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アフェクト・ブレイカー ―感情が力になる世界で、たった一秒の能力を持つ少年の物語―  作者: paguzon


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第6話 1秒の合格者

第6話です。


前回は未来と赤城ガイの試合でした。

今回はその直後、医務室から物語が動き出します。


試験の結果、そして蒼先生からのフィードバック。

それぞれのアフェクトの方向性が少し見えてくる回になっています。


そして後半では、少しだけ学園の裏側で起きたいざこざも……。


楽しんでいただけたら嬉しいです。

 目が覚めるとそこには白い天井が広がっていた。


 未来はゆっくり瞬きをする。


 視界が少しずつはっきりしていく。


「……」


 身体を起こそうとした瞬間、胸に鈍い痛みが走った。


「お、起きた」


 横から声。


 未来が視線を向ける。


 椅子に座っていたのは桐生ハヤトだった。


「……ここ」


「学園の医務室だよ」


 ハヤトは椅子の背にもたれながら言う。


「覚えてるか?」


 未来は天井を見つめたまま答える。


「……途中まで」


「だよな」


 ハヤトは軽く笑う。


「最後、ガイの拳まともに食らってたし」


 未来は小さく息を吐いた。


「……負けたのか」


「うん」


 あっさりした返事だった。


「普通に負けた」


「言い方」


「事実だからな」


 少し間。


 ハヤトが未来を見る。


「でもさ」


「何」


「途中から動き変わったね」


 未来が眉を上げる。


「最初はただ殴り合うのかと思った」


「……」


「でも途中から攻撃してなかった」


 未来の視線がハヤトに向く。


「ガイの動き」


「ずっと見てたろ」


 未来は苦笑する。


「……見てただけだ」


「いや」


 ハヤトは首を振る。


「見て、考えてた」


「踏み込み」


「拳」


「衝撃波」


「全部」


 未来は天井を見上げた。


「能力オタクか」


「分析って言え」


 そのとき。


 医務室の扉が勢いよく開いた。


「未来くん!」


 雨宮ひかりだった。


 未来とハヤトが同時に振り向く。


「起きた!?」


 ひかりはベッドの横まで駆け寄る。


「大丈夫!?」


「……まあ」


 未来は苦笑する。


「生きてる」


「当たり前でしょ!」


 ひかりは腕を組む。


「ほんとすごかったんだからね!?」


「途中から完全に流れ変わってたし!」


 ハヤトが頷く。


「観客席ざわついてた」


「してた!」


 ひかりは未来を見る。


「ガイが膝ついたとき」


「みんな『え?』って顔してた」


 未来は少し視線を逸らす。


「……でも負けた」


「でも押してた」


 ひかりは即答する。


 未来は小さく笑った。


 そのとき。


 医務室の扉が開いた。


「目、覚めたんだ」


 蒼真白だった。


 蒼は三人を見回す。


「ちょうどいいね」


「結果、今から伝えるところだったの」


 三人は自然と姿勢を正す。


 蒼は少し間を置いて言った。


「三人とも合格よ」


 ひかりが小さく拳を握る。


「やった!」


 ハヤトは肩をすくめる。


「まあ落ちる気はしてなかったけど」


 蒼は軽く笑う。


「じゃあ少しだけフィードバック」


 蒼はひかりを見る。


「まず雨宮さん」


「はい!」


 ひかりは背筋を伸ばす。


「戦い方が安定してた」


「判断も速いし、能力の扱いも丁寧」


 蒼は頷く。


「安心して見ていられた」


 ひかりは少し照れる。


「ありがとうございます」


 蒼は次にハヤトを見る。


「桐生くん」


「はい」


「全部避けてたね」


 ハヤトが苦笑する。


「まあ、そうなりました」


 蒼は少しだけ目を細める。


「あなたの力は」


「攻撃そのものより」


「仲間を助けるための力」


 ハヤトは少し黙る。


 蒼は続ける。


「敵の動きを読む」


「危険を察知する」


「戦場全体を見る」


「そういう力は、チームで戦うときに本当に心強い」


 ハヤトは静かに頷く。


「……なるほど」


「うまく使いなさい」


「仲間を支える力として」


 ハヤトは少し笑った。


「分かりました」


 蒼は最後に未来を見る。


「未来くん」


 未来が顔を上げる。


「あそこで、よく粘った」


「途中で戦い方を変えたのも良かった」


 未来は小さく頷く。


「ただ」


 蒼は言う。


「体の使い方はまだ荒い」


「能力に振り回されてる」


 未来は黙る。


「でも」


 蒼は微笑んだ。


「君は絶対に伸びる」


「そういう戦い方だった」


 未来は少しだけ息を吐く。


「……ありがとうございます」


 蒼は三人を見回す。


「まあ、でも」


「三人とも、いい試験だった」


 ひかりが言う。


「あの……」


「はい?」


「先生」


 蒼は少し笑う。


「まだ先生じゃないよ」


 ひかりが首をかしげる。


 蒼は言った。


「でも近いかな」


 少し間。


「これから君たちの担任になるの、私なの」


「え?」


 三人が同時に声を上げた。


 蒼は手を振る。


「よろしくね」


 そう言って医務室を出ていった。


 未来は窓の外を見る。


 青い空。


 学園。


 ここから始まる。


 もっと強くなる。


 あの一秒を使いこなすために。



その頃


 学園の裏手。


 人のいない訓練区画。


 一人の男が立っていた。


「ここがアフェクト学園か」


 男は小さく笑う。


「少し様子見て帰るだけだ」


 そのとき。


 背後に気配。


 男が振り向く。


 黒崎怜。


「……学生か」


 男は肩をすくめる。


「悪いな」


「ちょっと試させてもらう」


 次の瞬間。


 三体の分身が現れる。


 三方向から黒崎へ突進。


 だが。


 突然、黒崎の影が揺れた。


 地面の影が伸びる。


 三体の影に黒崎の影が滑り込む。


 影が絡みつく。


 三体の身体が止まる。


「な……?」


 次の瞬間。


 衝撃。


 三体の分身が吹き飛ぶ。


 本体の男が地面に転がる。


「お前……なんなんだよ.....」


 男は震える。


 黒崎は何も言わない。


 男は後ずさる。


「この学園には……」


「化け物がいる」


 男はポケットに手を入れる。


「……上に伝えないとな」


 その瞬間。


 影が伸びた。


 男の影に絡みつく。


 身体が止まる。


 黒崎が一歩近づく。


「遅い」


 影が締め付ける。


 次の瞬間。


 男の悲鳴が、夕暮れの校舎裏に響いた。


次回

第7話 1秒の仲間


第6話まで読んでいただきありがとうございます。


ここからいよいよ学園編が本格的に始まっていきます。

未来・ひかり・ハヤトの関係や、それぞれのアフェクトの成長も描いていく予定です。


そして少しだけ登場した黒崎。

彼も今後、物語の中で重要な存在になっていきます。


もし「続きが気になる」と思っていただけたら、

ブックマークや評価をしていただけるととても励みになります。


次回は

第7話「1秒の仲間」


学園での新しい生活が始まります。

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