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SCR -Specific mutant Cells organism Rangers-   作者: none
#5 One day after the rain
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#5-6 One day after the rain

「こっちの方だよな?」


 そろりそろりと動いて足音を立てないように動く。草の影に隠れ、見えないように


 さっきこのショッピングモールで爆発音があった。それにその前は瓦礫の落ちる爆音。避難命令が出ていたけれどこの際無視だ。僕は命をかけてでも真実を知りたいんだよ何としてでも!


「あっ」


 思わず声が出そうになり慌てて口を塞ぐ。あれは、あれは!


 遠い視線の先、駐車場からモールの方へと歩いていく。赤い虎人間のようなやつと、青龍が人間の体に落とし込まれたかのようなやつは手負いなのか、真ん中の魚人間に肩を貸してもらっている。


 あの日、橘さんと見たやつと同じだ!さっき歩いていた鮫島海美とその兄もこのモールの近くに歩いていたんだ。奴らに違いない。


 よーし、もう少し近づいて……


「バケモノ!!」


 へ?


 目の前の特異生物達も驚いている。声の先はモール近くだ。よーく目を凝らすとそこには小さな子供がいる


「バケモノ!!バケモノ!!父さんを返せよ!!」


「何でここに子供が……」


「……きっとさっき焼いた人間の子供でしょう。親が心配で隠れてついて来たってとこじゃないですか?」


 や、焼いた!?


 やっぱりアイツら、人間を殺してまわっているんだ!もしかしたらこのモールにいた人間を全員やったのか!?さっきの爆音はもしかしたら……!?


「なら放置がいいね。俺たちが関わると碌なことにならない」


「……そうだね。うん。行こ、フレイム」


「バケモノ!!父さんを返せ、返せよ!!」


 そう叫び石を虎に向かって投げる。虎の体にぶつかった瞬間跳ね返ることなどなく燃えてチリとなった。そんな様子に怯むことなく子供の悲鳴にも違い叫び声がここまで届く。


 結構離れてるのに、ここでも心に突き刺さってくるんだ。こんな切実な悲鳴は特異生物達にも効くのか…?いやいや、心なんてあるわけないか。人間を躊躇なく殺す特異生物なんだし。


「……」


「フレイム」「フレイム、行こう、ね?」


 すると鮫と龍は立ち去ろうとしているが、虎はなかなかその場から動こうとしない。どうした?


 その時


 ゴゴゴ…………


「っ!!」


 何だ……揺れてる。これ、地震か!!


 グラグラと縦揺れから横揺れに変わっていく。やば、結構でかいぞ!

 近くの木に捕まって事なきを得る。揺れは数十秒経たずに収まった。よ、良かった…


 気を取り直してメモを用意する。あ、やば。今朝メモしたところが雨に濡れて滲んでしまった。あぁ、もったいな───


「危ない!!」


 ────え、何!?


 叫び声に驚き慌てて先ほどの場所を見直すと、ショッピングモールの壁が割れて瓦礫がガラガラガラッと落ちていく。それも最悪なことにあの子供へと向けて。あんなの人間の力じゃ避けられない。しかも子供なんて!


 体は固まったまま動かずぎゅっと目を瞑る。ガシャンガタンと瓦礫が地面へと落ちた音がした後にゆっくりと目を開ける。ごめん、ごめんなさい。僕はなにも、何もできなくて……



「……あれ?」



 少しずつ舞い上がった土煙が収まると全貌が見える。


 二つの影。一つは小さくて子供、もう一つは体が大きく頭頂部に二つの耳。その大きな体は小さな子供を覆い、瓦礫から守ったような体勢だ。そうか。子供の上に虎が被さって瓦礫から守ったんだ。


 すぐに龍が慌てたように瓦礫を切り裂いて虎と子供を助け出す。虎は鋭い瓦礫が背中に突き刺さったり、頭からはかなりの血が流れている。あんな大怪我してまで、どうして、何で、



 何で助けた?



「フレイム!!無事か!!」


「……なん、とか」


 龍がボロボロになった虎の体を支え、さらにそれを鮫が支える。子供は瓦礫と虎への恐怖で動けないみたいだ。それを見たのか、虎は呆れたようにため息をつく。


「早く逃げろ」


「ひ、あ、バケモノ……」


「そうだ。俺はバケモンだ。早く逃げねぇと食っちまうぞ」


 そう言い残し怯えて動けない子供を後に残して特異生物達が去っていく。ショッピングモールの影に入って行って見えなくなってしまったけど、追う気にはなれなかった。頭が目の前のスクープよりも、自分の答えを欲している。


 確かに彼らは特異生物だ。そのはずだ。あの姿は10年前から発生している特異生物に違いないんだ。それは絶対。


 そして、特異生物は人間を襲う。無惨に殺して、細胞を植え付けて新たな特異生物にしてしまう。これも、これも絶対のはず。


 でも、でも何で?何で子供は殺さなかった?


 手負いでそれどころじゃなかったのもあるのかもしれない。けれど、地震で落ちて来た瓦礫に潰されるのを庇ったのは?手を出すまでもなく殺せたはずのに、むしろそっちの方が人間を殺せていいはずなのに、わざわざ怪我をしてまで庇ったのは?


「人を助ける……特異生物?」


 そんな訳がない。いい子の振りをする特異生物なんてそんなの、いる訳がない。


 ひたすら考え込む。分からない。そんなの……


 おもわず空を仰ぎ見た。考え込んだせいで頭がパンクしそうだけど、何か気晴らしに──


「うわっ!?」


 その瞬間、瞳で大きな雨粒ががぴちゃん!と跳ねた。びっくりした!?そんなダイレクトなアタックある!?


 ……えーとなんだっけ。いる訳ないって話……あれ?


 いる訳がないってなんだ。

 いる訳?訳ってなんだ?


 彼らの見た目だけで特異生物だって思い込んで、特異生物だからって化け物で人を傷つけるって思ってないか?


『見た目や噂だけで判断するな。真実を望む記者として、自分の目で見たものを追え』




 …そう。そうだ。忘れかけてた大事なこと




 咄嗟に鞄からメモを取り出す。ペンで今思いついたことをガリガリとメモをとっていく。特異生物に変身出来る人間のこと。その人間は何か目的があるんじゃないかってこと。その目的は何か、彼らは殺戮を繰り返しているのか。焼いたって何のことなのか。頭に浮かんで流れていくものを余すことなく全て。


 しばらくして全てを書き出せた。雨で滲んでよくわからなかなっちゃったところは帰ってから直そう。……あれ?そういえば。


 空を見上げると雨は止んでいる。さっきまでザーザーだったのに、いつのまにか流れた雲の合間から光と共に青色が視界に差し込む。雨音の代わりにペトリコールだけを残して、心に巣喰う偏見を流し切った雨はもう止んだ。代わりに


「あれ、あ!虹だ!」


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