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SCR -Specific mutant Cells organism Rangers-   作者: none
#5 One day after the rain
32/77

#5-2 知れた顔の知らぬ写真

 

 *****



 #5 One day after the rain



 *****



「ただいま戻りました」「ただいま!」


「お!優也と海美ちゃん帰ってきた〜お疲れ様!」



 6月同日──SCR本部司令部横、小休憩室にて



 はい、と2人にカップに注いだお茶を手渡す。2人は今月に数回の外の偵察帰りだ。今回は海美ちゃんの偵察デビュー!外に出る前、やってはいけないことや注意することを何度も復唱しては「やらかさないかなぁ」と心配がっていたのとは裏腹に、満面の笑みで帰ってきた。楽しめたのかな?


「龍斗さんありがとう。いやー疲れた!」


「何が疲れただ。ほとんど買い物だっただろ」


「ンンッ……『偵察は優也がすれば充分。海美ちゃんは楽しんでおいで』って言われたから〜」


「ははは!それ俺の真似?似てる〜!」


「でしょ?」


「似てない。というか龍斗さんは余計なこと言わないでもらって良いですか」


 ギロッと優也が睨みつけてくる。ごめんごめんと軽く謝るが、実際優也の卓越した聴覚さえあれば事足りてしまうのは事実だ。外への偵察は口実の上ではもちろん任務だが、暗黙の了解で実態は外での息抜きな訳で、監視員が付いているが彼らも黙認してくれている。


 テーブルを3人で囲って座る。司令室には長官の目もあって居づらいけど、居住区は遠くて司令があったとき面倒だから司令室の隣にあるこの小休憩室は俺たちの待機室兼談話室のようになっている。他の人たちは暗黙の了解で棲み分けてここにいることはなく、別の休憩室で休憩している。訓練とか以外は基本ここだ。


 優也が肘をつき不満げに海美を指差す。


「龍斗さんの発言のせいか知りませんけど、コイツ俺を置いてずっと試着してるんですよ?待つ間店員と会話しないといけない苦痛が分かりますか」


「別に話さず待ってればいいんじゃない?話さないといけない訳じゃないし、離れてても良いし」


「話さないといけない空気感じゃないですか」


「そうか……?まぁ優也空気読むの下手だしなぁ」


 グサッッ


「てか話すなら普通に話せばいいじゃん?優也ってほんとコミュ障なんだね」


 グサッッ


「………………」


 俺と海美ちゃんの連続攻撃に俯きプルプルと震え始める。椅子からゆっくりと立ちあがりブレイクスペースの壁際に設置された給茶機へフラフラとした足取りで向かって、お茶をお代わりする。あ、ちょっとこぼした。優也でもメンタルフルボッコは流石に堪えるらしい。ごめん。


 優也の不自然な動きに頭を傾けていた海美ちゃんの肩に手をポン、と置く。信頼関係が大事だから。俺たち1つのチームだからさ。1人がメンタルフルボッコくらって辛そうなら手を取り助け合わないと。


「海美ちゃんストレートパンチは良くない。もっとオブラートに包もう」


「ビブラートに?

 優也はほんとコミュ障だね〜〜〜!!」


「ブッッァハッハッハッ!?最高!!」


「2人まとめて燃やしてやろうかな……」


 コンコンコンッ


「失礼します。優也さんいらっしゃっいますか?」


 どす黒いオーラを放つ優也のいる中ゲラゲラと笑い転げていると後ろから声がかかる。この女性らしい可愛い声は、


「狛華ちゃん。どうしたの?優也に用?」


「はい。先ほどのご相談についてご報告に」


「あぁ、それならそっちで聞きます」


 そういうと優也は狛華ちゃんと共にブレイクスペースを出る。相談ごと?何だろう。さっきの偵察でなんかあったのかな。特に問題なさそうだったけどね。頭に疑問が浮かぶ隣で、海美ちゃんはうっとりした様子で狛華ちゃんを見送る。


「はぁ……かわいい。狛華さん綺麗で可愛くてしっかりしてるよね、私もあんな大人になりたいなぁ」


「何言ってるの。海美ちゃんも充分可愛くて綺麗でしょ?」


「そ、そんなことないけどね!でも、狛華さん見たいな仕事も私生活もしっかり!っていう女性、憧れるなぁ」


 まぁ確かに、私生活までどうかはわからないけど、あの容姿と性格の良さ、さらにはスペックの高さに男はもちろん女性でも憧れの的になるんだろう。ふむ……と腕を組んで納得していると海美ちゃんがあ、と何かに気づいた。


「あれ?何か落ちてるよ?」


「へ?」


「ほら、あそこ」


 海美ちゃんが指差す先にはテーブルの下。覗き込むと確かに写真のようなものが落ちている


「あれ?さっきまでこんなのなかったけどな」


「写真だね。よっと!」


 海美ちゃんが写真を手に取って見る。多分L判の何の変哲のない写真だけど、海美ちゃんは怪訝な顔をしながら俺にも見せてくれた。なになに?


「これ、優也だよね?」


「どれどれ……うん。まごう事なき優也だね」


 そこに映っているのは優也がこちらを見上げるような画角の写真。隣には見切れた俺がいる。これはどこかの監視カメラの映像を写真として切り抜いたものか…?誰が何のためにこれを用意したんだ?


「誰がこんなもの。優也のファン?」


「……ファンならいいけど、アンチだったら面倒だな」


「あっ」


 そっか、と海美ちゃんは悲しそうに呟く。


 例えば誰かがこの写真をぐちゃぐちゃにしたり、優也の顔を黒く塗りつぶしたりしたとして、それを優也が見つけたら?


 昔は小さな嫌がらせを受けたことはあるけど、こういう写真を使った悪質な嫌がらせとかはなかったな。優也に見られる前で良かった。もしイタズラしようとした物なら、早く犯人を見つけて潰しておかないと。


「この画角的に、街中に設置してある監視カメラの映像の切り抜きだろうね。偵察中のかな?こういうのを手に入れられるのは部署が限られてくるな……犯人、案外簡単にわかるかもね」


「ま、まぁでも、そういう意地悪な人じゃないかもしれないし?」


「あぁ、そうだね。そうだよね。もしかしたら本当にいるかも、優也のファ──」


「あの!」


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