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また16歳。

作者: 匿名暇人
掲載日:2026/05/20

前に描いたものを修正して再掲しております。

私は16歳になる。

もう何度目かわからない16歳をまた迎えた。

5年ほどこれが続いてる。


きっかけはずっと覚えている。


16歳の夏。

クーラーもなく、ジメジメとした部屋に1人、ベッドの上で蝉の声を聞きながらだらけていた。



夏休み期間の補習がある日。

何もできなかった日。

何もできない自分に諦めがついた日。


私は自死を試みた。

結果として死ぬことはできなかった。


そのあとどうやって過ごしたか思い出せない。


私はご飯を食べたのか。

親はいつきたのか。

私は死にきれなかったことは誰にバレたのか。

何もかもあやふやで思い出せない。


ただそれでも母が泣きながら抱きしめてくれたとき、私は死にきれなかったことに悔しさを感じていた。


今もずっと鮮明に覚えている。


16歳。私の16歳はそんな年齢。

思い出す日、私は16歳になる。




今日もまた16歳。

当日のこと、よく覚えている。

風もなくジメジメした部屋。

色が好みで買ったカーテンが風に揺れることなく佇んでいる。

母と一緒に買いに行って新しい家が楽しみだね、と話していたことすら思い出す。

揺れもしないカーテンが私と同じで安心した。

今日はあなたも動かないんだ。





あぁ、また16歳。

当日は家族の誕生日。

狙ったわけでもないけど、それでもこの日に死んだら、家族は祝うことを悔やむだろうな、と少し考えた。

でもそんなのどうでもいい。自分が死ぬことだけが最重要だから。


今となっては呪いの日。

ごめん、誕生日に死のうとして。

祝うとき、同時に私は16歳になる。







16歳。

あなたは覚えている?








なんでまた16歳。

お腹が空いた。口の中が苦い。辛いな。早く終わってくれ。もう嫌だ。私が悪い。悪かった。だから早く。









ねえ、本当は寂しいよ。

あぁ、伝わらなかった。

私は何度も16歳になる。




16歳になったら、何度も同じ光景を見る。

ゆっくり瞼が落ちてそのまま死ねたらなんて思ってたけど、うまくはいかないな。


今ならわかるのに。




あの日の動悸が今もずっと残ってる。

心臓が強く脈を打つ日、私は16歳になる。

早くあの部屋から抜け出したい。風さえ吹いてくれれば何か違ったのかな。



私はこの16歳を何度繰り返すのか。

見慣れた光景にならない。

今も変わらず、あの日だけが鮮明だ。




ずっとあの日は私の中にある。

この先何年も、ずっと私は16歳。

今日もあの部屋の匂いがした。

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