中学時代 ~軟式テニス部~ きっかけ
それは、中学1年の4月のことだった。
部活はやろうと思っていなかった。が、一個とてもとても楽しそうな部活があった。
男子軟式テニス部だ。
3年生2人でワイワイやっていて、とてもそれが印象的だった。
部活見学ではほとんど人がいなかったのが不思議だった。が、それは後に判明した。
とりあえず、とても楽しそうだったので、入部した。その先なんか全く考えていなかった。
親は3年前も変わらずずっと出張に行っていた。
そういえば、この3年間で帰って来たことってないよな。
一人の時間が楽しいから嬉しいけど。
そして、入部して、一人の友達が出来た。
それが本間だ。
同じ部活の唯一の一年で、すぐ意気投合した。
教室の窓側でスヤスヤ眠っている俺と、成績優秀の本間では全く違ったが。
入部して難なく部活もこなし、3年生の先輩にとっては最後の大会がやってきた。
自分たちが入部してからそれまで3回大会があり、本間とペアを組んで出場したが、
1回目(地域のオープン大会)
対ソフトテニス一般の部シングルス近畿大会出場者と県大会出場者
0-4 0-4 のストレート負け(3分)
2回目(地域の中学校の大会)
対県大会5年連続強豪校の1番手ペア
0-4 0-4 のストレート(省略)
3回目(近隣の小中学校との交流試合)
対隣の中学校の1番手
0-4 0-4 のストレ(省略)
だんだん省略されていってもおかしくない結果になっていった。
それもそのはず。当たった相手も上手かったが、自分たちは100%入らないと行けないセカンドサーブですらろくに入らないし、ラリーも続けれるわけがない。要するにかなりの運動音痴だからだ。
先輩はこの3大会のほかに3年生限定大会にも参加したみたいだった。
先輩たちは
2回戦敗退(1回目)
準決勝敗退(2回目)
準優勝(3回目)
3位(地域3年生限定大会)
となかなかの功績を残しているように見えるが、2回目は、参加校数が4校で16ペアしか出場していなかったこと、3回目は中学校から5ペアしか出てなかったこと、限定大会はなんと6ペアのトーナメントだったことと、くじ運があまりにも良すぎただけだ。
最後の大会、奇跡が起きるように。とただ祈るだけであった。
最後の大会。団体戦は出れないが、個人戦には出れるので必死に頑張ろうと決意した。
そして市総体の日がやってきた。
先輩たちは、見事運の良いブロックを引き当てた。
しかし、自分たちは、全国大会準優勝ペアと一回戦から当たることになった。
勝てるわけもなく、2分で3セット取られ試合終了。挙句の果てには「いいウォーミングアップになったよ」と声をかけられる始末。
先輩たちは、256ペアも出ている中で1回戦勝利、2回戦勝利でベスト64まで上がって来た。
そして、3回戦は相手が2回戦中に怪我をして復帰不可能とのことであれよあれよとベスト32まで駆け上がった。
顧問曰く、ベスト32までくるのは最低でもBランはないときつい。あいつらはFランって判定されてるから異色の存在だろうなぁ。
ランクの決め方?それは、日本軟式テニス協会が視察に来て決めるんですよ。1年に4回。
もちろん俺達のペアは最低のJランク。
Jランクは県内でも多い県で5ペアだが、わが県は1ペアで、更に一つ上のIランクもいないので、どれだけ弱いかがわかる。
全国的にはEランクやDランクが多いが、俺の県は、Cランクが多くとても強豪地区として知られている。
そして、ベスト32とは、県大会に出れるラインで、顧問の言っていることもわかる。
・・・ん?と俺は気づいた。先輩たちは県大会に出る事が出来るのだ。
そして先輩たちのベスト16をかけた戦いの相手は、なんとSランクだ。
Sランクの中でもSランクだ。そう。俺らが1回戦ストレートで負けたペアだった。
最強Sランペアの今大会の成績
1 3-0 4-0 4-0 4-0 J
2 3-0 4-0 4-0 4-0 D
3 3-0 4-0 4-0 4-1 B
この3戦で1失点しかしていない完全無敵だった。
しかし、突如降り出した雨によって、試合は意外な展開を迎えることとなる。
まず第一セット。まだ芝は水を吸い上げていない分、通常通りの展開を繰り広げる。
先輩たちは、なんとかして時間を引き延ばそうと、わざとサーブを外したりして1セット4点取られるのに3分かけた。
その頃には、雨が本降りになっており、芝が水を吸い上げてとてもカオスな状態になっていた。
そんな中行われた2セット目は、なんと4連続ダブルフォルトで先輩たちがセットを取った。
Sランクペアの中学の当時の1年曰く「先輩達、雨になると無理なんですよ。せっかく晴れだから期待してたのに。」
そして俺らの中学は雨が良く降るので練習も雨対策に自然となり、先輩たちも適応していって、実力差がほとんどない状態になった。
そして大雨で前が見えない状態でもボールをしっかり見る先輩の姿勢は、相手のプレーを乱していき、3セット目を4-2で下すと、4セット目、またもや4連続ダブルフォルトでベスト16に王手。
5セット目。大会本部から試合の打ち止めが宣言され、3-1で先輩たちはベスト16ヘ。
翌日の試合は見ていないが、5回戦の相手は相手が風邪を引いたため不戦勝。
準々決勝はどうやら自分たちの2回目の大会でボコボコにされたペアを雨がしみ込んでいる草を利用してフルセットの末勝ち、準決勝で力尽きたようだった。
それでも強豪ひしめくこの地区でベスト4は凄く、表彰されたが、あまり印象に残らなかった。
なぜなら、野球部や硬式テニスなど他に強い部活があり、その部活の表彰される時のムードが凄かったからだ。
そして県総体。
1回戦からAランクと当たり、雲一つない快晴が災いしストレート負け。でも俺らに勇気をくれた試合だった。