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映画『マーズ・エクスプレス』感想文

掲載日:2026/02/16

最後まで飽きずに観られる映画でした。

この映画は普通に面白いです。

ドラマとして普通に楽しめる映画です。


この映画の端的な予備知識は以下の通り

・人間とロボットの割合が1:3くらいになった23世紀の未来の話。

・火星にも人が住めるようになっていて、高速船エクスプレスで地球と行き来出来る高級住宅地のようになっている。

・ロボットはロボット三原則に準じて人間と仲良く暮らしている。

・仕事や性産業までロボットに職を追われ、ロボットを恨む人間も多くなってきている。

・次世代ツールとして生きた細胞を培養して作ったバイオツールが開発され、生体でない従来型の金属製ロボット機体との一斉入れ替えが計画され始める。

・人間とロボットをそれぞれ別の星に棲み分けさせる計画が秘密裏に進んでいる。

・主人公アリーヌ、相棒カルロス、黒幕クリス・ロイジャッカーの3人は、とある戦線で同じ部隊に所属していた戦友同士。

・アリーヌは軍人から警察官になり、その後、警察を辞めて現在は私立探偵。40代。アルコール依存性の治療中。機器を埋め込んでいるが生身の人間。

・カルロスは戦線で命を落としロボットとなっている。生前の記憶データは残っている。首から上はホログラムで表示する旧型機体のため最新のアップデートが出来なくなってきている。アリーヌのバディとしてアリーヌと共に仕事をしている。草薙素子とバトーのような間柄。

・ロイジャッカーは退役後、ロボット開発の会社を立ち上げて成功しているCEO。専属であるかのように自社関連の調査をアリーヌとカルロスに頼んでいる。

・ロイジャッカーは世界を裏で牛耳る権力者達から、全てのロボットを他の星へと誘導するマルウェアを開発するよう指示されている。

・マルウェアを実行させるには『人間の指示に従わなくてはならない』というロボット三原則のうちの一つを解除しなければならない。

・ロボットに三原則を破らせる『テイクオーバー(脱獄)プログラム』は一企業などでは到底開発出来るものではないため、広く一般から脳内データ(アイディア)を買い取る『ブレインファーム』という事業をロイジャッカー社が始めた。しかし、これは脳に深刻なダメージを与える可能性があるとして違法とされ、公の商売としてはすぐに消えてしまう。

・しかし、脳内データ高額買い取りのブレインファームは若者たちの間で違法バイトとして裏で横行し続けていた。

・行方不明になったジュン・チョウは名門チューリング大学工学科の女子学生。

・ジュンの父は数年前に会社を解雇され、ジュンの学費を出せる状態では無かったものの、ジュンが『バイト』をして自分で学費を払っていた上、両親の生活費として充分過ぎるほど多額の金を実家に送っていた事が分かる。

・ジュンは自分のコピーロボットを作り、そのロボットを風俗店で働かせて稼いでいた事により、もっと先の高額闇バイト『ブレインファーム』も紹介され、自分の脳内知識データをブレインファームに売って更に多額の金を稼ぐようになっていた。

・ブレインファームは違法となっていたため、摘発を逃れるため脳内データ摘出の施術前後の記憶を消す処理が施される。作りかけのテイクオーバープログラムを隠す目的もある。被験者にしてみれば『パブに行って店員に暗証コードを言って、気が付くと大金が貰えるだけの怪しいバイト』といった感じで、何が行われたのか、何の目的で何者が行っているのかなど考える余地も無くなる。

・誤算だったのが、ジュンが大学内で開発された試薬品『ガンマ』を服薬していた事。

・ガンマはまだ未発表の試薬だったが、記憶を消えなくする薬で、学生達の間で既に試験前など皆が喜んで被験者となって服薬していた。

・この『ガンマ』の作用により、ジュンはブレインファームでの記憶除去処置が効かなくなっていて、更にブレインファームのデータベースと接続した際に垣間見えた開発途中のテイクオーバープログラムを記憶に残してしまった。

・研究室に戻ったジュンはいつものように教材ロボットにプログラムを入力していた際、無意識のうちに記憶にあるテイクオーバープログラムを入力してしまいロボットが三原則を破る暴走をしてしまう。

