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第一章 2話目 未知との遭遇

お待たせしました。これからも更新頻度は1週間に1度程度になるかと思われます。

ぼちぼち進めていきます…。

 このたびめでたく2歳になりましたセラスティーア・シェリア・ディ・アンフォールです。

 フルネームで名乗ってみました!長いね!


 実は最近わかったんだけど、私の家ってばお貴族様でした。

 王の子供で、臣下に下った者に与えられる爵位の次の爵位らしい。純粋な貴族としては最高位。

 これって侯爵って事だよね?立派な上級貴族じゃん!

 それまでも、このうちはんぱなくお金持ちだな〜、てか、うちっていうより、これはすでにお屋敷というレベルよね…とは思ってたけど、まさか貴族とは思わなかった。


 しかし、残念な事に現代の貴族制度の残っている地球上のどこかの国の貴族って訳じゃないんだよね…。

 もしそうなら安心してセレブライフを満喫できるってものだけど、今世で私が生まれたのは前世から見るとまったくの異なる世界。

 いわゆる異世界。

 しかも、文明は今のところ観察する限り中世ヨーロッパ程度。

 まぁ、まだお屋敷の中やお庭を散歩する程度の行動範囲内でしか世界を知らないので、断定はできないけど、字を覚えるために読み聞かせられている本の内容を鑑みても、多分間違ってないと思う。

 こちらでは主に使われている紙は羊皮紙っぽいもので、一冊一冊手書きなので、本はとても高価。

 子供向けのも本というのも貴族子女に読み聞かせるためのもので、さし絵もほとんど入ってないし、内容は世界の成り立ちの神話とか、昔の英雄の伝説とか、簡単な社会構成の説明(王様がいて、貴族がいて、騎士がいて…みたいな。

 自分の家が貴族で侯爵だというのもこの本を読んでいる時に説明されて知った)などだ。

 これらの本は娯楽のためのものではなく、幼子に無理なく世界を教えていくための教科書のようなものだ。

 それで学んだところによると、少なくとも私の今いる国は中世的社会制度で、世界は神様が造って、神様の子孫がはじめの王様。

 王権神授説ですね。わかります。



 中世ヨーロッパ風の異世界に転生とは、まさに転生トリップのテンプレ!って感じ。

 前世での私の大好物ですが、まさか実体験することになろうとは…。



 ここまででは、それってただ単に地球の中世ヨーロッパに逆行トリップなんじゃない?と思われそうだけど、ここが異世界だということは、かなり早い段階で判明した。

 詳しく言うなら目がはっきり見えるようになってすぐ。

 何故分かったかというと、魔法があるんだよね、この世界。


 魔法ですよ!魔法!初めて見たときにはかなり興奮しました!

 

 いつもベビーベッドの横で行われる私の沐浴準備中に、私の未知との遭遇たるその魔法は行使されました。

 鮮明な視界が嬉しく、いろんなものがめずらしくて、その時もじっくり準備を眺めていたのです。

 私の専属メイドであるパステルピンク髪のリリーが絨毯の上に布を何枚か敷き、空の桶を置き、そこにもう一人の専属メイド、薄水色髪のマルタが手をかざしてもにょもにょ何事かつぶやくとパシャンという音と共にいきなり桶に水が。

 え??と思って見ていると今度はリリーが水の溜まった桶に手をかざし、同じように何かつぶやくと桶から湯気が!

 あっという間に沐浴にピッタリな温度のぬるま湯が桶の中にできあがったのです!

 なんということでしょう!まさか私のすぐ横で日々普通に魔法が使われていたなんて!

 桶に何かをそそぐ音なんかが聞こえなかったから、てっきりいつもその場で準備してるんじゃなくて、適温にしたお湯をはった桶をえっちらおっちら娘さんが細腕で持ってきてるんだと思ってた!

 重労働で大変ですね、毎日すみませんって思ってたよ!

 いや、つねづね丁寧にお世話してもらってありがたいのにはかわりなかったけど!


