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アフェクト・ブレイカー ―感情が力になる世界で、たった一秒の能力を持つ少年の物語―  作者: paguzon


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第4話 1秒の可能性

第4話です。


入学試験のバトルが始まり、未来は赤城ガイと対戦することになります。


圧倒的な力を見せるガイに対し、未来の能力は「一秒」しか続かないという大きな弱点を抱えています。


この試合の中で、未来がどんな戦い方を見つけていくのか

ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。


試験フィールドの空気が張り詰めていた。


 観客席に並ぶ受験生たちの視線が、中央へ集まっている。


 フィールドに立つ二人。


 天城未来。


 そしてもう一人。


 赤城ガイ。


 だが、その名前を知る者はほとんどいない。


 少なくとも、この会場の受験生たちの間では無名の存在だった。


 静かな緊張が会場を包む。


「試合開始!」


 神代蒼の声が響いた。


 その瞬間だった。


「瞬脚」


 ドンッ!!


 ガイの足が地面を踏み抜く。


 空気が破裂した。


 足元のコンクリートが沈み込み、

衝撃が波のように広がる。


 次の瞬間。


 ガイの身体が弾丸のように前へ飛んだ。


(速い―!?)


 未来の視界が揺れる。


 距離は十メートル以上あったはずだ。


 だが。


 次の瞬間には拳が目の前にあった。


 未来は咄嗟に身体をひねる。


 ドゴォン!!


 ガイの拳が地面を叩き割った。


 コンクリートが砕け、破片が宙へ舞う。


 観客席がざわめく。


「なんだ今の踏み込み……」


「速すぎだろ」


 未来は転がるように距離を取る。


 そして男を見た。


 赤城ガイ。


 近くで見ると、その体格は想像以上だった。


 肩幅が広い。


 腕も太い。


 無駄のない筋肉が全身に詰まっている。


 ただ立っているだけなのに、そこに巨大な岩があるような圧迫感があった。


 短く刈った髪。


 鋭い目。


 その視線は、まっすぐ未来を捉えている。


(強い)


 未来は拳を握る。


 ガイは拳を引き、静かに言った。


「悪くない反応だ」


 次の瞬間。


 再び地面が爆ぜる。


「瞬脚」


 ドン!!


 衝撃が地面を叩く。


 その反動で身体が前へ弾ける。


 拳が振り抜かれた。


「――爆震拳」


 ドン!!


 空気が爆発した。


 拳は届いていない。


 それなのに衝撃波が走り、地面を裂く。


 未来は横へ跳ぶ。


 衝撃が背後で炸裂した。


 観客席が騒ぎ始める。


「今の衝撃波か?」


「拳届いてないぞ!」


 未来の目が細くなる。


(衝撃……)


 踏み込みの瞬間。


 地面が爆ぜていた。


(衝撃を使って加速してる)


 さらに。


 打撃に衝撃を乗せている。


(怒りアフェクト……)


 しかも強化型。


 身体能力も高い。


 そこに衝撃波まで加わる。


(正面からじゃ勝てない)


 ガイが再び踏み込む。


「瞬脚」


 ドン!!


 拳が振り抜かれる。


 未来は横へ跳ぶ。


 衝撃波が地面を裂く。


 未来は距離を取る。


 息が荒い。


(強い)


 圧倒的だった。


 観客席から声が飛ぶ。


「逃げてばっかじゃん」


「もう終わりだろ」


 だが、未来はその声を気にしていなかった。


 視線はガイに向けられたままだ。


 踏み込み。


 肩。


 重心。


 拳の軌道。


 すべてを見ている。


 ガイが動く。


「瞬脚」


 ドン!!


 拳が振り抜かれる。


 未来は横へ跳ぶ。


 その瞬間。


 未来が踏み込んだ。


 一秒。


 世界が静かになる。


 視界が鮮明になる。


 ガイの動きがはっきり見える。


 拳の軌道。


 肩。


 重心。


(ここだ)


 未来は懐へ入る。


 拳を振り抜いた。


 ドン!!


 ガイの身体がわずかに揺れる。


 観客席がざわめく。


「今の速くなかったか?」


「身体強化か?」


 別の声が笑う。


「でも一瞬だけだぞ」


「一秒で終わってるじゃん」


「そんな能力意味あんの?」


 未来は距離を取る。


 一秒が終わる。


(やっぱり……)


 決定打にはならない。


 そして。


 もう一度踏み込もうとした瞬間。


 身体が動かなかった。


(……)


 アフェクトが発動しない。


 この力(希望アフェクト)は連続で使えない。


 強制的に間が空く。


 その隙を――


 ガイは見逃さなかった。


「瞬脚」


 ドン!!


 間合いが一気に詰まる。


 未来は転がる。


 衝撃が地面を叩き割った。


 ガイは追撃しなかった。


 倒れている相手に無駄な一撃は入れない。


 ただ静かに立っている。


 観客席から笑い声が上がる。


「さっきの強化もう終わりか?」


「一秒だけの能力とか終わってるだろ」


 だが。


 一人だけ黙って見ている男がいた。


 ハヤトだ。


 目を細める。


(今の……)


 一瞬だけ。


 ガイより速かった。


(噂で聞いたことがある……)


 ハヤトの視線が未来へ向く。


(まさか……)


 未来はゆっくり立ち上がる。


 拳を握る。


(自分には一秒しかない)


 なら。


 その一秒に賭けるしかない。


 未来はガイを見る。


 踏み込み。


 肩。


 重心。


(観察しろ)


 自分の武器はそれしかない。


(考えろ)


 この能力で勝つ方法を。


(考え抜け)


 未来は拳を強く握った。


(見つけろ)


 一秒の可能性を。



次回

第5話 

1秒の観察者-one second observer-


第4話を読んでいただきありがとうございました。


今回の回では、未来の能力の特徴と弱点、そして赤城ガイの戦い方が少しずつ見えてきました。


一秒しか使えない力で、どう戦うのか。

未来はこの試合の中で、自分なりの答えを探し始めます。


そして次回


未来の「戦い方」が少しずつ形になっていきます。


次回

第5話「1秒の観察者-one second observer」


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