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アフェクト・ブレイカー ―感情が力になる世界で、たった一秒の能力を持つ少年の物語―  作者: paguzon


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8/12

第8話 1秒の連携

第8話です。


今回から本格的なチーム戦に入ります。


それぞれの力をどう組み合わせるのか、

そして個人ではなく「チーム」としてどう戦うのか。


未来・ひかり・ハヤトの3人が、

初めてひとつの形を作る回になっています。


そして、ラストでは物語が一気に動き始めます。


ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです

国立アフェクト学園、訓練フィールド。


広大な人工芝のフィールドを囲むように観測塔が立っている。


観測塔の上から蒼真白の声が響いた。


「それじゃあ模擬戦のルールについて、説明するね」


大型モニターが点灯する。


画面に装備の説明が表示された。


「上級生はこのプロテクターを装着しています」


胸部の装置が淡く光る。


「この装置はクリーンヒットを判定するセンサー付き」


「三回ランプが点灯したら新入生の勝ち」


画面に表示される。


クリーンヒット3回 → 新入生勝利

新入生全員戦闘不能 → 上級生勝利

制限時間60分


ひかりが小さく口笛を吹いた。


「三回かぁ」


「一回じゃ終わらないんだね」


ハヤトが腕を組む。


「つまり一撃より連携が大事だ」


未来はフィールドを見ながら言った。


「これはチーム戦だ」


「お互いの能力について共有しておいた方がいい」


ひかりが手を挙げる。


「はい!」


「じゃあ私から!」


未来とハヤトが視線を向ける。


ひかりは軽く足を鳴らした。


「私のアフェクトは喜びアフェクトで

ルミナスっていうんだ」


淡い光が体の周囲に浮かぶ。


「光を操る加速系のアフェクト」


「光をまとって身体能力を一気に引き上げる」


「特にスピードと瞬発力が強化されるの」


未来が頷く。


「試験のときも速かった」


ひかりが笑う。


「でしょ?」


「接近戦もいけるし、光を使った目くらましもできる」


「あと、短い距離なら一気に踏み込める」


ハヤトが聞く。


「持続時間は?」


「全力だと短いかな」


「でも普通に戦う分には問題ないよ」


ハヤトが頷いた。


「了解」


「次、俺な」


未来が視線を向ける。


ハヤトは静かに言った。


「恐怖アフェクト、名前はフォーサイト」


ひかりが首を傾げる。


「それって未来視?」


ハヤトが首を振る。


「違う」


「筋肉の動き」


「呼吸」


「重心」


「そういうのを見て次の攻撃を予測する」


「根が怖がりだから、危険察知に特化したアフェクトってわけ」


未来が少し驚く。


「そんなことが分かるのか」


ハヤトは肩をすくめる。


「多少な」


ひかりが笑う。


「じゃあ完全に回避係だね」


そして二人の視線が未来へ向く。


未来は言った。


「俺は....希望アフェクト」


ハヤトの表情が少し変わる。


「……やっぱり」


未来が見る。


「何か知ってるのか」


ハヤトは首を振る。


「詳しいことはなにも」


「でも、試験のとき思った」


「普通の身体強化じゃない」


未来は続けた。


「一秒だけ」


「身体能力が跳ね上がる」


ひかりが頷く。


「見てたよ」


「一瞬だけ速くなってた」


ハヤトが聞く。


「連続使用は?」


「無理」


未来は答える。


「一回使うと最低でも数十秒は使えない」


ひかりが腕を組む。


「なるほど」


少し考える。


「じゃあこうしよう」


ひかりが言う。


「私が前に出る」


ハヤトが続ける。


「俺が攻撃を読む」


未来が言う。


「その隙を俺が突く」


ひかりが笑った。


「いいじゃん!」


「チームだ!」


その瞬間。


蒼の声が響いた。


「試合開始!」


フィールドの空気が一気に張り詰める。


遠くに立っていた上級生が、ゆっくりとこちらへ歩いてくる。


一歩、踏み出すたびに芝がわずかに沈む。


視線だけで圧が伝わる。


男は軽く肩を回しながら止まった。


「三人か」


「楽しませてくれよ、新入生」


ひかりが一歩前に出る。


「ふたりとも、いくよ!」


光が弾けた。


空気が一瞬歪む。


「ステップ!」


ひかりの姿がぶれる。


次の瞬間には、すでに間合いの内側。


上級生の目がわずかに細まる。


拳が振り下ろされる。


速い。


だが――


ハヤトが叫ぶ。


「来る!」


「右だ!」


ひかりが滑るように体をひねる。


拳が頬をかすめる。


風圧がひかりの髪を揺らす。


ハヤトが続ける。


「次、踏み込み!」


上級生の足が地面を踏み込む。


その瞬間。


未来が動く。


「一秒!」


世界が一瞬、引き延ばされたように感じる。


視界が研ぎ澄まされる。


上級生の懐へ――


踏み込む。


拳を叩き込む。


パァン!


