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八月二十日
八月二十日
過去の資料整理。
L-13以外にも細胞活性作用のある箇所がないか、分析を続ける。75%クロロホルム溶媒で溶出した箇所から他にも二つ、単一化合物らしきものが見つかっている(HPLCにて、65分、71分近辺のピーク)。
それらの成分を取り出し、解析していきたい。
変わったことと言えば、最近、生き生きしているね、とS講師に言われた。
この研究を始めてから、自分でも少し、オープンになったように思う。……人が聞けば呆れるかもしれないが。
私が研究者になろうと思ったのは──人の役に立つ発見をしたいというのは言うまでもないが──研究は私を裏切らないからだ。
それは、必ず結果が出るという意味ではない。成果があろうがなかろうが、研究した事実は決して消えはしない。
人は……恐ろしい。
過去を消去し、現在を捻じ曲げ、未来を捏造する。
私は人の中では生きられないだろう。
ただ、L-13という心の拠り所を得た私には、どうやら余裕というものが生まれてきたようだ。
陳腐な表現だが……心が若返った気がするのだ。