第二章17:今であろうとも
ちょうどダンジョンの転送門を踏み入れたその瞬間、目の前の世界がまた変わった!
そして暗くて狭いダンジョンの中へと変わった!
雪鱗はすでにそこに待っていたが、章延の姿はどこにも見えなかった……
……
こうして、私たちは二人きりで、長い長い間歩き続けた。
だが周囲の景色は終始変わることなく、特に目立ったものもなく、ずっと終わりの見えない石灰の地面と石レンガの壁が続いていた。
そんな時、私の手が不意に突き出た石レンガを押し込んでしまい……
『ギィィ!』
奥深くから機械音が響いた……
雪鱗と私は顔を見合わせ……
「えへへ……わ、わざとじゃないんだけど……信じてくれる?」
雪鱗:「大丈夫、先へ進もう。」
その後、私たちは再び未知の前方へ歩みを進めた……
すると目の前の道には、なんと両側に鏡が並んでいた!
その中に立つと、まるで回廊に迷い込んだかのように、両側には無数の自分が映っていた……
『きゃっ!!!』
声に反応して私は振り返ると、雪鱗が鏡を見つめ、恐怖に顔を歪めていた!
*彼女がこんなに怯えるなんて、いったい何が……?*
そう思いながら、急いで彼女の元へ駆け寄った。
彼女の前にある鏡に映っていたのは、やはり雪鱗自身……特に異常はないように見える?
じゃあ彼女は何を怖がっているの?
雪鱗:「行こう…早くここを離れよう……何かがおかしい……」
「えっ…う、うん!」
そして私たちがまだその場を離れきらないうちに、背後の鏡すべてに邪悪な影が映り込んだ!
次の瞬間、それらの姿は一斉に消え失せた。
それを見て、私たちはただ再び前へ進むしかなかった。
……
しかし誰が想像しただろう!
次の瞬間、私たちの足元が突然大きく崩れ落ちた!
そのまま、完全に不意を突かれて落下してしまった!!!
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気がつくと……
私はすでに広大な広場にいた。
周囲には誰もいない、雪鱗の姿も見えなかった。
だが広場の中央、目の前に現れたその魔物に、私はもう落ち着いて仲間を探す余裕など失ってしまった!
*なんて大きな魔物!*
その魔物の首には花びらのような毛が生えていた。
そしてその牙は異常なほど鋭く見える!
体格は巨大なライオンのよう。
だが今は眠っていた……
*絶対にこの花びらライオンを起こしてはダメ!*
そう思い、私はその場に静かに座り込み、出口の手がかりを目で探し続けた……
*くっそ…ここ、出口なんて無いじゃん!*
出口が見つからないなら、生き延びる手段でも探すか?
だが予想通り、得られた答えは「無い」。
周囲には何もなく、私の持ち物といえば初心者用の鉄の剣だけ……
これでどうやって生き残れっていうの?
『グォオオオオ!!!!!!!!』
突然、花びらライオンが目を覚ました!
*終わった……!*
奴は勢いよく跳ね起き、私の方へと爪を振り下ろしてきた!
だが私は細身だったおかげで、素早く身をひねってこの攻撃をかわすことができた!
だが一息つく間もなく、花びらライオンは大きな咆哮を上げた!
その耳をつんざくような叫び声に、私は耳鳴りを起こし!
頭がガンガンして、視界がぼやけて集中できない!
そのまま奴の次なる攻撃が襲いかかる!
私は広場の反対側まで吹き飛ばされ!
石の壁に叩きつけられて、口から血を吐いた!
…でも……私…のHPは……まだ…凡人より……ずっと……高い……
…意識が……だんだん……薄れて……
……息が……できない……
『グォオオ!!!』
花びらライオンの再びの咆哮が、私を無理やり意識へ引き戻した!
*今気絶したら、確実に死ぬ!*
反応する間もなく、花びらライオンが口からビームを吐き出した!
私は恐怖で思わず頭を低くした!
そしてそのビームは、私の頭の上をかすめただけで、一切のダメージはなかった。
次の瞬間、背後の石壁が崩れ落ちた!
そして私の足を押し潰した!
「痛い!動けない!」
この危機的な瞬間、花びらライオンは再びビームのチャージを始めた------
「終わった……もうだめだ……」
絶望の中、私はそっと目を閉じ、死を受け入れようとした……
『そんなに急がないでよ〜』
『どうしてそんなに簡単に目を閉じちゃうの?』
『君は、自分が無能じゃないって証明しなきゃいけないんじゃなかったの?』
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〈雪鱗視点〉
今の雪鱗には、かつてのような余裕の表情はなかった。
代わりに浮かんでいたのは、恐怖に満ちた顔と、震える体……
彼女の目の前に立つ男は、ただ静かに笑った……
雪鱗:「お、兄さん……」
男は答えず、手を上げ、そして雪鱗と同じ長さの大太刀を召喚した!!!
「兄」:「妹よ……やはり……この太刀を使っていたんだな……」
その言葉に、雪鱗は恐怖に駆られ後ずさった……
雪鱗:「……」
「兄」は自分の手をじっと見つめた。
「兄」:「妹よ、ここはどこだ?」
雪鱗:「……ダンジョン……」
「兄」:「ダンジョン、か……」
「兄」:「では妹よ――」
その言葉を聞いた瞬間、雪鱗の表情は再び恐怖に染まった!
雪鱗:「やだ、やだ、やめて――!」
「兄」:「あの時と同じように……」
雪鱗:「イヤ、やだああああ!」
『ドゴゴゴゴン!』
頭上から大きな音が響いた。
「兄」:「ふむ……上では誰かが戦っているようだな……君の仲間か?」
雪鱗:「詩欽……」
「兄」は両腕を広げ、大太刀を投げ捨てた:「妹よ、殺して――」
雪鱗:「やだ!やめて、お願い!」
妹のそんな姿を見て……
「兄」は深くため息をついた……
そして、地面を強く踏みしめ、大太刀を空中でキャッチした!
「兄」:「妹よ、もうどれくらい経った?」
雪鱗:「九年……」
「兄」:「では修行を怠ってはいないか?」
雪鱗:「……」
「兄」は太刀を握りしめた:「ならば……妹よ、この九年間の成長、見せてみろ?」
雪鱗:「イヤ!兄さん、あなたは――」
雪鱗が拒絶する間もなく、「兄」の刃は彼女の眉間に迫っていた!
「兄」:「今は訓練だ。」
雪鱗は慌てて避けた:「兄さんの嘘つき!」
刀気は石の壁を激しく切り裂いた!
空気が緊迫する中、雪鱗も太刀を抜いた……
雪鱗:「兄さん……」
「兄」:「次は全力で行くぞ、しっかり受け止めろ……」
雪鱗:「イヤだ……」
「兄」:「終わらせるんだ、俺を……それこそがお前のなすべきことだ……九年前も…今も……」
「兄」:「わかったか……」




