#14-22 自分の世界は自分で切り開く!
ザザッ『その必要はない!』
「っ!?え、優也!?」
『イワナリアだけを焼却しそのまま海路で逃げます!ストームが限界だ。俺もバーストフレイムのままじゃそろそろ活動限界がくる。フレイムに変身してburn upで片付ける!』
『ですがburn upでは火力が足りないかもしれません!』
『海美!お前まだいけるよな!?』
「う、うん!?」
『俺のburn upを打ったら間髪入れずgo biteで一気に焼け!!』
「え、えぇええ!?」
『チャンスは一回。外すなよ!』
「あぁ〜〜もうっ!できる、できるし!?誰に聞いてんのよ!」
いきなりの無茶振り、いいね楽しくなってきたじゃん!
するとポコポコと軽い音が耳に届く。上だ。上から……何?
海底近くから上を見上げる。キラキラと輝く水面にはさっき苦労して集めたイワナリアたちが電気網にかかっている大きな影が見える。ん……?あれ、集まってるから影が一つに見えるのかな?
ポコポコ、ポコポコ
………いや、違う
ポコポコっバチバチッッ!!
「優也やばいイワナリアが全部合体して網から出ちゃう!!」
『網!?網ってなんだ!?』
「やばいやばいっ────あぁ!?」
その巨大魚は電気網を破り飛び出して──嘘でしょ!?
「は、羽が生えた!?」
魚の鰭は薄い膜状となり、トビウオの鰭のような羽となる。海の中、緩慢な動きでそれを1回、2回はためかせると水面の輝きの向こう側へと飛び出していった。と、飛べるの!?あの巨体で!?
「優也!イワナリア空飛んでった!」
『魚が空飛ぶわけあるかアホ!』
「本当だからバカ!!空見て!」
『だから……っ!?マジか!!』
私も急いで浮上し水面から顔を出すと、全てのイワナリアが合体したシャチのような見た目の巨大魚は薄い空色と紅色の大空を海を悠々と泳ぐようにゆっくりと飛んでいる。
『まずい。あれじゃ俺のburn upが届かない!』
「ストームは!?」
『風起こすぐらいはできるけど、この傷じゃ優也をあの高さまで届けられるかどうか……』
そんなに大怪我しているんだ。あのザセルを1人で長い間抑え込んでいたんだし、確かにそうかも。
フレイムもバーストフレイムには時間制限があるみたいだから本当に残された時間がない。とにかく私が何とかするしかないんだ。
なら!
「ストーム!私のこと船の上に吹き飛ばせる!?」
『やってみる!狛坂座標送れ!!』
「フレイムは私に向けてburn up打って!」
『何するつもりだ!?』
「私が弓で射るから焼くための炎を矢に欲しい!」
『なるほど……くそ、こっち来れるかっあ゛!?ゴトッ…ザザッザザザッ…なにや………楽し…』
合間に入ってくるザセルの声?フレイム、フレイム、と呼びかけても応答はない。てかちょっと待ってよストームが戦線離脱してるってことはザセル、ネイチ、ネピアを1人で抑えてるの!?死んじゃうって早く早く急がないと!
水面に上がって狛華さんの指示で船尾側に待機する。すると数分で上から声がかかってきた。
「スパーク!そこだね!?」
「うん!」
「着地する準備だけよろしくね、ほい!!」
ブワァッと上から風が吹き、水上で渦を巻いて水の中の私を浮かしたと思うと一気に吹っ飛ばされる。つ、つよ!?強すぎて高く飛びすぎ!?
「うわぁぁあああっ!?」
空中に放り出されること本日2回目。尾鰭になっていた足は元の二足歩行に戻って、大きく弧を描きながら船尾から船頭へとワープする。ちゃ、着地、着地しないと!?
ダメだ私優也じゃないし着地のダメージ無くすとかできないし!?なにか、別の、なにか!
「これだぁああああ!」
バチバチバチッッ
電流のスパークが跳ねて甲板にあった金属に私の電気が走り私の手駒になる。それで一瞬で簡易滑り台を作りそれを滑ってなんとか着地した。い、いたた、簡易的な滑り台だからゴツゴツすぎてお尻と腰が痛い!!
「スパーク!」
「あっ、フレイム!」
バーストフレイムからフレイムに姿を変えて3体の化け物から逃げ続けている。甲板のプールは全壊し、残っている水は血で赤く染まっていた。きっとフレイムの血だ、怪我やばいもん!
苦労して来たはいいもののどうやって矢に火をつけてもらう?あんな激闘の中どうやって隙をつくる!?
…………ううん、違うね
「優也!!」
3体から逃げ回るフレイムは余裕なくこっちを見もしない。でも聞こえてるでしょ。
そんな隙を作って打つとか優也に動いてもらうとか、そんな相手頼りじゃダメだよね。誰かの世界の脇役じゃなくて、私が私の世界の主役なんだから。
自分の世界は、自分の手で切り開く!
Go bite into the mutation!
「は!?待てスパーク、まだ俺が準備できてねぇ!」
「いっくよーーー!!」
「ちょっと待てお前俺の話を」
「お願い私に合わせて!!」
「はぁ!?!?」
「随分身勝手なお嬢様ですね」
少し離れた2階の見晴し台にある手すりに腰掛けながらザセルは呆れたようにため息をついた。フンッそんなの、
「知るもんか!私は私のやりたいことをする。例えそれがどんな未来を招こうと、どんな痛みを伴おうと、私の世界を切り開くためならどんなことも乗り越える覚悟がある!」
バチバチバチッ
決意を全て力にかえて、一息に放出する。
目も眩むような眩い光と体から湧き上がってくるエネルギー。
弓を弾く動作をすれば私の想像通りに弓と矢の形になって、腕を180度に伸ばし限界まで引っ張って、狙いは…………
「は、はぁ!?お気に君ごとやる気!?」
「これは……!?優也ごと我らを葬る気か!」
「──誰がなんと言おうと、私は私だ!」