・ブレインファームを利用していたジュンがテイクオーバープログラムを知っていてロボットの暴走を引き起こしたと知ったロイジャッカーはすぐにジュンを消そうとする。

・ジュンを守ろうとするアリーヌ、カルロスとロイジャッカーがぶつかる。

・ジュンとアリーヌは殺され、カルロスもデータだけ抜かれ、データだけとなったロボットは全てエクスプレスに集積されて何処かの星へと飛ばされてエンディング。


映画の簡単なストーリー

ジュン・ショウが大学内でロボットの暴走事故を起こし学生寮に戻った後、警察の事情聴取が来る前に事故で浴びたロボットのオイルを洗い流すため風呂に入っていた。

ルームメイトのドミニクは部屋で作動していた猫型アニマルロボットにもジュンが浴びた紫色のロボットオイルが付着してしまっている事に気が付いて、アニマルロボットの疑似スキンを脱がせて洗濯しようとしていた。

そんな中、予想していたよりも早く警察が部屋に到着し、ドミニクは警官を部屋に入れるが、警官はいきなりドミニクの首を折って殺害。アニマルロボットは発砲によって破壊される。この時、異常事態に気が付いたジュンは泡だらけにした浴槽の中に沈んで身を隠していた。

警官はジュンにルームメイトがいるという情報が無かったため、ドミニクをジュンだと思っていて、一応浴室も一瞥したが泡に埋もれたジュンに気が付かず、殺害したドミニクの遺体を天井裏に隠して任務完遂として部屋から去っていった。


場面は変わり、アリーヌとカルロスはロベルタに会うため火星から地球に来ている。

ロベルタは天才プログラマーで、特に思想は無いもののロボットにももっと人間と対等な自由があった方が面白いという発想の元にロボット三原則を解除する脱獄プログラムを独自開発し、そのプログラムを試すために世界中のメーカーのOSにハッキングをかけて脱獄プログラムを混入させて世界中でロボットの脱獄事故を多発させている国際指名手配犯。警察はロベルタの居場所を掴めないでいたが、そんな中、クリス・ロイジャッカーが経営するロボットメーカーもロベルタにハッキングされた事により、クリスは旧友の私立探偵アリーヌとカルロスにロベルタを捕まえてくるよう依頼していた。

アリーヌはロボットの自由開放活動家を装いロベルタとの接触に成功。逃走劇の末にロベルタの身柄確保にも成功し、マーズエクスプレスで火星へと護送する。

しかし、火星の入管で事情説明を行うとロベルタの指名手配は解除されており、ロベルタは開放されてしまう。

アリーヌはすぐにクリスの元を訪れ、どうなっているのか尋ねるが、クリスにもどうなっているのか分からない状態だったが、クリスは深く考えておらず「まあ、ロベルタのメインPCが燃えて無くなり脱獄プログラムのデータも消失したんだからもういいじゃないか。とりあえず今回の報酬は満額払うから休暇でもとって遊んでこい。」といった軽いノリ。

アリーヌは不完全燃焼でムスッとしたまま事務所に戻ると、次の仕事の依頼人が来ている。

大学生の娘が数日前から行方不明なので捜してほしいという男。所作に軍人の癖があるが、本人はただの失業者だと言う。

アリーヌとカルロスがその男の言う失踪した娘が使っていた学生寮を訪れると、その部屋には複数の弾痕と異常な腐敗臭で満ちていて、他の寮生からの通報で既に警察による捜査も始まっていた。

その部屋でアリーヌはデスクの引き戸から赤い錠剤が入ったパケットを見つけ、カルロスはレーザー探知機を使って天井裏に放置されていたドミニクの遺体を発見した。

天井裏に放置されていた遺体が依頼主が捜していた娘『ジュン』では無かったため、ジュンは殺人と死体遺棄容疑の逃走犯となり、アリーヌとカルロスは警察と共にジュンの行方を捜索する事となる。

一方、ジュンが大学で暴走させたロボットはすぐに発見される。

暴走ロボットは初期の人類火星移住区域に入り込み、そこにあった廃材を使って宇宙船を作ろうとしていた。しかしすぐに追跡してきた強化人間特殊部隊によって破壊されていた。いったい何故、暴走ロボットは宇宙に飛び立とうとしたのか?何故こんな無力なロボット一体のために人類最強の特殊部隊まで出動したのか?この時点では全てが分からない。

