第37話 ニート、精神統一をする
その衝撃に思わず、俺は倒れてしまいそうになってしまう。
しかし、こんなところで倒れてしまっては体育の前のようなことになりかねない。
倒れそうになる足に力を入れ直し、なんとか踏ん張ることに成功した。
だが、それでもなお視線に映るこの衝撃に変わりはない。
俺は気を入れ直しながらも、視線下にあるホックを外そうと手を伸ばす。
なんなくホックに指先をひっかけることができた。
後は上下に引っ張って外すだけ。
そんな単純な動作でブラジャーを外すという試練をクリアすることはできる。
そんなことはわかっていた。
だけど、俺のそんな思考を邪魔するように。いや罪悪感と理性が
俺のことを案じてなのか、俺の指先はその動きを拒むかのように
小刻みに痙攣している。
震える指先。
しかし、このままブラジャーを外さないわけにもいかない。
俺は再度、精神の統一を図ろうとする。
(俺ならいける。俺ならできる。俺ならブラジャーを外すことができる。
今の俺は女子高生、女子高生である俺。女子高生ならブラジャーを付ける。
女子高生ならブラジャーを脱ぐことだって、できる。
日常的にしていることだ。外せないという女子高生の方がおかしい。
うん。大丈夫。今の俺は女子高生なんだ。
ブラジャーを外すことをしたって何らおかしなことはない。
変態なんかじゃ・・・。ない!!)
俺の心の中に女子高生が生まれた。
そして女子高生になった俺の心はさっきまで震えて何もできなかった指が
嘘のように自分の意思に従うのがよくわかった。
指をホックにあてがった。そして・・・。
さっきまでの葛藤が嘘のようにすんなりと
俺はブラジャーのホックを外すことができた。
がしかし、俺はその瞬間深い絶望感を味わうことになってしまう。
フロントホックと呼ばれる形状だったそのブラジャーのホックを外した瞬間、
胸を覆っていたはずの布が俺の側面に当たった。
そのことに驚いた俺は視線を下に戻してしまった。
それが間違いであったとも知らずに・・・。
「うぉ・・・。///」
俺の口から出たのは、驚嘆の呻き声だった。
目の前に映ったのは、さっきまでブラジャーという
布が覆っていた神聖なものだった。
透き通るような白い肌の中央にピンク色の小さな山がそこには確かにあった。
そしてその周囲は薄桃色の円が描かれていて、この心のうちにある感情は
「き、綺麗だ・・・。」
その一言に尽きる。
というかこんなきれいな胸が本当に存在してもいいのだろうか。
そんな馬鹿げたことを考えてしまうほどに、耄碌していた。
未だかつて見てきたどんなゲームのヒロインのものよりも美しい。
そして、その質感と言い、大きさと言い、全てにおいて理想の胸が今、
目の前に、それも現実世界に広がっているのだ。
俺の理性は崩壊寸前だった




