ニート、女子高生と寝る
しかし、隣には女子がいるということもあって緊張で寝れるわけもなく、
時間だけが過ぎていった。
「ねぇねぇ。速見さん。この後の授業、一緒にさぼらない?」
天井を注視していた俺に対して、
宮部さんは小声でそんなことを聞いてきたものの、
その内容を理解した途端、どう答えるべきなのかを迷う羽目になるのだった。
(俺が入れ替わったこの速見っていう子はどういう女の子なんだ!?
真面目で通っている子だとすれば、さぼるなんてもっての外だけど、
逆に素行が悪い子で通っているならばさぼるのは普通だよな。
でもさっき鏡で制服とか髪形を見たらどっちかと言えば、
真面目な印象を受けたんだよな~。)
答えに悩んでばかりもいられないので、イメージで答えてみることにした。
「う~ん、さぼっちゃダメなんじゃないかなぁ。ははは。」
「それはそうだけどさぁ、な~んか最近の授業退屈でさ~、
あんなところで無駄な時間を使うんなら自分のしたいことしたいじゃん。
ま、私の場合、昨日の夜に全然寝てなくって、
眠いからここに来て寝てるんだけどね~。」
俺の答えに対して、あっけらかんとそんなことを言ってくる宮部さんは、
急に俺の布団の方をじっと見てきた。
その行動にどう対処するべきか悩んでいると、
急に宮部さんは起き上がると、俺の布団の方に潜り込んできた。
「え、え、え、ど、どうしたの??み、宮部さ、さん!?」
あまりの急展開に俺は焦っていた
「な~んか、速見さんの布団の方が暖かそうなんだも~ん。
それに二人で寝た方が暖かいよ~」
しかし俺の動揺を完璧に無視しながら、
宮部さんは抱き枕を抱くかのように抱きしめてきて、間延びした声を出している。
(なんか宮部さんから甘いにおいがする。
それにしてもこの子意外と背が小さかったんだな。
というかむ、胸があ、当たってるんじゃないか。これ)
抱きしめられているため、宮部さんの体のいたるところが当たり、
それに相まって甘い香りが鼻をくすぐってきたため、
俺の体はどんどん熱を持って行き、心臓の鼓動が異常なほど早くなっていった。
(このままでは、やばい。どうにかして離れてもらわないと心臓が破裂しそうだ)
この状況からなんとか打破しようとするものの、
力いっぱいに抱きしめられているために身動き一つとれず、
心の中でこれは積んだ。と思い至ってしまった。
キ~ン、コ~ン、カ~ン、コ~ン
救いの音が鳴り響いたのは、この時だった。
そしてそれと同時に近藤先生がこちらに近づいてくる音がして、
やっとこの状況から解放されると安堵していた。
「宮部さん、先生が来たよ。ほら、起きて」
小声で宮部さんに伝えるが、何の返答もなく、どんどん近藤先生の足音が迫ってきた
(え~。どうしたんだ!?
起きて自分の方に戻ってくれないと絶対誤解されるって。)
その思いも空しく、近藤先生はカーテンを開けた。
「あら?速見さん、起きていたのね。それより宮部さんは・・・」
近藤先生は俺が起きているのを確認した後、隣のベットに視線を向けた。
しかし、そこに誰もいないことを確認し、またこちらに視線を向けると、
勢いよく、布団をひっぺはがした。
「あらあら。速見さん、宮部さんに好かれてるのね~」
先生の言葉を聞いたのち、視線を下に向けて唖然とした。
そこには宮部さんが俺の体にぴったり張り付きながら、
ぐっすり寝ている姿があったのだ
(あ、そういえばさっき、全然寝ていないって言ってたから。
それでいつのまにか寝っちゃってたのかなぁ)
眠っている宮部さんを見ながら、俺は宮部さんの可愛さに微笑みを浮かべた。
「なんだか、姉妹みたいね。あなたたち」
そんな俺たちのことを見ていた近藤先生は笑いながら、そう表現するのだった。