表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
研究日誌  作者: 山石尾花
11/26

八月二十四日

 八月二十四日


 分析結果が出た。

 二次元NMRスペクトルを解析する作業。


 実は、まともに解析をするのは今回が初めてだ。S講師から解析方法のレクチャーを受けた。


 手渡された二次元NMRのグラフを見て、私は震えた。クロスピークに印をつけていく。

 

 この作業は初めてのはずだったが……そうとは思えないほどのスピードで構造が決定していった。

 不思議と構造が頭に浮かんでくるのだ。いや……違う、思い出した、という方が正しい。夢で見た構造と、全く同じだったのだ。


 私は震えた。

 きっと、L-13が私の潜在意識に語りかけてくれたのだ、と。私の呼び声に応え、自ら会いに来てくれたのだ。

 私は自分が決定した構造を元に分子モデルを組み立てた。原子を模した球体をパズルのように繋ぎ合わせ、机上に置く。


 なんと、なんと……美しいのだろう。


 そこにあるのは秩序。

 アセチル基が、アミノ基が、フェニル基が整然と繋がり、共鳴し合う。


 美しい、美しいーー。


 君のためなら、私は何だってしよう。

 君は……何を望む?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