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研究日誌  作者: 山石尾花
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四月十一日

 四月十一日


 ガロン瓶は完全に冷え切っていて、作業をする上では全く問題なかった。今日の作業は、すべてクリーンベンチで行う。


 私は培養器から、サンプルの番号が書かれた試験管を取り出した。その試験管には、代々受け継がれてきた種菌が植えつけられている。寒天培地の表面には黒色の黴のようなものがびっしりと生えていた。

 ベンチ内のガスバーナーに火をつけ、白金線を加熱する。赤々と熱を帯びた白金線で種菌を引っ掻くように摘み上げ、予め用意しておいた寒天培地入りの別試験管に移す。このようにして種菌を次の実験へと繋いでいくのだ。古い試験管内に残った菌を、今回の実験用に使用する。


 同じ要領で、白金線で菌を取り出し、ガロン瓶の中へ菌を植え付けていく。遮光の施された褐色の瓶の中は、外からはあまりはっきりとは見えなかったが、菌の欠片が液体培地に沈んでいく様子は、何故だかよく見えた気がする。

 すべてのガロン瓶に植え付け作業を終え、私はガロン瓶を台車に載せ、培養室へと向かった。二十八度に設定された培養室で五週間、静置し、培養するのだ。

 

 しばらくは記録の整理作業に追われそうだ。

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