第17話 ニート、思惑が外れる
「はぁ・・・。」
これで何度目か分からないため息を俺はついた。
「ねぇ、本当に大丈夫なのぉ~??さっきからため息ばっかりついてるけど~」
そりゃあ、ため息もつきたくなるよ。
自分自身の羞恥心に耐えながら放った必死の策は事もなく、看破され、
その結果として俺はこれからバレるかもしれないおしゃべりへと
突撃しなくてはいけないのだ。
俺と同じ立場に置かれた人なら、きっとこの気持ちを理解してくれるだろう。
しかし、ここにいるのは女としてこの年まで生きている茜だけ。
「はぁ・・・。」
そしてまた追加のため息をついたのと同時に茜の歩も止まった。
俺はこれから始まるであろうおしゃべりという名の尋問を覚悟した。
どうせ小綺麗なカフェでまったりと紅茶でも飲みながら
おしゃべりするのだろうな。
はぁ。できるだけボロを出さないようにしないとな・・・。
俺は半ば嫌々ではあったが、茜が止まった先を見た。
「ここで今日はあそぼぉ♪」
「え、ここ!?」
茜が止まった先、そこは俺が予想していたような小綺麗なカフェなどでは全然なく、
全国展開されている大手アミューズメント施設、ラウンドセカンドだったのだ。
ラウンドセカンド
野球のバッド型のマスコットが特徴のアミューズメント施設であり、
野球やフットサル、ボウリングといった定番のスポーツのほか、
ボクシングやゴルフ、アーチェリー、更には釣りなどといった
一般人があまりしないスポーツまでもを楽しめることが出来る。
言わば、スポーツを遊びに昇華させた施設。
そしてこのラウンドセカンドではスポーツだけではなく、
ゲームセンターも施設内に完備されていることから
スポーツが苦手な子供や女子にも人気がある。
そんなアミューズメント施設があのお嬢様学校の近くにあったということ自体、
驚きだが、そんな事よりも今はそんな場所に
連れてこられたことの方が驚きは大きかった。
男と一緒に遊びに来るならまだしも、女子2人でこんな場所に来るなんて・・・。
俺の中の女子のイメージはカフェでおしゃべりをすることが遊びだと思っていたが、
どうもそうでもないらしい。
茜のようにちょっと抜けてはいるけど、活発そうな女の子は
こういうところにも来るみたいだ。
「瑠美ちゃん瑠美ちゃん!!早くぅ!!」
いつの間にかラウンドセカンドの中へ笑顔で進んでいっていた茜が俺を呼びつけた。
俺はまだ戸惑いを隠せなかったものの、待たせるわけにもいかなかったので、
茜の後を追いかけた。
「はい。それじゃあ、2時間コースですね!
それではどうぞごゆっくり楽しんできてくださいね~」
受付のお姉さんは俺と茜に施設内に入るためのブレスレットを渡すと、
手を振って俺たちを送り出してくれた。
「よ~し、瑠美ちゃん今日はめいいっぱい遊ぶよ~!!エイエイオー!!」
「オ、オー!」
そして茜のなぜだか分からない掛け声と共に、俺たちは施設内へと進んでいった
カフェでのおしゃべりじゃなくて本当に良かったと心の底で安堵しながら・・・。
しかし、その安堵が不正解だったことにこの後すぐに気づくことになった。
2018年が終わってしまう前に投稿することが出来て本当に良かったです!!
2018年も私の稚拙な小説を読んでいただき、どうもありがとうございました。
皆さんが読んでくれたということが分かるだけで、私は日々の疲れから癒されます(#^^#)
2019年も頑張って執筆していこうと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします!!
できる限り、皆様の心を癒せるように精進します(*^-^*)
それでは2019年も皆様に幸がありますように心から願っております♪




