第一章04:打ち合い
勝つつもりでいる詩欽の表情を見て、父はただ笑って剣の柄を握った。
父:「始めるぞ!」
『シュッ!』
父は最初の一太刀を詩欽に向かって振り下ろす。
しかし詩欽はそれによってバランスを崩し、危うく倒れそうになった。
父:[やはり、子供は大人の力には敵わん……]
まるで雛鳥が鷹に出会ったかのように、毎回の攻撃を詩欽は避けることも、抵抗することもできない。
父:[このまま終わるか……]
父が剣を突き出すと同時に、詩欽は体勢を立て直し、さきほどの剣筋を元にその突きを防いだ!
父:[防いだ? でも、突きは普通防げないはずだが。]
そう考えた次の瞬間、柯絳吾はそのまま内力を発動し、詩欽を数メートル吹き飛ばした!
今や詩欽の一挙手一投足は、完全に父の掌の内にある。
なぜなら父こそが主導権を握る者だからだ。
再び剣を振り下ろす父、それを詩欽は木剣で受け止める!
そして呼吸を整え、父の斬撃を弾き返した!
詩欽:[呼吸を整えれば……]
父:[弾いたな。]
ハァ----------
フウ---------------
ハァ-----
フウ!!!!!
その後の柯絳吾の斬撃はすべて詩欽に防がれていく!
それを見て、父は内心で喜び、決意を固めた:
父:[もう分かりやすい剣筋では通用しないな。]
木剣が詩欽に向かって振り下ろされるも、詩欽は身を翻して避けた。
だが次の瞬間、詩欽の腰元に向けていた斬撃が突然方向を変え、鋭く腰を狙う!
『シュウ------!』
詩欽はとっさに判断し、剣で受けるのではなく後方へと避けた!
父:[自分の力が私に及ばないと分かっての判断か?]
考える暇もなく、詩欽の初の反撃が素早く放たれる!
油断していた父は慌てて避け、頭部を刺されそうになった!
父:[ぐっ……]
『ガン--------』
『ガン!』
『ガンガンガン!!』
数秒の間に、詩欽と父は数度の攻防を交わした!
詩欽の速度はどんどん速くなり、父も緩やかな剣筋を使う余裕がなくなってきた。
父:[本気を出すか……]
呼吸を整えた父の全身に、青い気が満ちていく。
次の一撃はまるで千斤の重みを持つかのように、致命的で防ぎ難い!
反応速度も斬撃の速さも格段に上がった父に、詩欽はまったく敵わない!
『ガン!!!』
それでも詩欽はその一撃を防ぎ、力を借りてかわし、木剣を引き戻す。
体力差の大きさから、もはや防ぐのは難しい。
今、最善の策は避けること、そして先手を取ること!
そう思った詩欽は、一気に父へ突きを放つ!
しかし父はすぐに剣を動かしてその一突きを受け止める!
詩欽:[まずい!]
まるで手の中のバッタのように、彼女の動きはすべて読まれている!
父:[そろそろ諦めたらどうだ?]
そう思った瞬間、父は無意識に全力で剣を振り下ろしていた!
だがそれは止められなかった!
父:[しまった! 力を緩めていない!]
フウ------
ハァ------------
すると詩欽は何気なく体を傾けて、その斬撃を避けてしまった!
緊迫の中で、父は詩欽の体に異変を感じ取った……
『ドン!』
『ドン!!』
『ドンドンドン!』
『ドンドンドン!ドン!ドン!!』
詩欽の速度が急上昇し、疲れ始めた父はついに防戦一方に!
そして詩欽の呼吸には、奇妙な気配があった……
父:[まさか……]
それは詩欽の呼吸法がまるで霊気を吸収しているようだった。
しかし凡人に霊気を吸収することはできない。それなのに、詩欽はなぜ?
父:[違う……]
『ドン!!!』
混乱する中で、父はなんとか一撃を防いだ!
しかし次の一撃は、彼をかすめていた!
父:[違う!]
父:[違う違う違う!]
足元がふらつき、詩欽はどんどん近づいてくる!
そして父は気づいた:
父:[詩欽は霊気を吸ってるんじゃない、霊気に含まれる濁気――つまり穢れた気を吸ってるんだ!]
父:[修仙者は普通、霊気を吸い、濁気を吐く。酸素と二酸化炭素のように。]
父:[だが、濁気だけを吸うなんて聞いたことがない……]
父:[恐らく、濁気は詩欽の体に大きな害をもたらす! 私が――]
中止しようと思ったが、詩欽の決意に満ちた眼差しと、執念の斬撃の数々……
それを見て、父の心に戦いを正面から受け止める覚悟が生まれた。
父:[この戦いを終わらせねば!]
次の瞬間、父は全力で剣を振るう!
だが、その一撃は力のない矢のように空を切り、詩欽の姿はその左右に!
素早く防御に移るも、詩欽の木剣が父の首元を押さえていた!
父:[速い!]
次の瞬間、柯絳吾の姿がその場から消えた!
明らかに軽功を使ったのだ!
そして詩欽が反応する前に、父の斬撃が天から落ち、彼女の剣に重くのしかかる!!!
『ガアアア-----------』
終わらない! 青い気が一気に青い火気へと変わる!
瞬時に父の剣はかつてよりも数十倍速くなった!
攻撃も、歩法も、すべてが優勢に!
まるでライオンが小鹿を狩るように、
小鹿に勝ち目はない……
「フウ----」
「ハァ------」
しかし、小鹿はライオンの追撃に慣れ、ライオンは疲れてきた!
そして小鹿は、まるで獲物を弄ぶかのように、ライオンを翻弄し始めた!
ライオンには、もうどうすることもできない!
「フウ!!!!!」
詩欽は大きく息を吐き、攻撃が一気に落ちる!
そして再び隙を突く!
父の斬撃が下る刹那に、木剣が父の首元を再び捉えた!
「お父さん、私……勝った?」
その言葉に、柯絳吾は汗だくで姿勢を正し、娘の手と汗を見つめる。
「ねぇ、お父さん、どう? どうだった?」
詩欽は木剣を引いた。
「約束通り、一人で修行に出てもいい?」
興奮する詩欽を見つめ、父は大きく息を吐く……
父:「一週間後、お前を行かせる。」
それを聞いた詩欽は、嬉しそうに飛び跳ねた!
父:「だが、その一週間は呼吸を鍛えろ。」
「どうして?」
父:「お前の呼吸は普通と違う。まずは医者に診せて体質を調べてもらう。」
こうして、詩欽の修行は一週間後に決まった……
母もまた、彼らの勝負を最後まで見届け……
静かに、家の外にある枯れ木を見つめていた……