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アフェクト・ブレイカー ―感情が力になる世界で、たった一秒の能力を持つ少年の物語―  作者: paguzon


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第7話 1秒の仲間

いつも読んでいただきありがとうございます。


第7話では、ついに国立アフェクト学園での本格的な生活が始まります。


この学校が何のために存在しているのか。

そして、この世界におけるアフェクターの役割についても少し触れています。


さらに、学園には実力で順位が決まる「ランキング制度」も存在します。


未来たちの新しい環境、そしてこれから始まる戦いの舞台を楽しんでいただけたら嬉しいです。


それでは、第7話をお楽しみください。


国立アフェクト学園。


 巨大な門の前で、未来は足を止めた。


 高くそびえる鉄の門。その奥に広がる校舎と訓練施設は、普通の学校とは明らかに違う空気をまとっていた。


 広い敷地の奥には巨大な訓練フィールド。


 鉄骨の観測塔。


 さらに遠くにはドーム型の施設まで見える。


 未来は小さく息を吐く。


 ここが――


 アフェクターを育てる学校。


「未来くん!」


 背後から元気な声が飛んできた。


 振り向くと雨宮ひかりが手を振っている。


「おはよう!」


「おはよう」


 未来が答えると、ひかりはすぐに未来の顔を覗き込んだ。


「体もう大丈夫?」


「まあな」


 未来は肩を軽く回す。


「ちょっと痛いくらいだ」


「それちょっとじゃないよ!」


 ひかりが言う。


「昨日すごかったんだからね!?」


「赤城ガイ相手にあそこまで戦うなんて!」


「負けたけどな」


「でも押してた!」


 ひかりは腕を組む。


「観客席も結構ざわざわしてたし」


 未来は苦笑する。


 そのとき。


「おはよう」


 落ち着いた声。


 振り向くと桐生ハヤトだった。


「眠そうだな」


 未来が言う。


「昨日ちょっと調べ物してた」


「能力のデータか?」


「まあそんなとこ」


 ハヤトは校舎を見上げた。


「それにしても」


「設備すごいな」


 未来も周囲を見渡す。


 校庭の奥には戦闘訓練場。


 さらにその先には巨大な施設。


 ひかりが頷く。


「訓練設備いっぱいあるね!」


「アフェクター養成学校だからな」


 未来が言った。


 三人は校門をくぐる。


 


