第21話 ニート、男の子と遊ぶ
「あ、瑠美さん!!次はこれで遊びましょう!!」
「ちょ、ちょっと待ってよ・・・」
さっきまで元気のなかった彼は水を得た魚のようにはしゃいでいる。
泣きそうな顔を浮かべていたのが嘘のような変わりよう。
それに反比例するかのように俺は疲れていた。
というのも、彼は結構行動的というかなんというかで、
俺のことを色々なスポーツに連れ回した。
まあ、男の子なのだから仕方がないのかもしれないけど、
こっちは外見上は女の子なんだ。
少しくらいは気を使ってほしかった。
それに加えて、成り行きとはいえ、名前まで教えてしまった。
はぁ。
精神的にも疲弊させられる。
というか、俺は瑠美さんの株を下げてはいけないこともあって、
終始女言葉を使わないと行けず、これがまたしんどかったりもする。
「る~みさん!!こっちですってば!」
ややげんなりとしながら、歩いていると彼から催促の声がかかった。
(あ~!もう!!)
30分後
「ふぅ~。遊んだ遊んだ!!瑠美さん、大丈夫ですか?」
「はぁはぁ・・・。だ、大丈夫よ。ぜ、全然大丈夫、よ。はぁはぁ・・・。」
彼は十分満喫したようで、ベンチに腰掛ける。
俺はかなりの体力を消費したこともあって、
息を切らしながらやや死に体で彼の隣に座った。
「あ、少し待っていてください。飲み物買ってきますね」
彼がそう言いながら席を立つので、俺はその空いたスペースに頭が傾いてしまう。
と同時に俺の体は疲れのためか、横向きに倒れていった。
(あ、もう本当にすごく眠い・・・。)
「え!?る、るみさん、だ、大丈夫!?」
頭下では慌てたような彼の声が聞こえてきたが、この眠気には勝てそうもなかった。
「おやすみ~」
その言葉だけを残し、俺の意識は睡魔の闇へと引きずり込まれていった。
「あ、あれれ?瑠美ちゃんと・・・。あれは誰だろう??」
瑠美が寝ることを選択してから、5分後茜は彼女を発見した。
茜はいつまでたっても合流してこない瑠美を心配になっていたようで、
30分ほど前から探していたのだが、どこを行っても見当たらず、
最初に見に来たベンチに戻ってきたのだ。
その結果、瑠美を見つけることができたわけだが・・・。
(あれ?よく見たら瑠美ちゃん寝てない??
それであの男の子が見ててくれてるのかな。
う~ん、でもあの子と瑠美ちゃんはどういう関係なんだろう?
知り合いなのかなぁ。って考えてても何も意味ないかなぁ。)
茜は考えるのを辞めると、瑠美と彼の側へと近づいて行った。
そして・・・。
「あのぉ、その子私の友達なんですけど~、どうかしましたぁ??」
私が声をかけると、彼はあからさまにびくっと体を反応させた。