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四月十日
四月十日
今日の予定は菌を培養するための、人工海水培地の準備だ。
海洋生物由来の菌を用いているため、培地は海水の組成になるべく近づけている。ノートに記載されている通りの試薬を、大量の蒸留水に溶かしていく。可溶性でんぷん、カゼイン……。麦芽糖の甘ったるい臭いで胸焼けを起こしそうだ。
できた培地を十二本のガロン瓶に注ぎ込む。口に綿で栓をし、アルミホイルでさらに蓋をした。それを三十分間、高圧蒸気滅菌器にかける。
滅菌直後の瓶は熱く、軍手を二重にはめて、ようやく触ることができる。熱いままの状態で、菌を植え付けることはできないので、その作業は明日の朝一番で行うことにする。