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研究日誌  作者: 山石尾花
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九月六日

 九月六日


 S講師に話を聞いた。

 分離された化合物が、研究者に何らかの影響を及ぼすことがあるのか、と。


 可能性として、ゼロとは言えないが、ほぼないと考えていいだろう、との回答だった。理由は二つ、考えられる。


 まず、分離された化合物がごく微量であるということ。一回の分離操作で得られるL-13の量は0.1グラムにも満たない。

 もう一つは、分離された化合物は海洋生物(しかも食用とされる生物)由来のものであるということ。仮に、微量でも人体に影響を及ぼすものであったら、食された時点で何らかの作用が現れているはずだ。


 私はわかりました、と納得のいった振りをし、さらにS講師にまた別の問いを投げかけた。なぜ、この研究では、研究員の入れ替わりが激しいのか、と。


 S講師は途端、苦虫を噛み潰したような顔になった。

 なぜか分からないけれども、皆辞めていくのだ。それも、怯えたように。

 君はすぐに辞めてしまわないでくれよ、とS講師は私に念を押した。


 どうやら推測するに……L-13に関わったものは何らかの理由で辞めざるを得ない状況に追い込まれているように思う。

 Y教授やS講師がそうならないのは、L-13と関わる時間・機会が、研究員に比べ、圧倒的に少ないからかもしれない。我々研究員は一日中、分離作業のために菌を触っている。


 L-13が人体に影響を及ぼすためには、一定の条件が必要か。

 

 学会の資料を用意せねばならない。煩わしい。

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