御徒町樹里ちゃんがゆく外伝~神戸蘭警部の独り言(四百文字お題小説)
沢木先生のお題に基づくお話です。
拙作「御徒町樹里ちゃんがゆく」の登場人物である神戸蘭の独り言です。
「おひとりさま」「サングラス」「さわやかな色気」をお借りしました。
私は神戸蘭。警視庁の警部。
踏んだヤマは数知れず、逮捕したホシも数知れず。
そんな私が真剣に付き合った杉下左京。人の顔を忘れる天才。
脳が溶けているのだろうか?
G県警M署の副署長をしていた時、久しぶりに会ったのだが、見事に私を忘れていた。
百年の恋も冷めた気がした。
その左京が惚れたのが人をイラッとさせる天才の御徒町樹里。
確かに可愛いし性格は穏やかだし若いしさわやかな色気もあるし……。
何も勝てる要素がない。
一番ショックだったのは、左京が樹里との結婚を私に教えてくれなかった事。
一度は結婚まで考えた仲だったのに、その仕打ちはないと思った。
そして私は「おひとりさま」人生を再開したのだが……。
「どうしたんですか、神戸警部?」
部下の平井拓司警部補が声をかけてくれた。私の現在の恋人だ。
「別に何でもないわ、たっくん」
彼にもらったサングラスをかけ、私は樹里に負けないくらいの笑顔で応じた。
さあ、今日も仕事、頑張るぞ!
お粗末でごんした。