#6-3 招かれざる探究者
「でもま、burn up solutionはその特殊な細胞を利用したものだから俺たちのは」 「作れるよ?」 「作れないんだよね……え?」
「いやいや何言ってんの。この僕ちんに作れないものはないのよ?」
会話に挟まりながら、当たり前だろうとドヤ顔で言い放った的戸さんに龍斗さんははぁ!?と声を上げた。優也も知らなかったのか、驚いた顔をしてる
「特殊な細胞だから出来るって前言ってたろ!?」
「いやいや、科学は日進月歩で進歩する。その分僕ちんも進歩しているのだよ。例えば龍斗には『blow away the mutation』【変異を吹き飛ばせ】で、スパークちゃんには『electrocute the mutation』【変異を感電させろ】とか!僕ちんセンス良い〜!」
へぇ……とちょっと興味なさげな優也を放っておいて、身を乗り出してはいはい!と手を挙げる。そんな激アツなことある!?欲しいに決まってるじゃん!!
「欲しい欲しい!的戸さん作って!」
「まじかよ。早く言えよ!俺のも作れんの?」
「応とも!2人の分を作ろうと思えば作れるよ〜ん」
まじか!と興奮気味な龍斗さん。なんだかんだこういう必殺技欲しいんじゃん!もちろん使い方は守って使うよ?どこかの危なっかしい虎さんお違って!
「むっふっふ……さて、どうする?フレイムくん」
「え?」「へ?」
放っておいた優也に目が移る。え?何で優也?
「いやぁそりゃ特殊戦闘部リーダーのご意見も頂かないとねぇ。必要だと思う?」
あそっか。うちのリーダーって優也か。年齢のせいで龍斗さんかと思っちゃった。
的戸さんがすごく面白そうで、ニヤニヤと口を大きく歪めて笑っている。何がそんなに面白いんだろう。頭に浮かぶ疑問符に答えは返ってこない。一方当の本人、優也は居心地わるそうに腕を組んだ。
「俺のは最後の焼却に必要なだけですから。それ以外に使う必要はないでしょ。いりません」
「ええー?なんで!なんでよ!」
「特異生物をより速く殲滅できるだろ。なんで?」
「さっき言った以上の事はないです。もし必要になったら使えば良い。薬と一緒です」
「薬?」
「元気なやつが、出てもない咳の予防に咳止めを飲むことはないってこと。備える分にはいいですけど、わざわざ使う必要はない」
「……一理あるな。耐性ついてもアレだし」
そっか。今ある最善手を使っちゃうと、もしもそれがダメだった時の手段がないって事なんだ。頭いいなぁ優也は。
そういうことね!と隣を見るとふいっと優也に視線を逸らされる。あれ?目合わせてくれない。何でよ。
前に座る的戸さんが満面の笑みで優也の隣にどかっと座り込む。2人用のソファだから優也がこっちに無理やり押し込まれて窮屈なんだけど?
「クッフフフフフ……さすがフレイムくん!!そういうところ僕ちん大好きだよぉ!!」
「そうですか」
「あーもうこんな素晴らしいサンプルが身近にあるなんて最高だね!あぁもうほんと最高!ねぇねぇフレイムくん、今度いつ来る?生体試料くれない?何でもいいかぎゃあっ!!?」
「おい、俺の目が光る内には勝手させねぇぞ」
「前に剥がれた爪ならありますけど」
「優也も話に乗らないの!もっと自分を大事にしなさい!」
ぎゃあぎゃあとまた私が来る前の騒ぎのようになっている。これ私が来るまでずっとやってたんだろうなぁ。って、私の必殺技の話は?
「的戸さん的戸さん、私と龍斗さんの必殺技どうなったの?結局作ってくれるの!?」
「ん?え?あぁあれね。作っておくよ。フレイムくんも2人ができる限り使わないって制限があるならオッケー出してくれるっぽいし、僕ちんも興味あるし!備えあれば嬉しいなってね!」
「憂いなし……」
「あ、あの!!!」
「え?」「ん?」「あ」「……誰?」
突然入り口の方から聞こえた男の人の声に四者四様の反応。さっき龍斗さんと的戸さんが揉み合って外れてしまった扉を乗り越えて入り口の近くに男の人が立っている。
1番に目がつくのはそのド派手な赤髪。アニメのキャラクターかと思うような真っ赤なミディアムで、右側の横髪は編み込んでいる。スーツのジャケット無しに白衣を着ていて、派手髪とは何だかアンバランスな感じだ。
「あれ?煌湊くん?なぁにどうしたの」
煌湊と呼ばれた男の人は興奮気味なのか息が荒い
「あの、その、お話を聞いていたんですけど、ストームさんとスパークさんの新しいシリンジを作られるんですか!?」
「あーそうそう。僕ちんそっちやるから煌湊くんはいつもと同じように──」
煌湊さんの瞳がキラリと輝いた
「その仕事、俺にやらせてもらえないですか!」
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#6 夢のありか
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