第一章 1話目 視界不鮮明
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セラスティーア0歳です。まだはっきり目が見えません。
セラスティーアというのは今世での名前です。
周囲の人影が私に話しかけていると思われるとき、たいていまず「セラスティーア」「ティーア」という単語が出てから言葉が続くので、多分私の名前なんだと思います。
「ティーア」は愛称?
美しい響きの名前で気に入っていますが、もと日本人的感覚で言うと大仰な名前のようにも感じられます。文字数が多いし。
他にも多分「おっぱい」もしくは「ごはん」、「おなかすいた」、「おしめ」、「ねむい」、「いいこ」もしくは「かわいい」だろうと思われる単語を覚えました。これもよく出てくるんですよね。
まぁ、古今東西赤ちゃんに多く話しかける言葉のパターンは決まっていますからね。その他にも確信はできないけど多分こう言ってるんだろうな〜という単語もあるし、順調に語彙を増やしています。
まだまだ発音できませんけどね!
言葉を話そうとすると「あぅあぅ」「あだだ〜」ってなっちゃう。そして微笑ましい感じで見られてる。
よく見えてないけどそんな雰囲気がする!
赤ちゃんライフは結構大変です。
何が大変って、しっかりした意識があるのに目ははっきり見えないし、体も思うように動かないし、周囲の話していることもほぼ意味がわからないし、退屈で死ねるレベル。もう寝ることしかできません。
実際起きているときには転生についてだとか、前世の自分の死後のことだとか、現在の周囲についての考察なんかを、赤ちゃんの未熟な脳みそでぐだぐだと考えているからなのか、すぐに眠くなる。ので、超寝てる。
前世で妹の子供が出来たときに調べたけど、40%の赤ちゃんは18時間から20時間眠るというから、決して寝過ぎって訳じゃないだろうけど。
たまに、赤ちゃんの頃からこんなにたくさん考えてて大丈夫かな?赤ちゃんは脳細胞がまだ発達していないから考えるということが出来ないって聞いたことがあるような気がするんだけど、脳みそぱーんってならない?って少し心配になるけど、今のところ特に頭が痛くなったりはしていないので、大丈夫だと思おう。思いたい。
今の状況だとそのつもりがなくてもいろいろ考えちゃう。ていうか、思考を止めるとか難しすぎる。
大きくなったら覚えてないし、研究してもわかんないだけで、実は赤ちゃんてみんな生まれてすぐからいろんなこと考えてるのかもしれないし。
そうそう、尾籠な話で申し訳ないんだけど、よく小説であるような転生者の難関、おしめのお世話。
私の場合も意識は大人なんで、人様に下の世話をしてもらうのにはやっぱり抵抗ありました。
でもまだ必要箇所の筋肉ができていないのか、我慢するなんて無理でした。まさに垂れ流し!
それで、泣き声あげて人を呼べば換えてもらえるんだけど、最初恥ずかしくて少し泣くのを躊躇してたの。
そしたら布おむつなもんだからだんだんかゆくなってきちゃって。
もちろん赤ちゃんなんで手が届かないからかゆくてもかけない!おまけにデリケートな赤ちゃんスキンはすぐかぶれちゃう!そうなったら拷問過ぎる!と思っておもいきり泣き声をあげましたよ。
恥ずかしがってもしょうがないよね!だって赤ちゃんなんだもん!みんな一度は通る道さ!
あとは、どうも私が「私」という意識を持ってぱっちりと目が覚めたあのときにはすでに生まれてから何ヶ月か(なんとなく2、3カ月位って感じ?なんでその時点での覚醒だったのかは全くわからない)経ってたっぽいので、それまでに何度となくおしめ換えは行われただろうから、今更恥ずかしがってもね…という。
泣き声をあげるという行為も意識的に良い大人な私にはちょっと難しいかな?と思ったりしたんだけど(だって、悲しくも何ともないのに大声あげて泣いてくださいと言われても、俳優でもない限り難しいよね?だいぶ思い切りがいると思う)これが精神は肉体に引きずられるという事なのか(ちょっと違う?)かなり簡単に泣ける。
不快感を感じたりすると気を抜いたらすぐ泣けちゃう。止まらない。あっという間に大音響ですよ。まあ、これが正しい赤ちゃんの姿だよね。
もうひとつの転生者的問題の、おっぱい飲むのが恥ずかしいって感覚はあんまりなかった。
これって自分が女だからかな?もし、もと男だったら恥ずかしいし、抵抗あったかもしれない。
飲まなきゃ衰弱しちゃうししょうがない。合い言葉は赤ちゃんなんだもん!でよろしく!
なまぬるいミルクとかちょっと…って思ってたけど、赤ちゃん舌にはとっても美味しかった。おっぱいうまうま。
ただ、少し気になることがあって、どうも私におっぱいをくれている女性が二人居る。
一人は母親っぽいけど、もう一人はどうやら乳母やさんってやつみたいだ。
そして、おしめ換えだの行水だのお着替えだののこまごましたお世話をしてくれる人があと2、3人いるっぽい。
使用人がいるの?もしかして今世のおうちってお金持ち??
それに周囲で動く人影のうち、女性と思われる人たちのシルエットがもっさりしている。動くときはわさわさ動く。
何人かが揃った地味目の色合いのもさもさはメイド服?だと思うんだけど、母親らしき人影も姉らしき少し小さめの人影も綺麗な色のもさもさを着ている。
どうやらドレスみたいなものを着ていると思われる。
…ドレスって…ドレスを日常的に着る国なんてあったっけ…??
あとこれは男女関係なく頭のあたりの色がえらくカラフル。
髪の毛?髪の毛なの??
薄い水色とかパステルピンクとかオレンジとかなんですけど…。
染めてる?ウィッグがはやりに流行ってるの?まさか地毛じゃないよね?人類に薄い水色の頭髪とかありえないよ…。
なかでも私の家族と思われる人たちの頭の色はかなり派手で、金とか銀とか。
金髪や銀髪は人類的にありえなくはないので、それはいいんだけど、なんか発光してるみたいにキラッキラ!金髪や銀髪ってこんなに光り輝くものなのかしら…。
なんか思いつくことがないではないんだけど…まさかね?違うよね?
しばらく乳幼児期が続きます。
後宮が出てくるのはまだまだもっと先です。
タイトルに偽りあり??話の進み具合によっては途中でタイトル変更するかもです。