 今でも私の専属をしてくれているふたりは、何故か大興奮して目をキラキラさせている私に首をかしげながら沐浴させてくれた。

 それからも魔法らしき現象を見るたびご機嫌な様子に、どうやら魔法を見るのが好きらしいというのがわかったみたいで、あやすときに水の玉を空中にぷかぷか作ったりなどしてくれるようになったんだよね。


 それに、まだ視界がぼんやりしていた頃にもうすうす感じていたけど、この世界の人間の頭髪はとっても色とりどりで、もとの世界の人類では自然発色しないような色をしている。

 あと、髪の色がやっぱりパッと目立つけど、目の色もおかしい。金色とかあるんだよ!

 魔法を実際に自分の目で見て、ここが異世界であると確信した訳だけど、それまででも周囲の人間の色彩からそうじゃないかと思ってはいたんだよね。魔法はだめ押しって感じかな。

 この世界では魔法の属性が髪と目の色に顕われる。

 薄水色のマルタは水属性、パステルピンクのリリーは火属性だ。ファンタジーっぽいね!


 まだ属性と髪の色の関連性を把握してなかった赤ちゃんの頃には、カラフルな髪の毛がすごく不思議で、甘えるふりでメイドさんの髪の毛をひっぱってみたり、その際抜けた2、3本の毛を観察してみたり(とても痛がっていました…被害にあった皆様、あのころはごめんなさい…)だっこのときにじっくり根本まで観察してみたりしたなあ。

 今はもうそんなもんなんだと納得したけど、染めたってこんな綺麗な色にはならないと思えるパステルピンクや薄水色の髪の毛が、どう見ても頭皮からじかに生えていてとっても興味深かった。

 自分の髪の毛を観察したらいいじゃん、と思われるでしょうが、あいにくと私はどうやら地属性。

 髪も目も普通に茶色という前世でも良くある普通の色合いなので、観察したってちっとも面白くないのです。つまらん。

 地属性に不満はないけど、私ももっと面白い色が良かったなあ…。


 しかし、異世界で中世なんて、フィクションとして読む分にはいいけど、実際そこで生きていくとなると不安になるよね。

 今のところ読んでもらった本には出ていなかったけど、定番のエルフやドワーフなんて人間以外の種族もいるんだろうか?

 こないだ読んでもらった「はじまりのおはなし」という神話の本によると、神様や精霊はいるって事になってる。

 ドラゴンやペガサスみたいな幻獣系は出てなかったけど、魔物という生き物はいるらしい。

 人間に敵対的な魔族や魔王なんてのもいるのかな?いたら嫌だなぁ。

 魔族や魔王がいなくても、人間同士が戦争中の群雄割拠の時代もすごく嫌だなぁ…。

 戦争なんかおきて負けたら、一族郎党死刑とか簡単になりそう。中世の戦争はそのへんがすごくシビアだったはず。

 戦争じゃなくても貴族同士の権力争いや、陰謀に巻き込まれて陥れられたりなど、中世貴族生活の災難っていくらでも思い浮かぶわ。

 庶民生活も大変そうだけど!基本的人権はまだなさそうだし。


 私の周囲の雰囲気はのほほんとしてるけど、いかんせんお屋敷から出たことがないので何とも言えない…。


 それに、安全面ももちろん心配だけど、一番の不安はこの世界にはテレビもネットももちろんなく、本が高価ということから、漫画やバラエティ豊かでストーリー性溢れる小説なんてものも期待薄だということ。

 活字中毒だった私には生き辛い世界すぎる。

 今はまだ見るもの聞くもの珍しくて、日々楽しく暮らせてるけど…。

 もうちょっと大きくなってから、もうちょっとこの世界を把握してからの話だけど、この点だけはどうにかしなければ…。

全く会話なし…。

暫く主人公が世界に関してぐだぐだ考察したりします。無駄な心配なんかもしています。

次話では主人公のキラキラ家族が出てくる予定です。

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