 校舎前の掲示板にはすでに人だかりができていた。


「クラス発表だな」


 ハヤトが言う。


 三人は掲示板を見上げた。


「……あった」


 未来が指差す。


「1年A組」


 ひかりが覗き込む。


「未来くんも!」


「ハヤトくんも!」


 ハヤトが小さく笑う。


「三人同じか」


「やった!」


 ひかりが嬉しそうに言った。


 そのとき。


 少し離れた場所に見覚えのある人物がいた。


 赤城ガイ。


 腕を組んで掲示板を見ている。


 周囲の生徒が少し距離を取っていた。


 未来が小さく呟く。


「相変わらず目立つな」


 ハヤトが言う。


「試験のときも強かったしな」


 その近く。


 一人の少女が静かに掲示板を見ていた。


 短く整えられた白い髪。


 白嶺ゆい。


 ひかりが小さく言う。


「……あの人」


「試験のときの人だよね」


 未来が聞く。


「知ってるのか」


 ハヤトが頷く。


「ああ」


「あの試合」


「ほとんど一方的だった」


 ひかりも思い出したように言う。


「相手、全然近づけてなかったよね」


 ハヤトは少し考えるように言った。


「いや」


「近づけなかったっていうより……」


 言葉を探す。


「動けてなかった」


 未来が眉を上げる。


「動けてなかった?」


 ハヤトが頷く。


「途中から完全に足が止まってた」


「攻撃も防御もしてない」


 ひかりも言う。


「なんか……」


「怖がってるみたいだった」


 ハヤトが小さく言う。


「たぶん」


「何かを見せられてた」


 未来は白嶺ゆいの背中を見る。


 白い髪の少女は掲示板を確認すると、そのまま静かに歩き出した。


 まるで周囲の視線など存在しないかのように。


教室。


 未来たちが席につくと、すでに教室はざわざわしていた。


「静かにー」


 前の扉が開く。


 蒼真白だった。


「えっと……」


 蒼は教室を見回す。


「聞こえてる?」


 ざわめきが少しずつ収まる。


「よし」


 蒼は黒板に名前を書いた。


 蒼 真白


「今日からこのクラスの担任になります」


「蒼真白です」


 少し間。


「よろしくね」


 拍手が起きる。


 蒼は続けた。


蒼は続けた。


「まず最初に、この学園の目的を説明するね」


 教室が少し静まる。


 蒼は黒板にチョークを走らせた。


 アフェクト


「みんなも知ってると思うけど」


「この世界では、アフェクトの存在が社会に大きな影響を与えている」


 蒼は振り返る。


「アフェクトは強力な力です」


「でも同時に――」


「危険な力でもある」


 黒板に書かれる。


 管理


 対策


「能力の暴走」


「アフェクトを使った犯罪」


「アフェクター同士の衝突」


「こういう問題は、ここ数年で急激に増えている」


 教室の空気が少し引き締まる。


 蒼は言った。


「だから、この学園が作られた」


 未来は黙って聞いていた。


 蒼は指を二本立てる。


「この学園の目的は二つ」


「一つ」


「優秀なアフェクターを育てること」


「そしてもう一つ」


「その力を正しく使える人間を育てること」


 教室は静まり返っていた。


 蒼は続ける。


「アフェクトは武器にもなる」


「でも、守る力にもなる」


「どっちになるかは――」


「使う人間次第」


 ひかりが小さく頷く。


 蒼は黒板に書いた。


 模擬戦


 チーム戦


 合同訓練


「だからこの学校では」


「実戦形式の授業が多い」


「座学だけじゃ能力は強くならないからね」


 教室の後ろから声が上がる。


「つまり戦いまくるってことですか?」


 蒼は少し笑う。


「まあ、そういうこと」


 教室から少し笑いが起きた。


 蒼は続ける。


「あともう一つ」


 蒼は黒板に新しい言葉を書いた。


 ランキング


 教室がざわめく。


「この学校には序列制度があります」


「模擬戦」


「実戦評価」


「訓練成績」


 それらを総合して順位が決まる。


 蒼は黒板を軽く叩いた。


「つまり」


「ここでは実力がそのまま評価される」


 ハヤトが小声で言う。


「完全実力主義だな」


 蒼は頷く。


「そう」


「この学校では、努力も才能も全部見られる」


「上位に入ると」


 黒板に書かれる。


 特別訓練


 任務参加


 特別クラス


「より高度な訓練を受けることができる」


 ひかりが小さく言う。


「なんかゲームみたい」


 蒼が笑う。


「まあ、ちょっと似てるかもね」


 そして蒼はチョークを置いた。


「というわけで」


 少し間。


「今日は最初の授業をやります」


 教室が静まる。


 蒼が言った。


「三人一組のチーム戦」


 教室が一気にざわめいた。


「え!?」


「マジかよ!」


 蒼は手を振る。


「チームは自分たちで組んでください」


 教室が一斉に動き出す。


「一緒にやろう!」


「俺ら組もうぜ!」


 ひかりが未来を見る。


「未来くん」


「一緒のチームだよね?」


「まあそうなるな」


 未来が言う。


 ハヤトが言った。


「俺も入れてくれ」


 未来が笑う。


「最初からそのつもりだろ」


「当然」


 ひかりが笑う。


「よし!」


「チーム完成!」


 蒼が手を叩いた。


「チーム決まった?」


 教室が落ち着く。


 蒼は名簿を見る。


「じゃあ次」


 少し間。


「今回の相手は」


 蒼が言った。


「上級生」


 教室が一気にざわめいた。


「上級生!?」


「いきなり!?」


 ハヤトが小さく笑う。


「いいデータが取れそうだ」


 未来は思う。


 俺の能力は一秒。


 その一秒が、チーム戦の中でどこまで活かせるのか。


 試してみるには――


 悪くない機会かもしれない。


蒼は続ける。


「準備して」


「訓練フィールドに移動します」


 


 校舎の裏手。


 広い訓練フィールド。


 人工芝の広場の周囲を観測塔が囲んでいる。


 すでに数人の生徒がそこに立っていた。


 制服の色が違う。


 上級生だ。


 空気が少し張り詰める。


 ひかりが小声で言う。


「……ほんとに上級生だ」


 ハヤトは周囲を観察していた。


「三人チームがいくつかいるな」


 そのとき。


 未来の視線が一人の人物に止まった。


 少し離れた場所。


 壁にもたれるように立つ男。


 長い前髪。


 どこか気だるそうな雰囲気。


 黒崎怜。


 上級生たちの中でも、妙に存在感があった。


 未来たちの方へ、ゆっくりと視線が向く。


 黒崎の目が、未来を捉えた。


 ほんの一瞬。


 そして、口の端がわずかに動く。


「……希望アフェクトか」


 小さな声。


 だが、確かに聞こえた。


 黒崎は続ける。


「ずいぶん心許ない力だな」


 それだけ言うと、興味を失ったように視線を外した。


 未来は何も言わない。


 ただ静かに、その背中を見ていた。


 訓練フィールドに緊張が広がる。


 上級生とのチーム戦。


 そして――


 未知の戦いが始まろうとしていた。


次回

第8話 1秒の連携


第7話を読んでいただきありがとうございました。


今回は学園の説明回でしたが、いよいよ次回から本格的なチーム戦が始まります。


そして最後に登場した上級生――黒崎怜。

未来の「希望アフェクト」をどう見るのか。


次回は

第8話「1秒の連携」


未来、ひかり、ハヤトの三人が初めてのチーム戦に挑みます。


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