#6-9 出動命令
「今回の任務は時間との勝負だ。早急かつ確実に特異生物を焼却せよ」
「「「了解」」」
2分後──SCR司令室前方長官前
開発室から走って2人と合流し、長官の前で司令を聞く。あーあ、この後ご飯行って風呂入って3人でゆっくりするつもりだったのに
「詳細は車の中で聞いてもらうが、現在当該ポイントである広場を中心とする半径0.7km以内で15分前から花粉のような物質が蔓延している」
「花粉……ですか」
「色とそのおおよその形状からそう呼んでいるだけだ。しかし、この花粉を吸った人間が昏睡状態に陥り、狛坂」
「はい。こちらが映像になります」
狛坂がタブレットで映像を見せてくれる。監視カメラの画角で道端で眠っている男性の様子みたいだ。確かに画面はすこし黄色っぽくて、これを花粉って呼んでるのか。どちらかと言うと黄砂っぽいけど……え
「これは…」
眠っていた男性の体が足が植物の根っこへとみるみる変化していき、体は幹へ、腕は枝に、頭は針状の葉が生い茂る。その特徴的な葉はまさに
「昏睡した人間がさらにこの花粉を吸い続けると、杉へと姿を変えられてしまう。」
「当該ポイント周辺で多くの人が杉に変えられ、さらにそこから花粉が放出されて犠牲者が増え続けています。早急な対応が必要かと」
「なるほどね。この杉に変えられた人達はどうするの?」
すると狛華ちゃんが色々なデータが書かれたタブレットを見せてくれる
「解析結果からこの杉から特異生物のシグナルデータと同じものが検出されています。全て特異生物とみなし、死亡扱いとなりますので焼却をお願いします」
「えっ、まだ助けられるかもしれないに?」
海美ちゃんが青ざめる。うーん……
「スパーク、また説教が必要か?」
「うっ」
「杉に変異させられた者たちの元に戻る見込みは関係ない。全て焼却だ。いいな?フレイム」
「了解」
「…………………」
納得いかない。そんな様子の海美ちゃん。
確かにこれを早計と取るのも当たり前だろう。でも現実に特異生物のシグナルが出ているなら特異生物扱いだ。俺たちSCR以外の特異生物は全て焼却というルール上、変異した人間が助かるか否かは関係ない。俺たちは人助けの組織じゃないから。
慰めるように、ぽんと背中をたたく。
「オルガーですか。またザセルが居るのかもしれませんね」
「そうだ。だが優先はあくまで件の特異生物だ。ザセルの邪魔が入ってもそちらに集中しろ。もしザセルごと焼却できれば1番だがな」
「了解」
「花粉を吸わないよう専用のマスクを配ります。変身前まではこれをつけてください」
「変身後は?」
「……変身後の体に適応するマスクがないので……早急に対応していただく必要があるかと」
「まじかぁ……」
そりゃそうだわ。特に優也の高熱に耐えられるマスクなんてすぐにはできない。唯一優也の高熱に耐えられるミューシスやシリンジ、インカムだって開発部がものすごい時間をかけてやっと作り出したんだ。そんな時間的な余裕はない
「なら、俺と海美が変身する前に龍斗さんに変身してもらって、戦えるぐらいの範囲だけ花粉を一時的に風で吹き飛ばすのはどうですか。その後俺と海美で可能な限り速やかに倒す」
「うわなるほど!いいね!」
「特異生物の居場所はカメラで割れているので、車で特異生物の目の前まで輸送します」
「んで俺が変身して勢い良く吹っ飛ばす……か。わかった」
「フレイムのburn up も花粉が舞う中だと発火した花粉で引火が連鎖して都市中を巻き込む大爆発になりかねん。そのためストームは花粉を散らし、スパークは特異生物を細かく噛みちぎって爆発をなるべく小規模でできるように。フレイムは焼却に専念しろ」
「「「了解」」」
話はまとまった。俺の役割重大だな〜
「今回は命令違反などないように。いいな?」
ギロッと海美ちゃんが長官に睨まれる。はいと大人しく海美ちゃんが返した。
「SCR特殊戦闘部隊、出動せよ」
「「「了解」」」