アリーヌたちは大学内で聞き込みを行い、赤い錠剤は大学で開発中の『ガンマ』という薬であること、ジュンが小遣い稼ぎのためにブレインファームに脳内データを売っていた事、自分のコピーロボットを作って風俗店で働かせていた事、授業中にロボットの暴走事故があった事などが分かってくる。

依頼主であるジュンの父は、娘は何らかの事故に巻き込まれただけで娘は殺人犯などではないと信じており、とにかく娘には生きて帰って来てほしいと言っていたため、アリーヌも父の言葉を信じてジュンの行方を追っていた。

やがて、アリーヌとカルロスは風俗店の控え室でコピーロボットと共に身を潜めていたジュンを発見する。しかし、ジュンは寮の自室でドミニクが殺された現場を目の当たりにしていたため、アリーヌとカルロスも暗殺者だと思い激しく抵抗。更にその場に本当の暗殺者集団が来て、結局ジュンは銃殺され、コピーロボットも顔を両断されてしまう。

ロボットは三原則により決して人を殺せないため、ジュンを殺害したのは人間。更にロボットを一蹴出来るほどの『戦闘用強化人間パーツ』を製造しているのはロイジャッカー社しかない。

ジュンの葬儀に行ったアリーヌは、そこで本物のジュンの父を見る。

ジュンの父は痩せた小柄な男だった。これまでジュンの捜索を依頼していた『父』を名乗る男はジュンを殺害した暗殺集団のうちの一人で、アリーヌはその男にジュンの捜索状況を教えてしまっていたため、ジュンの居場所がバレて暗殺集団が乗り込んで来てしまった事を知る。

このミスにアリーヌは自暴自棄になり、やめていた酒に手を出し、またアル中に戻ってしまう。

そんなアリーヌを見かねたカルロスはクリスが何故ジュンの元に強化人間を送り込んだのか、その真相を探るためロベルタに会い、ロイジャッカー社にハッキングを掛けて動向調べるように協力を求めた。

ロベルタは最初はその依頼を拒絶したものの、アリーヌとカルロスに捕まる発端となったロイジャッカー社へのハッキング疑惑の際、実はロベルタはロイジャッカー社にハッキングを仕掛けた覚えは無く、逆にロイジャッカー社からハッキングを受けていた事が判り、その際に自分で開発していたテイクオーバープログラムをロイジャッカー社に盗まれていたんじゃないかと考えており、更に暴走したロボットの映像を見てその行動が自分の作ったテイクオーバープログラムによる動きだと確信。ロイジャッカー社を調べるというカルロスの意見と同意。ロイジャッカー社のデータに侵入して調査を開始した。

ロベルタのハッキング調査により、クリスがロベルタのPCにハッキングをかけてテイクオーバープログラムを盗み、その痕跡を消すためロベルタの身柄確保をアリーヌとカルロスに依頼していた事が判明。

ジュン殺害の件とテイクオーバープログラムの件について、アリーヌが直接クリスの元へ話を聴きに行く。

ここでクリスはアリーヌにロボットと人間の棲み分け計画が進んでいる事を打ち明ける。ロボットを人間から解放し、ロボットだけの星に移してロボット同士自由に生きられるようにしたい、一緒にやらないかとアリーヌを誘うも、それらの話がテイクオーバープログラムやジュンの殺害と未だ直接結び付かなかった事でアリーヌはやんわりとクリスの誘いを断ってもう少し真相を探る決断をする。

その帰路、アリーヌとカルロスが乗った車はミサイルの砲撃を受け、被弾は避けられたものの強化人間に包囲されてしまう。

救助車両によってエアバックが取り除かれ、強化人間から撃たれる寸前、カルロスが周囲を取り囲む強化人間を全員射殺した。カルロスはロボットのため三原則によって人間を殺すことは出来ないはずだったが、ロベルタにプログラムの改変を頼んで三原則プログラムを解除してもらっていた。本来ならば三原則プログラムにエラーが生じたロボットは即時解体処分されるため、三原則プログラムを解除した事はアリーヌにさえも教えていなかった。

この一件により、ロボット移住計画について知ってしまったアリーヌはクリスから命を狙われるようになったと確信する。

アリーヌとカルロスはとりあえず事務所に戻るのは危険と判断してロベルタの元へ身を隠しながら、ジュンが狙われた真相を調べようとし、そこでロベルタからある仮説を聞かされる。

