別に行う。だいたい一週間もあれば終えることができるだろう。

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