乾いた音がフィールドに響く。


プロテクターのランプが一つ点灯する。


蒼の声。


「クリーンヒット!」


「残り二回!」


一瞬の静寂。


そして――


ざわめき。


上級生がゆっくりと顔を上げる。


「……いい連携だ」


その声には、わずかな興味が混じっていた。


男が肩を回す。


「じゃあ、少し本気でいくか」


空気が重くなる。


男の足元から見えない圧力が広がる。


ひかりが踏み込んだ瞬間。


足が止まった。


「え?」


男が笑う。


「動きすぎだ」


見えない力がひかりの足を絡め取る。


ひかり


「しまっ――」


拳が迫る。


その瞬間。


未来が割り込む。


「一秒!」


腕を交差。


衝撃。


未来の体が滑る。


ひかり


「未来くん!」


未来は歯を食いしばる。


「大丈夫だ」


戦いは一気に厳しくなる。


ひかりの機動が封じられる。


ハヤトが呟く。


「まずい」


「拘束系か」


ひかりが言う。


「まだだよ!」


ひかりの身体から光が弾ける。


「フラッシュ!」


強い光。


上級生の視界が一瞬揺れる。


ひかり


「レイ!」


光の突撃。


パァン!


蒼の声。


「二回目!」


上級生が笑う。


「いいな」


「だが――」


圧力が強くなる。


未来の足も重くなる。


ハヤトの目が鋭くなる。


上級生の肩がわずかに沈む。


呼吸が一瞬止まる。


ハヤトが叫んだ。


「未来!」


「次の踏み込みは一直線だ!」


上級生の重心が前に傾く。


右足に体重が乗る。


次の瞬間。


拳が来る。


未来


「一秒!」


未来はその踏み込みに合わせて前へ出る。


拳の軌道の内側。


懐へ滑り込む。


そして。


腹部へ。


パァン!


三つ目のランプが光る。


蒼の声。


「勝負あり!」


「新入生チーム勝利!」


ひかりがその場にしゃがみ込む。


「はぁ……!」


「勝った……!」


ハヤトが息を吐く。


「ぎりぎりだったな」


未来も肩で息をしていた。


「でも、うまくいった」


ひかりが笑う。


「最初の作戦、正解だったね」


ハヤトが頷く。


「ひかりが動かして」


「俺が読む」


未来が言う。


「そこを俺が突く」


ひかりが拳を軽く突き出した。


「チームだね」


未来も軽く拳を合わせる。


その時。


空気が変わった。


ひかりが小さく言う。


「……なにこれ」


ハヤトが振り向いた瞬間、表情が明らかに変わる。


「……よりにもよってあいつかよ」


足音。


ゆっくり近づく影。


黒崎怜。


未来たちの前で止まる。


黒崎が未来を見る。


「……それが希望アフェクトか」


次の瞬間。


黒崎の影が揺れた。


地面に落ちた影が静かに広がる。


未来は反射的に構える。


ひかりが息を呑む。


「……くるよ」


ハヤトが低く言う。


「動く」


黒崎の足が一歩踏み出される。


影が滑るように伸びる。


未来が踏み込む。


「一秒――」


その瞬間。


爆発音。


訓練フィールドの外壁が破壊された。


衝撃波が空気を揺らす。


蒼の声が響く。


「全員防御体制!」


「これは訓練じゃない!」


煙の向こうに現れる影。


敵アフェクター。


未来は煙の向こうを見つめた。


「……一体、何が起きているんだ」



第9話

1秒の侵入者

第8話まで読んでいただきありがとうございます。


今回の戦いでは、

3人の役割がはっきり見えてきたと思います。


ひかりが前線を切り開き、

ハヤトが戦況を読み、

未来が決定打を打つ。


この連携は、今後さらに洗練されていきます。


そしてラスト――

ここから物語は「学園の中」だけでは収まらなくなっていきます。


次回、第9話「侵入者」


一気に展開が加速します。


少しでも面白いと思っていただけたら、

ブックマークや評価をいただけると励みになります。


引き続きよろしくお願いします。

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