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小詩三篇
「嫌なことがあったときは」
いろいろ悪いことがあって
さんざん嫌な気持ちになって
でもそのとき
たまたま見つけたパン屋さんに
おいしそうなパンがあって
甘いフレンチトーストをひとつ
パクリと食べたら
言いようのない幸せな気持ちになった
そうだ、絶望したときは
おいしいものでも食べよう
「お月さま」
今日も大きな月が出た
中秋の名月は昨日だったけど
今日もお月さまはとっても綺麗
昔、文豪が
アイラブユーを
「月がきれいですね」と訳したという
すこし肌寒いくらいの夜に
わたしとあなたで見る月は
今日という日を特別なものにする
「彼岸花」
単線電車の脇に
一列、彼岸花が咲いている
子どものときは
その花がなんだか恐くて
調べてみたら
毒があるって分かって
恐ろしさが増した
今は
秋の落葉にも似た
この花の
その毒々しい赤さと
凛として咲く美しさを知った
お彼岸
天国や地獄への入り口に
咲いているのはこの花かもしれないと思う
でも 自分が死ぬときに
花畑を歩くなら
優しいコスモスの花の方がいい