クリスは恐らくマルウェアを完成させていて、残るテイクオーバープログラムを入手するため暗躍しているんじゃないかと言う。

クリスはロベルタからテイクオーバープログラムをハッキングによって盗んでおり、しかもロベルタのPCが破壊されたことによってテイクオーバープログラムのデータはクリスだけが持っている状態。更にそれをロベルタのデータベースから盗んだという痕跡も消失。ロボット移住計画の情報流出も防いでいる。しかし、テイクオーバープログラムとマルウェアの両方が同胞されたデータがブレインファームを通してジュンの脳内にコピーされて残っていた事がロボット暴走事故によって発覚。機密事項の漏洩を防ぐためジュンも消された。

ただ、これはあくまで推測でしかなく、ジュンにテイクオーバープログラムとマルウェアの記憶があったという証拠が無ければクリスの指示だったと断言する事は出来ない。

ここでロベルタが『ジュンのコピーロボットのメモリの中にジュンの記憶データが残っているかもしれない。そこにテイクオーバープログラムとマルウェアのデータが確認出来たらクリスの犯行動機の証拠になる。』と言い、アリーヌとカルロスはロボットの解体処理場へと急行し、顔面を真っ二つにされて機能停止しているジュンのコピーロボットのメモリからデータを抜こうとするも強化人間部隊に妨害され失敗。次にブレインファームに向かい、ブレインファームのデータベースからジュンの記憶を抜き出してロベルタのPCにデータ転送する事に成功。ロベルタは送られてきたジュンの記憶データを解析して、その中にテイクオーバープログラムとマルウェアらしきプログラムがあるのを見つけ出した事で、クリスがジュン殺害の指示を出した要因を確定付けた。

ここまでを要約すると、

クリスのロイジャッカー社は全てのロボットを宇宙船に導くマルウェアの開発はできたが、ロボットがマルウェアの誘導に従って宇宙船に向かうにはそれまで従ってきた人間の指示に背かなければならない。まず先にロボット三原則のプログラムを解除する脱獄プログラムを入れなければマルウェアが実行されない。その脱獄プログラム、テイクオーバープログラムがどうしても開発出来なかったクリスは天才プログラマーロベルタのPCにハッキングをかけてロベルタが途中まで作り上げていたテイクオーバープログラムを盗み出し、更にそのプログラムを独占するためロベルタのデータベースを破壊した。しかし、ロイジャッカー社の技術では作りかけで不完全だったテイクオーバープログラムを完成させる事が出来ず、ブレインファームで多くの人間から知識とアイディアを掻き集めてプログラムを構築していった。

しかし、記憶が消えない人間がブレインファームを利用し、テイクオーバープログラムのデータを外部に持ち出されるという想定外の流出事故が発生したため、流出したデータを消すためジュンは消されたという事。

更に、情に流されクリスがアリーヌに機密事項を話してしまったため、秘密を知ってしまったアリーヌも命を狙われるハメになっている。

ここでアリーヌ、カルロス、ロベルタの三人は強行突破でクリスの元に行ってロボット移住計画をやめるよう説得しに行く事になるのですが、三人の思いはそれぞれ微妙にズレています。

アリーヌは人間にもロボットにも分け隔てない意識で普通に接しているため、今さらロボットだけ他の星に飛ばそうとしている感覚が理解できないし、そんな無意味な計画のために罪も無い女子学生が殺された事に腹が立っている。

カルロスは自分がロボットであるため、何処かの星に飛ばされてしまったら今のままアリーヌと仕事を続けられなくなるので嫌。生前の家族とも会えなくなる。かつての戦友が自分の事を何処か遠くに飛ばして何も思わないのかという怒り。

ロベルタは中立。ロボットに三原則など無い自由を与えるのは良いことだと思っている。ただ、身近にロボットを置いておきたいのでロボットが居なくなっては困る。


そんな中、ロイジャッカー社による世界同時ハッキングにより全てのロボットがテイクオーバー状態となり、同時にマルウェアのプログラムにより一斉に空港に向かって歩き始めた。しかし、カルロスだけは全く干渉を受けていなかった。カルロスの機体は旧型過ぎて近年全くアップデート出来ていなかった事でプログラムに対応出来ず、メモリの容量も空きがない状態だったためマルウェアもインストール出来なかったため無事だった。

