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SCR -Specific mutant Cells organism Rangers-   作者: none
#6 夢のありか
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#6-4 夢の輝き

「自分、煌湊来知キラミナ ライチっていいます。歳は29、所属はSCR研究開発部第1研究班……の見習いです」


「見習い?」


「煌湊くんはねぇ新入りなの。将来有望だから1班にいれてるのよーん」


 ソファにちょこんと座る煌湊さん。その向かいのソファにぎゅうと押し込まれる私と優也と的戸さん。龍斗さんは私達の座るソファの後ろから背もたれに肘をついて聞いている


「SCR来てるならそもそも優秀でしょう。で?新しいシリンジ作りたいって何ですか?」


「あ、あの、自分!どうしてもその研究に携わりたいんです!あの、あの的戸先生の下でpower up solutionの開発に携われるなんて……!solutionの研究がSCRの配属になってからの1番の夢なんです!」


「はぁ」


 ふんすふんすと鼻を鳴らしキラキラと目を輝かせて捲し立てる煌湊さん。なんかこういうオタクっぽいの最近も見たような気がする。目の前の本人にしかないような、どこから来るの?と聞きたくなるその情熱がちょっと羨ましい。


 優也がため息をつく。


「でも見習いなんですよね。そんな人にこんな大事な事任せられないですよ」


「うぐっ」


「た、確かに。私と龍斗さんが使うんだもんね。万一何かあったら……って考えると、怖いかも」


「うぐぐっ!?」


 優也と私の言葉に小さく丸くなっていく。確かに夢を応援したい気持ちはすごくあるんだけど、自分の命がかかってる話だし、手放しにいいよ!とは言えない。


「とにかく、作るのは的戸さんにお願いします。煌湊さんはまた別の機会に」


「そ、そう、ですよね。すみません、見習いがこんなでしゃばって」


「ごめんなさい!私、煌湊さんの夢、応援したいんですけど……でも……」



「いいじゃん。やってみなよ」



「……え?」


 重くなりつつあった空気を吹き飛ばす一声。みんなの視線が声の主、龍斗さんに集まる。そんな視線を気にする事なく、龍斗さんは真っ直ぐ煌湊さんを見つめている。


「夢なんだろ?やらせてあげればいい」


「龍斗さん。こんな大事な話の時までふざけないでください。こんな見習いなんかに任せられる話じゃないでしょう」


「備えあれば嬉しいな、の備えだろ?使うことすら無いかもしれない。それに的戸と俺も監督しながらやるから、安全面なら気にすんな」


「でもなんかあったらアンタが。それに海美まで危険に晒すつもりですか?」


「うーん、じゃあ海美ちゃんの分は的戸がつくる。俺の分は煌湊を主導にやるでいこう」


「な……!?」


 優也も龍斗さんも退かない。いつもの小喧嘩みたいなのではどっちかが退いてこんなピリピリしないのに対して、今回のはすっごいピリピリしてる。何で龍斗さんはそんなに煌湊さんのこと気にしているんだろう……?


「夢みるのが研究者だ。コイツが将来的戸みたいに化けるかもしれないなら、いい投資だろ」


「……夢ですか」


「あぁ。やる気は充分!それに体力と根性と、SCRに来てるなら素質もありそうだし、いいだろ?」


 龍斗さんが困惑している煌湊さんの方のソファに座り、肩をぽんと叩いた。それなら……それならいいのかな。よく分からないけどいいじゃんね、夢が叶えられるなら。私がそう言うとねー!と龍斗さんが合わせてくる。


 納得のいっていない優也とそれを軽くいなすように笑う龍斗さんが睨み合う。お互い何も言わないけど、譲らないって目が物語ってる。


 あの、と優也が沈黙を破った。


「一つだけ、確認させてください」


「ん?」



「アンタ、煌湊さんを光莉さんに重ねてないですよね?」



 その発言に龍斗さんが驚いたように目を見開く。同時に何?なんだか空気が固まってすごい重くなったような気がするんだけど……


 光莉ヒカリさん?どこかで聞いたような、聞いてないような。誰なんだろう


 数秒たって、目を伏せた龍斗さんが口を開く


「違うよ、全く」


「......」


「ほんとだって。信じて」


「......そうですか。変なこと聞いてすみません」


「んじゃ、俺のpower up solutionは煌湊が担当で決まりね!」


「ちょちょちょ、ちょーっと!この部屋の長は僕ちんだよ!置いてかないで!」


 もぉー!!と暴れる的戸さんに龍斗さんは悪い悪いと形だけ謝っている。え、本当にこれで決まりなの?私は、まぁ、的戸さんが作るのを使うことになるのかな?で、龍斗さんのは煌湊さんが作る。


 前を見ると煌湊さんが困ったような、嬉しいような、そんな表情をしている。そりゃそうだよね。今の話の流れ、私と煌湊さんからしたらわけわからないし。良かった同じ仲間がいて。


「……はい、こちらフレイム。はい、はい。承知しました。今から向かいます」


 すると優也が耳に手を当てて立ち上がる。誰かに呼ばれたのかな?


「どこ行くの?優也」


「狛坂さんに司令室へって呼ばれた。多分頼んでたことだ。俺行きます」


「へぇ」


 優也が部屋を出ようと立ち上がる。え、じゃあ私どうしようかな。午後の訓練の前に、前回の復習とかしておこうかな。


「じゃ私は訓練の訓練に行こうかな」


「訓練の訓練って、何すんだよ」


「優也にもうボコボコにされないようにするための訓練!もう負けないし!」


「そうか。無理すんなよ」


 半笑いで呆れ半分応援半分。くそー!今度こそ見返してやるんだから!


「あと龍斗さん」


「んー?」


「頼みますよ、煌湊さんのこと」


「!」


「はいよ。じゃ、早速計画立てようか」


「は、はい!」


 それぞれが動き始める。気になる『光莉さん』の話は後で訓練の時にでも優也から聴こうかな、何となく。事情とか何にもよく分からないし知らないけれど、龍斗さんが『光莉さん』って名前聞いた時の顔、



 すごく寂しそうな顔してたから。



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