#14-24 上機嫌の理由
お気に君は船の縁から飛び出し海に飛び込んで逃げた。しくじった、しくじった、しくじった!計画は大失敗。海美を貶められなかったしお気に君は捕まえられずに逃した。おまけに龍はザセル様の攻撃をモロに喰らったのに死なないし!?
なんで、なんでこんなことになるの!?
ほぼ壊滅状態になった甲板で地団駄を踏む。こんなにめちゃくちゃにしたってどうせ財閥には毛ほどのダメージにもならない。あれ?まって鮫島厳夫は!?
縛り付けられていた柱を見ると誰もいない。柱には少し焦げた跡がある。お気に君が焼いたかSPの誰かが機転を活かして逃げたか。どちらにせよいない獲物を殺すことはできない。あぁっ!!と苛立ちで柱に当たる。
「ネピアさん。うるさいですよ」
「っ!ぁ、ざ、ザセルさま……」
後ろからかかった声にさぁっと顔が青ざめた感覚がした。どうしよう。私が考えて提案した計画なのに。それに協力までしてもらったのに!
前に提案してたネイチさんは失敗した後ザセル様の拷問を受けてた。体の中で植物が暴れ回る想像すらしたくない拷問。いやだ。いやだ。嫌だ!!
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい。私、その……今から海に入ってでもお気に君だけは!」
「やめなさい。どうせ無駄です。貴方じゃあの状態の優也くんでも勝てない。ネイチさんは体が重いですし、体の小さく俊敏な優也くんは捕まえられませんよ」
「うっ……」
「ふふ、そこまで萎縮しなくても。私は今機嫌がいいんです」
ふふ、ふふふと笑う。こんな散々な結果だったのに、なんでそんなに機嫌がいいの?
「何か面白いことでも?」
さらに後ろにネイチさんが見え、ザセル様に声をかける。人間態に戻って逃げる準備をしたみたいだ。
「えぇ。それはもう」
「お聞きしても?」
「なに、簡単なことです」
ぐしゃ、と近くに転がっていた小さな機械のようなものを踏み潰す。
「優也くんの最大の弱点を見つけたのですよ」