この事態を受けてアリーヌとカルロスはクリスの自宅に潜入するも、二人はクリスによって手配をかけられている身の上。自宅の敷地に入った途端に警備のタチコマに追われます。

このタチコマはTVシリーズの攻殻機動隊に出てくる青い小型タイプではなく、映画版Ghost in the shellのラストに出てくる白い大型戦車です。

アリーヌは早々にグレネードランチャーが弾切れ。カルロスが一人でタチコマと戦い、アリーヌが建物内に潜入します。

アリーヌは警備の目を掻い潜ってクリスの元へたどり着き、ロボットの移住計画を中止するよう説得します。

クリスは元来、アリーヌとカルロスとは戦友であり、アリーヌを愛していた。決してアリーヌの敵ではない。しかし、計画は止められなかった。

壁中のモニターに次々と世界の権力者達の顔が映し出される。クリスは世界の権力者達の傀儡でしかなかった。

そこに警備兵の強化人間が駆け付けて来てアリーヌに銃を向ける。

アリーヌはクリスを盾にして、尚も計画を中止するようクリスに呼びかける。

クリスはアリーヌを撃つなと警備兵に言う事しか出来ない。アリーヌは電脳通信でカルロスに助けを求める。

カルロスはタチコマに全く歯が立たず身動きが取れない状態だったが、最後の手段で自身の核バッテリーを外して一気に放電させてタチコマの口の中に入れてタチコマを破壊、アリーヌの元へ急行しますが、アリーヌは警備兵と相撃ちで頭を撃ち抜かれて死んでいました。

カルロスはその場に呆然と立ち尽くすクリスに歩み寄り、クリスを撃ち殺して静かにその場から去っていきます。

山道をとぼとぼと歩いて帰るカルロスは、道沿いにあったベンチに座ると大泣きします。涙を拭おうとするのですが、顔がホログラムなので手がすり抜けてしまい涙を拭えません。

その後、カルロスは生前の妻と娘に会いに行くも、今の旦那にボコボコにされます。それでも最後に一目見れて良かったと言って、マルウェアに感染したロボット達の列に加わって歩き始めます。

ロボット達の行き先には巨大なメモリを搭載した無人の高速宇宙船があり、ロボット達は自分のデータを光で高速宇宙船のデータバンクに転送するとその機体はガラクタのように次々と崩れ落ちて山となって積み上がっていきます。カルロスも順番が来てデータを抜かれると機体は崩れて山の一部となりました。

最後にロボット達のデータを積んだ宇宙船が未だ見ぬ遥か遠い宇宙の星を目指して飛び立って終わりです。


この映画、カメラワークとか登場キャラとかだけ見ると攻殻機動隊っぽいって思われがちですが、ガチガチのフランス映画ですよ。

終盤の展開なんて60年代のゴダールそのもの。主人公が最後に撃たれて死ぬって昔のフランス映画の定石です。日本の時代劇で主人公が絶対に最後は勝つってのと同じ。

更にこのアリーヌのキャラ設定が最高です。40代後半でアル中で前髪ぱっつんポニーテールの背の高い女って、フランス男が求める最高の女性像でしょう。ストーリーと関係なく斜め上から前髪とかデコに寄せたカメラワークとか、マニア過ぎる構図もいかにもフランス映画的。元が可愛くない女が真顔を変な角度から接写されると妙に可愛く見える瞬間っていうのがあって、要は見てる側の人が「この人、こんなにカメラに寄られて今どんな気持ちでこんな真顔の演技続けてるんだろう」って思って可笑しくもあり可愛らしく見えてきたりする撮影方法。これ、ゴダールの撮り方なんですよ。アリーヌの動きも年相応に微妙にモサッとしているのも『可愛い』。

日本人はこれら全てを『オシャレ』だとか『ノワールだ』なんて言ってますけど、フランス人にしてみたらド定番のドラマ。日本人が羽田美智子とか高田真由子が出てるありきたりなサスペンスドラマをダラダラ観るのと変わらないのかと思います。

日本の映画には無いフェチシズムで、押し付けで、賛否両論お構いなしが如何にもフランス映画らしくて好きという人にはお勧めです。

ただ、全体的に詰めがあまいですよ。

ゴダール風の演出とアリーヌのキャラでゴリ押ししてますが、全てがあまい。

自宅で観られるようになる頃にはBlu-rayも無くなって配信でしか入手する事が出来なくなってるんでしょうかねぇ。

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