九月十八日
九月十八日
暑い日が続く。
九月末の発表までに、スライドを作ってしまわねばならない。パソコンを使った作業はあまり好かない。ブルーライト、というものがどうも苦手だ。
T先輩と話した日から、私は自身の体調の変化について、注意深く観察するようになった。
今のところ、運動に対する衝動、視力の回復、食事量の増加以外に、これといった変化はないように思う。
恐怖がないと言えば嘘になる。
だが、それ以上に好奇心が勝った。
L-13は人体に何らかの作用を及ぼしていることは明らかだ。驚異的なほどの細胞活性作用……。
私は狂っているのだろうか。
私にはこの研究から逃げ出すという選択肢はあり得なかった。新たな発見を前に、武者震いが止まらない。
かの有名な発明王、トーマス・アルバ・エジソンはこう言った。
1%のひらめきがなければ、99%の努力は無駄である、と。
天才に必要なものは99%の努力と1%のひらめきだ、と誤訳され、名言として広まったというのは何とも皮肉な話である。
私は1%のひらめきを得て、L-13の構造を発見するに至った。この発見をさらに昇華させていくには、努力以外にも必要なものがある。
ーーもう1%、狂気が必要なのだ。




