第52話 ニート 確証を得る。
モキュッ
おかしな感触を俺は感じた。
それは不思議な柔らかさでいて、なんだか温かい。
(あれ?)
俺は首を傾げながら、彼女の股を弄り続けた。
傍から見ればすごく怪しいことをしているという自覚もあったし、
先ほどからこちらを見ているであろう梓さんたちの視線が妙におかしい。
モキュッ モキュッ
まだなお触り続けるが、彼女は抵抗の意思を見せない。
それほどに傷ついて泣いているのだろうか。
そう思ったら、非常に罪悪感が溢れてきた。
モキュッ モキュッ モキュッ
しかし、触るのを止めることができない自分がいた。
それはなんだか慣れ親しんだ感触をしていた。
触り続けるにつれ、その間職に一定以上の懐かしさを覚えてしまう。
(うん?)
しかし、そうして触り続けるということを続けていたせいなのか、
なぜか手に当たるそれの感触が時間が経つにつれて変わっていく。
所々に固い部分が出てきて、どことなく熱い。
「ひう///」
そんな刺激を受け続けているからなのだろうか。
少女の呼吸は少しだけ荒くなり、時々嬌声にも似た声を出し始めた。
「う、や、やめて///」
ついに抵抗の意思を示した少女の手が俺の手を思い切り弾く。
これにより、俺の意識は落ち着きをやっと取り戻した。
先ほどまで手にあったあの感触を思い出す。
(あれって、もしかして・・・)
「あ!」
俺が少女について何か確証じみたことに思い至った瞬間、
目の前の光景に固唾を呑んだ。
(やっぱりあれは・・・。)
少女の履いていたスカートに、女子にはあり得ないだろう
不自然な膨らみがそこにあった。
少女は顔を羞恥によって、赤くしていた。
彼女は男だったのだ。
だからこそ、あの感触に懐かしさを感じていたのだろう。
それは数時間前の俺にも確かについていたものであり、
突然消滅していたことに驚きもした。
「あ~あ、バレてしまったわね。」
そして俺が彼女いや彼の正体に確信を得たちょうどその瞬間。
それまで静観を決め込んでいた楓が突然、嘲笑うような声を上げた。
(あ~。これが彼女たちのこの子を見る冷たい視線の理由か・・・。)
彼女たちは男である彼のことを知っていたのだ。
男なのにあれだけのべたつき様はそりゃまあ、
女としては嫌なのかもしれない。
ただ数時間前まで俺も彼と同じ男だったこともあり、
どうもこの雰囲気に乗りたくはなかった。
彼もまたそんな楓さんの視線と言葉を受けて、
また泣き出しそうな顔をしている。
俺がもしも元から女なのであれば、こんな状況に直面したのだとしたら、
彼のことを酷く糾弾し、罵ったのかもしれない。
けれども元男である俺にそんな酷い仕打ちを彼にすることはできなかった。
「あ、あのこの部屋とても可愛くしてくれてありがとね」
俺は彼の目を見て満面の笑みを浮かべ、感謝を述べる。
少々、楓さんの視線から言うのに躊躇ったが、
俺はこの状況を少しでも明るくしたかった。
だからこそ、この言葉を選んだのだ。